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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ
カテゴリ:院長

【クサイなら絶対やって!】専門医のピアスホールケア

  • 2025.02.05

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて、皆さんは『ピアスホールのケア』をしてらっしゃいますか?

しているという方。正しい方法でケアできているという自信をお持ちですか?

突然すみません。
というのも、ピアスホールのケアのやり方については
ネット上に間違った情報が溢れているのです。

実際にキレイにしているつもりが、
むしろトラブルを起こしてクリニックに相談される方も多いのが現状。

そこで、今回はそんなピアスホールのケアについて、
ピアストラブルの専門医の立場から説明いたします。

ピアスあけているすべての皆さん、
そしてこれからピアスをあけようと考えている方もぜひ参考にして下さい。

【目次】

1.何故ピアスホールはケアが必要なのか

2.ファーストピアスのケア

3.ピアスを開けて1~2年のケア

4.3年目以降のケア、使っていないピアスホールのケア

5.まとめ


1.何故ピアスホールはケアが必要なのか

そもそも、なぜピアスホールをケアする必要があるのでしょうか?

それは、正しいケアを理解しないまま行ってしまうと、
むしろトラブルを増やしてしまうことになりかねないからです。

ケアすること自体が目的とならないよう、
理由を明確に捉えることが大切です。

ピアスホールケアをする目的は時期によって異なります。

まずはファーストピアスのケア。
これは良いピアスホールを作るために必要なケアです。

次にピアスを開けて1〜2年は、
しっかりしたピアスホールを育てるためのケアです。

3つ目はそれ以降、生涯続けるケア。
ピアスホールを健全に維持するためのケアです。
使わなくなってしまったピアスホールでも同様のケアが必要です。

これら3つに分けて、
具体的な方法を説明していきます。

2.ファーストピアスのケア

ファーストピアスのケアの目的は、良いピアスホールを作ること。

ファーストピアスを付ける期間は、2ヶ月ほどのごく短い期間なのですが、
生涯経験するピアストラブルの、じつに半分以上がこの時期に起きています。
まずは、このことを知っておいていただきたいと思います。

快適なピアスライフのスタートを切るためには、

◎正しくピアスを開けること

◎正しいケアで良いピアスホールを作ること

これが大切です。

ファーストピアスの正しい開け方についてはこちらの動画で説明しています。
これからピアスを開けようと考えている方はぜひご覧下さい。

ファーストピアスを開けてからピアスホールが完成するまでは、
1.5ヶ月から2ヶ月かかります。

この間、毎日のシャンプーをすすぐ際に、耳たぶも軽くすすぎます。

シャワーですすぎ、半周まわす

シャンプーをする際、耳タブについたシャンプー泡によって
ピアスホール周辺の油分や浸出液などの汚れが浮き上がります。
その泡を軽くすすぐだけで汚れはキレイに洗い流され
これだけでピアスホールを充分清潔に保つことができます。

ピアスホールを熱心に洗ったり、ピアス専用ケア用品はむしろトラブルを増やすのでやめて下さい。

感覚としては「シャンプーのついでにピアスのあたりも軽くすすぐ」
これだけで必要かつ充分です。

耳たぶをすすいだら、耳たぶの表側からピアスの石の部分を持って半周だけ回します。
方向はどちらでも結構です。ぐるぐる回す必要もありません。
これを1.5ヶ月から2ヶ月続けることで均一で良好なピアスホールが作られます。

そしてトラブルを防ぐ上で一番大切なのは、
できるだけピアスに触れないこと。

ピアスを開けた直後は、なんだか気になってついつい耳たぶに触れてしまう方がいます。

触りすぎによるトラブル

その刺激が繰り返されると、やがてピアスホールに赤みや腫れ、
汁が出るなどのトラブルが起きます。

じつはファーストピアスの失敗の一番多い理由は「触りすぎ」によるものなのです。

ピアスに触れるのは、毎日シャンプーの後、半周回す時だけ。
一日一回だけという意識付けが、触りすぎによるトラブルを防ぐことになるのです。

病院によっては、ファーストピアス後に消毒を指導されることがあると思います。
しかし最近の医学的な考えでは、消毒液では充分な清潔を保てないだけでなく、

消毒液によるかぶれ

化膿の予防にもなりませんし、カブレなどトラブルを引き起こすことがあり逆効果です。

また、薬局やネット通販などで売られているピアスケア用品もやめましょう。

よかれと思って、むしろトラブルをかかえてしまう方が続出しています。

「消毒しないとキズが化膿する」とか「水に濡らすとバイ菌が入る」というのは
とても時代遅れの考えです。難しいケアも必要ありません。
毎日シャワーですすぐだけで充分清潔を保て、むしろトラブルが少ないのです。

3.ピアスを開けて1~2年のケア

完成したばかりのピアスホールは、壁の皮膚が薄く非常にデリケートです。

ピアスホールは不安定な上、皆さんピアスのつけ外しにも不慣れなため、
ファーストピアスの次にトラブルが多いのがこの時期です。

皮膚にしっかりした厚みが出て、ピアスホールが安定するまでには1~2年かかります。
この時期のケアの目的は、しっかりしたピアスホールに育てることです。

この時期のピアスホールケアはとてもシンプルです。
それはピアスをできるだけつけっぱなしにすること。

意外だと思われるかもしれませんが、ピアスをつけていることで、
適度な摩擦によりピアスホールは自然とクリーニングされます。

また、ピアスの金属自体に殺菌作用があり常在菌の増えすぎを抑制できるのです。

付け外しがトラブルに

この時期のピアストラブルの多くは、ピアスの付け外しの時に
ピアスホールの壁をつついてしまい、傷ができることをきっかけに起きます。

毎日付け外ししたりすれば、そのたびに傷つけてしまうリスクが増えます。

つまり、つけっぱなしにするだけで、
そのリスクを何十分の1にも下げることができるのです。

ピアスによる赤み腫れ

さらにこの時期、ピアスホールは不安定で
ピアスを外した状態が長くなると狭くなりがちです。

2週間も外しているとピアスが入りにくくなることがあります。

狭くなったところに無理にピアスを入れると
ピアスホールを傷つけて大きなトラブルに繋がります。

少しでも入り難いと感じたら、
ピアスの軸の先端に少量の軟膏をつけてから入れることを薦めます。

ピアスをつけっぱなしにすれば、不安定な時期でも狭くなりません。
つけっぱなし=なんだか“ずぼら”な感じもしますが
つけっぱなしはこれらすべてを同時に解決する、シンプルかつ最強のケアなのです!

ピアスによるかぶれ

ただし、速やかにピアスを外すべき状況もあります。

それは特定のピアスをつけている間だけ赤くなったり痒くなったりする場合。
この場合は金属アレルギーが疑われますので、
すぐにピアスを外して皮膚科で相談して下さい。

耳タブ周辺は皮脂の分泌が多く、不潔になりやすい場所です。
また、ピアスをつけていると耳タブが洗いにくいため、清潔を保つのが難しくなります。

そのため、ピアスつけっぱなしだけではなく、最小限の清潔ケアが必要です。

入浴の際、石鹸を使って『耳たぶ裏の谷間』と『耳甲介』という部分を指で揉み洗いします。

ピアスとは無関係ですが、この部分は特に皮脂腺が発達していて
皮脂汚れが溜まりやすい部分です。

次に、ピアスを含む耳タブ全体を石鹸の泡で優しく包み込みます。
そして、3分後にシャワーで洗い流す。これでピアス周りや汚れが溜まりやすいキャッチ部分も充分清潔になります。

間違ってもピアスを外して器具やフロスなど異物をピアスホールに入れて掃除をしてはいけません。
しっかりケアしたつもりがピアスホールを傷つけ、赤く腫れ上がってしまうでしょう。

4.3年目以降のケア、使っていないピアスホールのケア

最後に説明するのは、3年目以降のケアです。

この時期は、ピアスホールを健全に維持するためのケアとなります。
また、使わなくなったピアスホールも同様のケアが必要です。

以前の動画でも説明したように、
ピアスホールの構造は皮膚で裏打ちされたトンネルです。
裏打ちしている皮膚の角質からも新陳代謝による垢がでます。

普通の皮膚の垢は、溜まる前に日々の入浴で洗い落とされるため清潔が保てます。
ところが、ピアスホールは細いトンネル状になっているので
垢をうまく洗い流すことができません。

日常的にピアスをつけていれば先ほど説明したようなケアで充分です。

ところが、ピアスを数ヶ月以上つけずにいると、ピアスホールに垢が溜ってきます。
数年放置すれば、ピアスホール内は垢がびっしり溜まってしまうのです。
垢の中は常在菌が非常に多く、存在するため化膿性炎症のリスクが高まります。

もう一つの問題は、この垢がピアスホールの臭いの原因になることです。
溜まっている垢が酸化され、プロピオン酸や脂肪酸などの臭い物質が生じます。
耳たぶを指先で揉むようにして、その指鼻にもってきて臭ってみて下さい。

もし強烈に臭うようなら、ピアスホールに溜まった垢のケアが必要なサインです。

ピアスホールに溜まった垢のケアは次のように行います。

まずピアスを外します。

次に少量のオリーブオイルかベビーローションをピアスホールに優しく揉み込みます。

30分ほどおいたら、石鹸と湯で軽く洗い流します。

オリーブオイルやベビーローションにより
硬くなった角質も柔らかくなり除去しやすくなります。

じつはこの方法、病院でお腹の手術をする前日に、
ヘソの垢による感染を予防する目的で行われるケアなのです。
臭いがなくても、この方法でケアしておくと良いでしょう。

ただしやり過ぎは良くないので、3ヶ月に一回を目安にしましょう

また、ケアとは違いますが、臭いやトラブル対策として
ピアスホールを手術で塞いでしまう方法もあります。

当院では、ピアスホールを塞ぎたいというご要望を多くいただいており、
毎週数件の手術を行っています。

ピアス閉鎖手術を希望される方は臭いの対策のほか

●ピアスをつけると痒くなる

●汁が出るので塞いでしまいたい

●ピアスホールが4個5個と増えすぎてしまったので
使わないところは閉じて見た目をスッキリさせたい

といった方が希望されます。

ピアス閉鎖手術の実際についてはこちらの動画をご覧下さい。

当院では、独自の方法で最小限の皮膚切開でピアスホールを閉じる手術を行っています。

5.まとめ

今回はピアスホールのケアについて説明しました。

知らなかったという方も多いのでないでしょうか?
是非ご家族やお友達とも共有していただけたら嬉しく思います。

尚、当院で治療をご希望の方は、
以下よりお気軽にご連絡ください。

ご連絡、ご相談、お待ちしています。

お電話でのご予約・お問い合わせ

電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。

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ご予約・お問い合わせ

【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

耳タブ変形はここまで治せる【耳垂裂、拡張ピアス、ケロイド】

  • 2025.01.23

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて、本日は耳たぶの変形、特に強い変形の治療についてお話しいたしします。

当院ではこれまで、数多くの耳たぶの変形の治療を行ってきましたが、
来院前の方から「強い変形があるのですが、そちらで手術は可能でしょうか?」と
お問い合わせをいただくことがあります。

多くの場合は、以前に近くの医療機関で治療を断られていらっしゃる方々、
九州や北海道など、遠方からのお問合せも多いです。

遠方から、あるいはお忙しい中で休みをとって当院まで足を運んでも、
また治療を断れてしまうのではないか…と、ご不安になっている方も多いようです。

そこで今回は、耳たぶの変形の強いケースを中心に、
当院の手術症例をできるだけたくさんご紹介し、

安心して来院していただくためのご参考にしていただきたいと思います。

記事の最後に料金についても説明していますので、
ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.耳垂裂 裂け目1~5箇所

2.先天性耳垂裂

3.拡張ピアス

4.腫瘍(ケロイド・粉瘤)

5.まとめ


1.耳垂裂 裂け目1~5箇所

耳垂裂は過去の記事や動画でも何度か取り上げていますが、
9割以上のケースが一箇所だけ切れている方です。

耳垂裂のほとんどは金属アレルギーが原因なので
一度切れるとおなじ耳で何箇所も切れてしまうことがあります。

何箇所も切れてしまうと耳たぶの皮膚に余裕がなくなり、
裂け目同士が接近していることも多いので手術の難易度は上がります。

症例数の多い熟練の外科医が丁寧に手術を行うことで自然な見た目に仕上げることができます。

■裂け目1箇所

手術前
術後1年

これは良くある1箇所切れているケース。右は術後1年の状態です。

裂け目を精密に合わせて再建することで手術の傷跡はほとんど目立ちません。

■裂け目2箇所

手術前
術後1カ月

続いて2箇所切れているケース。右は術後1ヶ月です。

傷は術後1年くらいこのように赤く見え、触れるとしこりを感じられます。

1年が過ぎる頃には赤みやしこりもひいて、目立たなくなります。

■裂け目2箇所(軟骨)

手術前
術後2カ月

これも2箇所ですが、軟骨が切れているケースです。右は術後2ヶ月。

軟骨部はピアストラブルが多いのですが、切れてしまってもこのように修復できます。

■裂け目2.5箇所(ケース1)

手術前
術後1カ月

これは2.5箇所切れているケース。2.5箇所というのは、2箇所が切れ、
間にあるピアス穴も伸びてしまっている状態のことです。
写真からもわかるように、やがて裂け目同士が繋がってしまいそうです。

右は術後術後1ヶ月です。まだ赤みが目立ちますが、
この時点ではこのように全体として良い形にできていれば大丈夫です。

■裂け目2.5箇所(ケース2)

手術前
術後1週間(抜糸直後)

これも2.5箇所のケース。2箇所が切れ、
それを隠そうと切れた隙間にあけたピアス穴がまた伸びてしまっています。

右は術後一週間、抜糸直後の状態です。
抜糸直後なので痛々しく見えますが、自然な形になっています。

■裂け目3箇所(ケース1)

手術前
術後1カ月

次に3箇所のケース。右は術後1ヶ月。

この時期なので当然ですが赤みが目立ちます。1年待てば目立たなくなります。

■裂け目3箇所(ケース2)

手術前
術後1週間(抜糸直後)

これも3箇所のケース。右は術後一週間、抜糸直後のものです。

裂け目同士が近接し、さらに拘縮によるズレもあるため難しいケースですが、
うまく修復することができました。

■裂け目3.5箇所

手術前
術後半年

これは3.5箇所のケース。3箇所切れて、その上のピアス穴も1箇所閉鎖しています。

右は術後半年ですが、患者さんのご希望により一番上は塞ぎませんでした。
それでも見た目は随分スッキリした印象です。

■裂け目4箇所

手術前
術後3カ月

これは4箇所切れたケース。沢山切れてタメージが激しいですが、
一つ一つ集中して丁寧に修復します。右は術後3ヶ月。

手術の前は痛々しかった耳たぶも
この状態であれば他人の視線を集めることもなくなります。

■裂け目5箇所

手術前
術後1週間(抜糸直後)

最後に5箇所、非常に沢山切れているケース。それも軟骨部です。

右は術後一週間、抜糸直後の状態。組織が不足しているため
手術直後には多少凹凸があります。これも1年ほどで目立たなくなっていきます。

このように、ピアスによる耳垂裂にはさまざまなケースがあります。

裂けている数が多いほど、また裂け目同士の距離が近いほど難しくなります。
そうしたケースでも丁寧に根気強く手術をすることで
自然な耳を取り戻すことができるのです。

2.先天性耳垂裂敗

耳垂裂のほとんどは、ピアスによるものであり、
先天性は耳垂裂のなかの1%以下に過ぎません。

先天性では、裂け方が不規則で個々のケースにより大きく異なることが多く、
裂け目の幅が非常に広い場合や、組織の欠損やねじれを伴うこともあるため、
手術の難易度が高くなる傾向があります。

子どもの頃に手術を受けるケースも多い一方で、
耳の形以外に合併症が少ないことや、全身麻酔のリスク、
入院の負担を考慮し、15歳以降の手術を勧められる場合もあります。

さらに、子どもの頃に大学病院などで手術を受けた患者さんが、
成人後に変形が気になり、再手術を希望されることも少なくありません。
成長した耳のほうが精密な手術がしやすい場合もあるため、
必ずしも子どもの頃に手術を受けることが最善とは限らないのです。

手術前
術後2カ月

このケースでは、子どもの頃に大学病院で矢印部分の手術を受けられた方です。
付け根に近い○で囲った部分の裂け目が気になるとのことでご相談をいただきました。

大学病院の主治医からは「これは変形ではないため手術の必要はない」と説明されたそうですが、
ご覧のように明らかにくびれが確認できたため、修正手術を行いました。

右は術後2ヶ月の状態で、顔から耳たぶへの立ち上がり部分がきれいに繋がりました。

手術前
術後2カ月

これは先天性耳垂裂で良くある裂け目が広いタイプです。

右は術後2ヶ月でまだ赤みの強い時期です。

このように裂け目が広いと傷が長くなりがちですが、
対耳珠に繋がる盛り上がりを利用することで短い傷で仕上がりました。

手術前
術後1年半

これは組織欠損を伴うタイプ。右は術後1年半です。

組織が足りないと耳たぶが小さくなりがちですが、
残っていた組織を無駄にしないように再建することで
耳たぶの大きさを保つことができました。

手術前
術後1週間(抜糸直後)

このケースでは、裂け目自体は狭いものの、組織欠損を伴い耳たぶが痩せています。
そのまま縫い寄せると、耳たぶのカーブに不自然なくびれができてしまいます。
そのため、デザインを少し大胆に工夫する必要がありました。

右の写真は術後1週間、抜糸直後の状態です。

痩せていた部分が改善され、カーブも自然に繋がっています。
また、傷跡は対耳珠の盛り上がりにうまく隠れる形となりました。

手術前
術後1週間(抜糸直後)

このケースでは、一見裂け目が狭いように見えますが、
裂け目に向かって耳たぶの幅が狭くなっており、
そのまま縫い合わせても大きなくびれができてしまいます。
このような場合も、思い切ったデザインを施さないと結果的に良い形にはなりません。
狭くなった部分を切開し、拘縮を解除してから傷を整えることで、自然な形に仕上げます。

右の写真は術後1週間、抜糸直後の状態です。

手術前
手術後

これは耳たぶの耳輪カーブにねじれがあるケースです。
そのまま無理にくっつけても、ねじれた耳になってしまいます。
ねじれた軸の関係を正し、並行していた軸を一直線に繋がるように手術を行いました。

先天性耳垂裂の手術では、多様な立体的変形を正確に評価し、
それをデザインに反映させる必要があります。

そのため、先天性耳垂裂はピアスによる耳垂裂に比べ、
手術の難易度が高くなります。

3.拡張ピアス

拡張ピアスは耳たぶ組織がおおきく引き延ばされていますが、
拡大の方向とは本来の耳たぶの形とはまったく無関係で、多くは正円形です。

また、引き延ばされた皮膚は弾性繊維が破断することでぶよぶよと不自然な質感です。
そのため、拡張されているとはいえ再建するための組織量はむしろ不足しています。

手術前
手術後

自然な形を再建するには慎重さと高いスキル、時に大胆なデザインが求められます。
また、拡張ピアスを閉じる手術は症例数が少なく、十分な手術経験がない外科医も多いです。

これらの理由により拡張ピアス閉鎖手術も難易度が高い手術と言えます。

手術前
手術後

これは拡張ピアスでも手術が簡単なケースです。

組織があまり引き延ばされておらず、拡張をやめてから数年が経過しているため、
穴は自然に縮んでいます。
また、ピアスホールの形が細長で、裂け目から耳たぶの縁までの距離が充分あります。
このような場合はピアスホールだけ直接閉じることが多いので比較的簡単な手術です。

手術前
術後1週間(抜糸直後)

このケースはかなり引き延ばされていますが、
前のケースと同様にピアスホールは細長いため、比較的簡単なケースです。

ただし、裂け目が耳たぶの縁に接近しているため、
ピアスホールだけを閉じると縁がイボのように飛び出して不自然になります。
そのため、一旦裂け目を切開し、縫い合わせて修正します。

右の写真は術後1週間、抜糸直後の状態です。

耳たぶ部分で拡張されずに残っていた組織が多いため傷が大きいものの、
全体の形は自然に仕上がっています。

手術前
術後1週間(抜糸直前)

これはさらに引き延ばされ、手術直前まで目一杯拡張されていたケースです。
このような場合、できるだけ組織を残しつつ、余分な組織は大胆に切り取ります。

右の写真は術後1週間、抜糸直前の状態です。

拡張により組織が不足していたため耳たぶは小さくなっていますが、
不自然にならない形で再建することができました。

手術前
術後3カ月

これは引き延ばされすぎて残された皮膚がぷらぷらの紐状になっているケースです。

右は術後3ヶ月。下側にあった紐状の部分を開くように再利用することで
耳たぶの大きさを保っています。

手術前
術後2カ月

拡張ピアスでは無理に拡張すると、
皮膚が耐えられず裂けてしまい耳垂裂の状態になることもあります。

これは無理に拡張して裂けてしまい20年経ったケース。

右は術後2ヶ月です。

20年経って拡張部分は小さくなっていますが
裂けた部分が気になり再建しました。

上段2つは、拡張ピアスが耳たぶの縁に近すぎたケース。右は術後1ヶ月後です。

中段2つは、拡大のペースが速すぎて切れたケースです。右は術後1週間、抜糸の時の状態です。

下段2つは、ピアスかぶれも伴っています。右は術後9日後、抜糸の時の状態。

カブレの塗り薬を使うことで皮膚の状態も改善しています。

このように拡張ピアスによる変形はさまざまですが、
再建する場合は残された組織をいかにうまく活用できるが大切で、
自然な耳たぶを再建するにはかなり多くの症例経験が必要となります。

4.腫瘍(ケロイド・粉瘤)

耳に多いできものといえば『粉瘤』があります。

皮膚であればどこにでもできる粉瘤ですが、
耳たぶ周辺は皮脂腺が発達しているので、狭いエリアの割には多くみられます。
耳たぶの裏側、付け根付近に多発することもあります。
また、ピアスをつける時にピアスホールを傷つけることで生じることもあります。

手術前
術後1週間(抜糸時)

このように非常に大きく成長することもあります。

右の写真は術後1週間、抜糸時のものです。このように多発したり、大きい場合でも、
耳たぶの裏には皮膚に余裕があるため、問題なく摘出することができます。

粉瘤と並んで多いのがケロイドです。

ピアスホールがジクジクした状態が長く続くと、ケロイドになりやすいです。

小さい場合は注射や貼り薬による治療をすることもありますが、大きくなると手術が必要です。

軟骨部のピアスは、ケロイドのリスクが特に高くなります。
軟骨部は血流が悪く、ピアスホールが完成するまでに時間がかかり、炎症が長引くためです。

耳たぶのケロイドは、耳たぶ内にできたものが表と裏に突出する特徴があります。
手術では、その両方を切除し、縫い合わせます。

手術前
手術直後

また、特発性ケロイドという、
ピアスなど明らかな原因がなくて生じるケロイドもあります。
特発性ケロイドは、時に大きく育つことがあります。

ケロイドは切除の再発傾向の高いことが特徴でも有ります。
そのため最近はケロイドを専門的に扱っている
提携クリニックに紹介することが多くなっています。

5.まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

本日は耳たぶの変形について、変形の強いケースを中心に多くの症例をご紹介させていただきました。

最後に当院の手術料についてご案内します。

耳垂裂と拡張ピアスは自費になります。

■手術料金(税込・25年1月現在)

【耳垂裂形成術】66,000円、2箇所目以降55,000円

【拡張ピアス閉鎖術】110,000円、2箇所目以降99,000円

手術料金は予告なく変更されることがありますので、最新の情報はこちらをご参照下さい。

なお、

先天性耳垂裂、粉瘤とケロイドは保険適応です。

合併症として術後一時的な内出血とケロイドがあります。

ご覧の皆さまで、耳たぶ変形でお悩みの方がいらっしゃいましたら、
当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご連絡、ご相談、お待ちしています。

お電話でのご予約・お問い合わせ

電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。

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医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
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  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

【大後悔】ピアス失敗【リカバリーはこうやる】

  • 2024.12.16

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

今回は『ピアスの失敗』についてお話ししたいと思います。

ピアスを開ける時までは「よし、この位置でいいだろう」と思い込んでいても、
開けてしまったあとで不自然さに気づき、後悔する人がたくさんいます。

理由の一つは、不慣れなこと。

開ける瞬間にズレてしまうんです。

実際に、当クリニックでは「ピアスを失敗してしまったのですが、
今からなんとかなりませんか?」というご相談も多くあります。

でも、安心して下さい。失敗したとしても諦める必要はありません。

なぜなら『リカバリーの方法』があるからです。

本日はピアスの失敗とリカバリー方法について詳しくご説明します。

数分で読める記事となっております。
ぜひ最後までお読みいただき、
お友達やご家族と共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.ピアッシングのリスク

2.よくある失敗

3.ピアス失敗のリカバリー方法は時期によって異なる

4.ピアス失敗のリカバリー方法

5.まとめ


1.ピアッシングのリスク

多くの方が一生に一度のピアッシング(ファーストピアス)ですが、
自分自身やお友達同士で開けたという方はとても多いです。

安くて、好きな場所に開けられて、時間もかからなければ、病院に行く手間もない。
ネット通販なら翌日に届くピアッサーを使って、ネット情報で勉強すれば大丈夫なはず。
コスパ、タイパも最高ですよね?浮いたお金でもう一つピアスも買えちゃいます。

でも、“失敗のリスク”という安くない代償を払っていることへの理解も必要です。

というのも、ピアストラブルをたくさん扱ってきた医師としての経験から言えば、

素人によるピアッシングほど、もっとも後悔の多い方法はない、ということです。

それは、高い代表を払うことになる人がたくさんいることを知っているからです。

費用も決して安くない医療機関でのピアッシング。ですが、どうでしょう?

安全を買うと考えれば、安価で懸命な投資という捉え方もできるのではないですか。
これから開ける方は、ぜひご検討ください。

ただ、残念なことに美容皮膚科やピアススタジオでプロに開けてもらったのに位置がおかしいというご相談もたまにあります。

医療機関にも常勤ではないアルバイトの医師もたくさん働いています。
たとえプロであっても、充分な経験がない人だと失敗してしまうのです。

精密なピアッシングはそれほど難しいということをご理解ください。

2.よくある失敗

ピアスで良くある失敗には次のようなものがあります。

上過ぎる
下過ぎる

【場所が下過ぎる、上過ぎる】ピアスの標準的な位置についての知識がないことが原因です。

【左右で位置がずれた】なんとなくの感覚だけで開けると、大抵左右でズレます。

【ピアスの角度が揃わず、両耳のピアスがあべこべの方向を向いてしまう】

耳タブを引っ張りながら開けると角度がズレてしまいます。

■「耳たぶの立ちあがり角度(耳介聳立角)」

耳タブの形はほとんどの人が左右非対称ですし、

耳介聳立(じかいしょうりつ)という

耳タブの立ちあがり角度が左右で違う方も多いので

これらを計算に入れないと正面から見た時に左右がキレイに揃いません。

他にも、

  • 位置が不適切なため不自然、せっかく買ったピアスがつけられない。
  • 同じ耳に二ヵ所目を開けたら距離が近すぎてピアス同士が当たってしまう。
  • 開け直しているうちに使わないピアス穴がどんどん増えてしまった。
  • 軟骨部に開けてしまった。

などがあります。

これら失敗の原因はなんといっても『不慣れなこと』と『知識不足』です。

セルフのピアッシングを勧めるわけではありませんが、私たち医師が行っているファーストピアスの開け方についてはこちらの動画をご覧下さい。

3.ピアス失敗のリカバリー方法は時期によって異なる

失敗してしまったピアス穴。できることなら、なかったことにしたいですよね?

じつは正しい方法でリカバリーすれば、失敗もほぼほぼ無かったことにできるのです。

■「ピアスホールが完成するまで」

ピアスホールが完成するまで

ところで皆さんは、ピアスホールがどのように完成するかご存じですか?

リカバリーの方法と関係することなので、ここで改めて説明します。

[STEP.01]

ピアッサーで耳タブに穴を開けると、ピアス軸の周りに脂肪が露出したキズができる。

[STEP.02]

数日経過すると、このキズを覆うために、周辺の皮膚がピアストンネルに侵入する。

[STEP.03]

この皮膚が、耳たぶの表側と裏側から同時にトンネルの壁を裏打ちするように伸びていき、やがて中央で繋がることでピアスホールというわけです。

ここまでに要する時間は、トンネルの長さ、すなわち耳タブの厚さにもよりますが、おおむね4〜8週、つまり1,2ヶ月です。

さて、失敗したピアスのリカバリーの方法ですが、リカバリーするのが、ピアスホールが作られる工程のどの時期かで異なります。

つまりピアスを開けてから、どのくらい日にちが経っているかで違ってくるのです。

・ピアスを開けて1週間以内の場合:

ピアストンネルに皮膚の侵入がはじまった頃にあたります。
この時期ならピアスを引き抜くだけで、多くの場合ほとんど跡を残さず塞がるでしょう。1年も経てばピアス跡はよく分からなくなるはずです。

・ピアスを開けて2-3週の場合:

入り口と出口から皮膚の侵入が始まり、トンネルの裏打ちが伸びてくる時期です。

ピアスを引き抜くだけでおおむね塞がりますが、耳たぶの表・裏にすり鉢状の凹みが残ります。徐々に浅くなりますが、凹みが気になる場合、手術で目立たなくすることもできます。

・ピアスを開けて4週以降の場合:

耳たぶの表側と裏側から伸びた皮膚が中央で繋がってピアスホールが完成した時期、あるいはそれ以降にあたります。
ピアスホールは皮膚で裏打ちされているので、狭くなっても完全には塞がりません。
中途半端に塞がって上皮が取り残され、将来トラブルを起こすリスクもあります。
また、上皮の新陳代謝によりピアスホールに垢が溜まるので臭いの原因にもなります。

4週以降の場合は、このあと説明するピアス閉鎖術でリカバリーすることができます。

いずれにしても大切なことは

失敗したら出来るだけ早くピアスを引き抜いてしまうことです。

なお、ここで説明した日にちはあくまでも目安であって、キズの治る速さや耳たぶの厚みなどの要因により、1週間程度前後することあります。

4.ピアス失敗のリカバリー方法

ピアスを開けて1週間以内なら、ピアスを抜けば跡はほとんど残りません。
2~3週間経過後でも抜いてしまえば、それほど目立たない状態にできます。
ただし、4週間目以降の『リカバリー方法』は手術となります。

ここで当クリニックのピアス閉鎖手術を説明します。

私たちの方法は、通常の半分程度の切開からピアスホールの皮膚を確実に処理します。
傷跡が最小限にできることと、将来の皮膚残存によるトラブルを完全に防ぐことを特徴としています。

■ピアス閉鎖手術の実際

[STEP.01]

切開予定線をマーカーで描きますが、キズを極力小さくするために最小限とします。手術後に凹みが残らないように、ピアス穴の入り口にあるすり鉢状の凹みも切り取ります。

[STEP.02]

局所麻酔薬を注射します。手術自体まったく無痛ですが、この注射の所だけは多少チクチクします。当クリニックではここで特別な処置をしますが、企業秘密なので公開できません。同業の医師のみなさんは、先ほどの切開予定線を見てお気づきかと思いますが、私たちは独自の方法で、非常に小さなキズでピアスを閉じることができます。

[STEP.03]

先ほど描いた切開予定線に沿って耳たぶの表側と裏側の皮膚をメスで切開します。ピアスホールと、その周りの脂肪の間に狭い隙間を作り、裏打ち皮膚だけを引き抜くように取りだします。表裏の穴の皮膚とその間にあるピアスホールを、ひと塊として取りだすのです。

皮膚を残せば後々トラブルになります。ここは少し難しい部分ですが、私がフランスや日本の大学病院でやっていた“微少外科手術のテクニック”がとても役立っています。

[STEP.04]

写真は取りだしたピアスピアスホールです。

背景はガーゼですが、その目の荒さからかなり拡大した写真であることが分かります。周辺を傷つけずに、ピアス穴とピアスホールだけを引きに抜いていることがお分かりいただけると思います。

[STEP.05]

ピアスホールを取りだした後を、高周波メスを使って慎重に止血をします。皮膚を1~2針縫ってキズを閉じて手術は終了です。手術時間は一箇所10分ほどです。

[STEP.06]

手術後の写真です。キズは最小限でほぼピアス穴の大きさしかないことが分かります。一週間後に抜糸。傷跡がしばらくピンク色の点として見えますが、1年も経てばピアス跡はよく分からなくなります。

なおネットを検索すると、

手術ではなくレーザーで塞ぐという方法も見つけることができます。

レーザーでピアスホールに熱損傷を加えて自然に閉じるのを待つというやり方です。手術という精密な手技を必要としない代わりに様々デメリットも見えてきます。

■「レーザーによるピアス閉鎖」

まずピアスホールの深さ6,7ミリに渡ってレーザーで焼灼処理をすれば表面皮膚にもレーザーの熱ダメージが加わり、傷跡が残るリスクが高いでしょう。

また、ガイドのないレーザーでピアス穴の入り口と出口を正確に繋げることは極めて困難。そのため予定しない部分にキズができるリスクがあります。

ピアスホールの裏打ち皮膚を、ひとかけらも残さずに処理することは更に困難。そして、ピアスホール内の皮膚を少しでも残せば将来トラブルになります。

実際に当クリニックでも、レーザーによるピアス閉鎖後のキズ跡と上皮取り残しによるトラブルの症例を、手術によってリカバリーしたケースもあります。

■「私の治療イメージと術後の状態」

手術を担当した私には、レーザーによるピアス閉鎖は熱した火箸で火傷させるようなワイルドな方法だなと感じられました。

レーザーという言葉のイメージに惑わされることなく、こうしたデメリットも理解した上でよく検討していただけたら幸いです。

5.まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

本日はピアスの失敗とそのリカバリー法について説明しました。

失敗してもすぐには諦めずに、本日説明したリカバリー法をぜひ試してみて下さい。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご連絡、ご相談、お待ちしています。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

【意外な理由!】ピアス穴はなぜ伸びる?【治療と今すぐできる予防法】

  • 2024.11.01

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
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過去のブログ

肌爪チャンネルの動画
にありますように、
神楽坂肌と爪のクリニックはピアストラブル治療を得意としています。

そして最近、増えているのが

「ピアス穴が伸びる」

というご相談。

ピアス穴が数年のうちにドンドン伸びていき、見た目が悪い、
切れてしまいそうで不安とおっしゃる患者さんが多数来院されます。
ピアス穴はなぜ伸びてしまうのか、放置したらどうなるのか、
その治療法や予防方法についても詳しくご説明できればと思います。

ぜひ最後までご覧いただき、 ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.ピアス穴が伸びる・・・とは?

2.なぜピアス穴が伸びるのか?

3.放置したらどうなる?

4.治療法

5.手術

6.リスク管理と予防

7.まとめ


1.ピアス穴が伸びる・・・とは?

ピアス穴が伸びる。
それは、ピアスの穴が下の方に長く伸びた状態です。

少し穴が伸びてもピアスはつけられますし、大きなピアスで隠すこともできるでしょう。

でも、長く伸びてしまうとピアスを外したときに見た目が怖かったり、 そのまま切れてしまうのでは?と不安を感じます。

拡張したピアス穴
拡張せずに伸びたピアス穴

<伸びる理由は2つあります>

  • 意図的に穴を伸ばしている場合、いわゆる拡張ピアスです。
  • 普通にピアスをつけていて、穴がドンドン伸びていく場合。

どちらもピアス穴が大きく伸びた状態ですが、見た目はかなり異なります。

拡張ピアスの場合は、丸く開いていて向こう側の景色が見え、穴の縁がぶよぶよたるんでいます。

自然と伸びてしまった場合は裂けた穴というのはたいてい閉じた状態でたるみもありません。

拡張していないのに伸びてしまうピアス穴について、動画でも説明しています。
拡張ピアスを閉じたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

2.なぜピアス穴が伸びるのか?

本来のピアス穴は、生涯丸い穴のままでほとんど伸びたりしないものです。

よくある誤解ですが、大きく重いピアスをしたから穴が伸びるというものでもありません。
ピアスが引っかかり一気に裂けてしまったという方もいらっしゃいますが、非常に稀です。

耳たぶは、柔らかくヒラヒラしているため、外力を受けにくい形状をしています。
更にピアス穴は表面と裏面の皮膚で二重に補強されており、見た目以上に強度があります。

じつは、ピアス穴が伸びる原因は、外力による引っ張りではないのです。

症例写真
症例写真

まったく引っ張られることがなくても、小さなピアスをつけているだけで、ピアス穴は少しずつ伸びてしまいます。

では、なぜ丈夫なはずのピアス穴が伸びることがあるのでしょうか?

その鍵となるのは、ピアス穴が伸びてしまう患者さんに多かれ少なかれ共通して見られる、ある特定の症状です。

それはピアスが不安定で、ピアス穴がジクジクする、ピアスをつけると痒みや赤み、カサカサが続くといった症状です。また、ピアスの種類によって調子が良かったり悪かったりすることが多いです。

これはピアスの金属素材の刺激によるカブレ、接触皮膚炎です。

この状態を「ピアスで化膿した」と表現する患者さんも多いですが、実際は細菌感染による化膿性炎症ではなく、金属による接触皮膚炎です。

カブレが発生すると、最初は赤みだけですが、金属との接触が続くことで、丈夫な皮膚に『潰瘍』という深い傷ができます。
潰瘍によって皮膚が深く損傷し、その分ピアスは重力で少しずつ下に落ちていきます。落ち込んだ先の皮膚にも新たにカブレが生じ、潰瘍になります。

このサイクルが繰り返されることで、数ヶ月から数年のうちにピアスは徐々に下がっていきます。
ただ、カブレが発生した部分は、ピアスが下がって金属との接触がなくなるため、カブレが治まり、皮膚は修復されていきます。

この「ピアスが下がっては治る」という過程が連続的に繰り返されることで、結果的にピアス穴が伸びていくのです。

3.放置したらどうなる?

さて、ピアス穴が伸びたまま放置したらどうなるのか?

ピアスをつけなければ、それ以上穴が伸びることはありません。
ただ、残念ながら一度伸びた穴は短くなることもありません。

糸状皮膚で繋がった状態
完全に避けた耳垂裂

ピアスをつけ続けていると穴は伸び続けます。

気がつかずにピアスをつける方、伸びた穴を隠すためにピアスをつけ続ける人は多いです。

伸びて糸状皮膚で繋がったピアス穴と完全に避けた耳垂裂

するとやがて耳たぶが、糸状の皮膚でつながっただけの状態になります。
そして、ついには着替えなどちょっとした刺激で切れて完全に裂けてしまいます。

これを『耳垂裂(じすいれつ)』と言います。

完全に切れてしまうと見た目は更に不気味になり、見た人を驚かせるかも知れません。

4.治療法

伸びた穴は、形成外科や美容外科で手術を受けることで、塞ぐことができます。

あと、耳たぶの問題ではありますが、耳鼻科ではありません。ご注意ください。

特殊な手術で扱わない医療機関も多いので事前に確認することをお勧めします。

■手術費用について…

治療に健康保険は使えず、全て自費診療となります。
手術料は病院によって異なり、5万円から20万円以上にもなります。
毎回記事でも説明しますが、料金設定と医師のスキルはまったくの無関係です。

当院手術例:手術前
当院手術例:手術後1年

■後悔しないためには…

目立つ広告や、なんとなく良さそうといったイメージに惑わされることなく、実際に執刀する外科医の耳の手術実績を公開しているところをお勧めします。

十分な経験と実績がある医師が手術すれば、跡はほとんど目立ちません。

逆に、不慣れな医師が手術を行うと、傷跡や変形が目立ち、手術前よりも状態が悪化してしまうことがよくあります。

当院では、こうしたケースの修正手術も行っていますが、修正するよりも、最初から慣れた医師が手術を担当する方が仕上がりがはるかに美しくなります。

また、常勤の医師が説明から手術、抜糸まで、一貫して責任を持つ医療機関を選ぶことが大切です。

大学病院からの派遣アルバイト医師や美容外科チェーンの医師は、実績やスキルにばらつきがあり、結果が安定しないことがあります。

特に、説明を行う医師と実際に手術を執刀する医師が異なる場合には、注意が必要です。

5.手術

伸びた穴だけ塞ぐ例
完全に裂けた例
裂けそうになっている例

伸びたピアス穴は、早い段階であれば穴だけを塞ぐことができます。
完全に裂けてしまった場合でも、耳垂裂形成術という手術で塞ぐことが可能です。

よくあるケースとして、穴が伸びて裂けそうな場合には、一旦裂いてから耳垂裂の形にし、縫い合わせる方法が取られます。これは、無理に穴だけを塞ぐと耳たぶの形が不自然になってしまうためです。

手術方法は、伸びた穴と耳たぶの縁までの距離によって「そのまま塞ぐ」か「一旦裂く」かが決まります。

耳垂裂形成術にも複数の術式があるため、治療方針や手術方法については、担当医師とよく相談してください。

手術デザイン
術前
術後1年

裂いてくっつける場合、私たちはW形成術という術式で行います。
仕上がりが良いのは当然として、立体的な歪みが生じず、柔軟にデザインできるのでいろいろなケースに対応できるからです。

詳しい内容は以下の動画でも解説していますので是非ご覧下さい。

6.リスク管理と予防

ピアス穴が伸びる原因でもある“ピアスかぶれ”は、メッキなど安価な素材で起こりやすいです。

金属アレルギー:伸びたピアス穴、赤み、腫れ、水疱、痒み

金属によるかぶれを繰り返すとニッケルやクロムなどへの金属アレルギーになってしまい、短時間の接触でもかぶれるようになります。

日本人の10人に1人が金属アレルギーであるとも言われますが、耳タブやまぶたは特に症状の出やすい場所です。

一度アレルギーになってしまうと治療は困難で、その金属に触れないことが唯一の対処法となります。ピアスを開け直しても、すぐに同じように穴が伸びしまいます。

ピアス穴が伸びるリスクについて

●アトピー性皮膚炎

皮膚のバリアーが弱いのでかぶれが生じやすいです。

●ピアスの数が多い

ピアス穴が増えるほど金属アレルギーのリスクが高まることが分かっています。

●安価なアクセサリー

身体に直接触れる金属は高価でも質の良いものを選ぶ必要があります。
チタンやプラチナ、18金はかぶれにくいと言われていますが、金属素材は外見から判別しにくいので信頼できる店舗で購入する必要があります。

とくに「通販」は問題外です。絶対に避けるようにしましょう。

このようなリスクを意識することが予防にも繋がりますので参考にしてみて下さい。

7.まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回はピアス穴が伸びるという症状について詳しく説明しました。
早めに治療を受ければシンプルな手術で済むことも多いです。
少しでも気になるという方は、お早めに治療実績のある医療機関で相談されることをお勧めします。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

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  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
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【専門医のまとめ第7回】巻き爪やさしく解説:爪棘【突然の痛みはコレが原因】

  • 2024.10.02

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪やさしく解説シリーズ、
今回は「爪棘(そうきょく)」について取り上げたいと思います。

爪棘とは、あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、
突然の激痛ではじまり、適切な手当をするまで、
どんどん痛みが進行していくという非常に厄介な症状を引き起こします。

さらに厄介なのは、ホームケアやお薬は無効で自然治療もほぼないということ。
一旦発症してしまうととても厄介ですが、有効な予防策がない訳ではありません。
そこで今回のブログでは、そもそも爪棘とは何なのか?というところから、
できる理由と治療法、予防法まで詳しく説明していきたいと思います。

ぜひ最後までご覧いただき、
ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.爪棘とは何か?

2.爪棘はなぜできるのか?

3.爪棘の診断

4.爪棘を治すのは簡単!

5.爪棘の予防

6.まとめ


1.爪棘とは何か?

巻き爪の典型的な症状として
「パンプスなどで圧迫された時などにジワッと痛む」というのがありますが、
それがある時、突然鋭い激痛に変わり、触れることさえできないくらいに
ズキズキと激しく痛みはじめることがあります。

ズキズキとした痛み。その原因になるのが爪棘。つまり“爪のトゲ”です。
痛みは突発的かつ強烈で、痛みのレベルで言えば
前回のテーマで取り上げた『肉芽』をさらに上回るほどツライものです。

爪棘の痛みには、進行性というもう一つの特徴があります。

通常、足の爪は月に約1.5ミリのスピードで指先に向かって伸びます。
爪棘は、爪の先端がトゲのようになっている状態。
そのため、爪と同じスピードで指先に向かい、少しずつ肉に刺さっていきます。
まるで身体の中に一寸法師がいて、
縫い針のつるぎで肉を突き刺しているようなものです。

そのため軟膏や飲み薬で様子を見たところで、
まったく改善せず、むしろどんどん悪化していきます。
化膿して真っ赤に腫れ上がったり、肉芽ができたりすることもあり、
最悪の場合、爪棘の先端が指先から飛び出してくることもあるのです。

取り除かれた爪棘

しかもこの痛みというのは、爪棘を取り除くまでずーっと続きます。
何年ものあいだ、セルフケアで凌いできた巻き爪患者さんが、
突然の激しい痛みに耐えきれずに医療機関に駆け込んでくる。
そのもっとも多い理由が、この『爪棘』なのです。

2.爪棘はなぜできるのか?

爪のトゲは自然にできるのではありません。
じつは、患者さん自身が作ってしまっているのです。


その背景にあるのが、巻き爪。巻き爪の患者さんの中には、
爪のくい込みを深爪で回避している方がたくさんいらっしゃいます。
むしろそれが普通と言ってもいいくらいです。
そして多くの場合は、深爪で痛みがなくなります。

しかし、自分の足の爪を切るのは意外と難しいもの。
理由としては手の爪に比べて、厚くて切りにくい、
遠くて見えづらい、身体が硬いと届きにくい、など。
特に炎症による腫れや痛みがある状態で、
家庭用の爪切りで正確に切るのは至難の業です。

そうした状況の中で、運悪く爪の一番深い所を切り残してしまうことがあります。
そこで残った爪を引き抜くように取り除こうとすることで、
爪の角がトゲ状に残る⇒これが爪棘誕生の瞬間です!
そして、直後~翌日あたりから激しい痛みに見舞われます。

3.爪棘の診断

爪棘の治療をする上で求められるのは、
当然ながら速やかに激しい痛みを取ることです。
そのために医師に求められるのが、正確な診断能力と的確な処置を行うスキル。

よくある「軟膏やテーピングで様子を見ましょう」というやり方は、
爪棘にはまったく通用しません。それは爪棘の症状は突発的かつ進行性だから。
患者さんの痛みは数日の間にドンドン悪化してしまいます。
患者さん側には経験のある医師を選ぶことが求められるのです。
そのため、医師も患者さんも爪棘の特徴についてよく知っておく必要があります。

1.病歴の特徴

爪棘は、長年『巻き爪』で悩んでいた患者さんによく見られます。
こうした患者さんは痛みを深爪で凌いできたケースが多いです。
痛みが出る数日前に爪を切ったというエピソードもよく聞きます。


痛みの原因が思いつかないという患者さんでも
こちらから「直前に爪切りをしませんでしたか?」と尋ねると、
「たしかに、2日くらい前に気になって爪を切りました。考えてみればその後、急に痛みが出てきたかも」と答える方が多いのです。

2.痛む方向の特徴

巻き爪は、爪の横が皮膚に食い込むため、
横方向から皮膚を押すと爪の脇の皮膚が痛みます。
一方で爪棘は、爪の先端に小さなトゲがあるため、
指先の方から皮膚にちょんと触れるだけで、
その部分が針で刺されたような鋭い痛みを感じます。

3.痛む場所の特徴

巻き爪は、一般的に爪の中央付近から先の方にかけて痛みがあります。
爪棘では、指先の部分に集中した鋭い痛みがあるのが特徴です。

診察をする際、医師が不用意に患部に触れると
患者さんは飛び上がるほど痛いので
医師は指先だけで痛みの方向や場所を確認することが大切です。

そして、患者さん自身の指で軽く触れていただき、
横からと先から、どちらか痛いですか?
どの辺が痛いですか?とひとつ一つ尋ねながら診断します。

爪棘が放置されると、膿を伴う化膿性炎症になって指全体が腫れたり
肉芽の中に爪棘が埋まっていることもあります。それが更に進行すると、
爪棘の先端が皮膚を突き抜けて飛び出してくることもあります。

他院手術例

特殊な爪棘の例として、深爪とは無関係に生じるものもあります。
巻き爪の根治術後に生じるもので、爪母の取り残しなど不適切な手術が原因。
今回、取り上げている通常の爪棘とは症状・予後共にまったく異なります。
根治術の再手術が必要ですので、手術を担当した医師にご相談下さい。

4.爪棘を治すのは簡単!

爪棘に対して、内服薬や軟膏の効果は気休め程度にしかなりません。
テーピングや巻き爪ワイヤー矯正は、むしろ症状を悪化させます。
肉芽であっても冷凍凝固は無効です。

明らかな爪棘にそうした治療を勧められたら、ただちに次の病院を探しましょう。

Q.では、爪棘を治すにはどうしたらいいの?

これはとてもシンプルです。爪のトゲを切り取れば良いのです。
的確に判断して速やかに爪棘を切ること。それ以外の方法はありません。
爪棘は医療用の鋭いニッパーで切り取りますが、
それには二つの方法があります。

■方法①/簡易手術

巻き爪シリーズで何度も説明してきた簡易手術。
局所麻酔注射をして、爪の端を幅2-3ミリ切除すると同時に爪棘を取り出します。

■方法②/爪甲除去

局所麻酔をして、あるいは麻酔なしで爪棘だけを切りとります。
肉芽を伴っていたり、炎症範囲が広い場合は簡易手術。
症状が指先先端に限局する場合は爪甲除去が適切です。
簡易手術について過去の動画で詳しく説明しています。

▼是非そちらをご覧下さい▼

【巻き爪まとめ第3回】やさしく解説:簡易手術編【肉芽に確実&即効】

処置の痛みとして最も楽なのは意外にも麻酔なしでの爪甲除去です。
理由としては、指先へ痛い注射をせずに済むからです。
爪切り自体より、麻酔注射のほうがむしろ痛いと判断されるケースでは無麻酔でおこないます。

じつは、ほとんどのケースで麻酔なしで爪甲除去が可能です。
ただし、無麻酔での爪甲除去を痛みなく終わらせるには
高い診断能力と熟練の技が要求されます。
また腫れが酷い場合や、患者さんの不安が強い場合は 注射による局所麻酔をおこないます。

5.爪棘の予防

爪棘は一旦作ってしまうと厄介なので、予防がとても大切です。

聞いたことがある方も多いと思いますが
巻き爪では、爪はスクエアに切りましょうとよく言われます。
爪の角を切らない、角を深爪しないように、ということです。
誤解が非常に多いのですが、爪をスクエアに切っていれば
巻き爪が治るということでは決してないのでご注意ください。

あくまで角をスクエアに保てば深爪にならないので
少なくとも爪棘を作って急激に悪化することはないというのが本当のところです。

とにもかくにも爪切りに気をつけることで
突然の激痛に見舞われるリスクは回避することができるでしょう。
旅行などの大切なイベントの直前に
突発的に激しい痛みに見舞われることはぜひ避けたいものです。

旅行や運動の直前に、深爪をすることの危険性をぜひご理解下さい。

6.まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

巻き爪シリーズ第7回の今回は爪棘について説明させていただきました。
冒頭で、爪棘は何年にも渡って巻き爪を深爪で凌いできた患者さんに多いとお話ししました。

患者さんは決して好んで深爪をしているわけではなく、
あくまで巻き爪のくい込みを回避しようと深爪し、時に失敗して爪棘を作ってしまうのです。

最悪の事態に陥る前に、早めにワイヤー矯正などで治療されることをお勧めします。
また爪棘を作ってしまった場合でも、治療により痛みが落ち着いたら同様に治療を検討して下さい。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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【専門医のまとめ第6回】巻き爪やさしく解説:肉芽を簡単に直す方法【ホームケアと治療】

  • 2024.09.11

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪やさしく解説シリーズ。今回は痛くて辛くて直ぐに治したいのに、なかなか治らない、あのいや~な肉芽について取り上げます。

「肉芽ができる本当の理由とは?」

「なぜあんなにも治りにくいのか?」

など

肉芽の本質にせまり、すばやく確実に退治する方法を説明したいと思います。
ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.肉芽とは何か?

2.なぜ不良肉芽ができるのか

3.肉芽を治すのは簡単!

4.正しい肉芽ホームケア

5.病院での肉芽治療

6.簡易手術とは/a>

7.肉芽の予防

8.まとめ


1.肉芽とは何か?

巻き爪・陥入爪が悪化するとできる、赤くて痛い肉の塊、あれがいわゆる「肉芽」です。
「にくめ」とか「にくが」と呼ぶ人も居ますが、正式には「にくげ」です。

皆さまの中には、肉芽の辛さを身に染みてご存じの方も多いでしょう。
痛くて血が出るし、なかなか治らない「とっても嫌なヤツ」というイメージですよね?

でも、じつは肉芽にも『善玉』と『悪玉』があるのをご存じでしょうか?

■善玉肉芽について

肉芽のイメージとは正反対にキズを速やかに治す働きがあります。
善玉肉芽は血流が豊富で鮮やかな赤色です。
痛みもなく、盛り上がらずに速やかに上皮に覆われてしまうので、あまり目にすることはないと思います。

例えばホクロをレーザーでえぐって深いキズになると、まず善玉肉芽が作られ凹みを埋めます。
次に肉芽中の線維芽細胞がコラーゲンを作り、やがて肉芽全体がコラーゲンへ置き換えられます。
また、肉芽表面は豊富な血流と適度な潤いがあり、周辺から上皮細胞が移動するのを助けます。
このように肉芽が傷跡の組織に置き換わる治り方を「瘢痕(はんこん)治癒」と言います。

■悪玉肉芽について

一方で巻き爪の皆さんを苦しめるのは、悪玉肉芽のほうです。

我々医師は、善玉肉芽を単に「肉芽」、悪玉のほうを「不良肉芽」と呼んで区別します。
不良肉芽は血流が乏しいので色が悪く、表面に細菌感染を伴っていて膿を含んだ浸出液がたくさん出ます。コラーゲンへの置き換わりも遅く、表面に上皮細胞が伸びて来にくいので治りも悪い。

深い火傷や床ずれなどの時に現れて、治癒を遅らせる“やっかいもの”です。

巻き爪でできる不良肉芽の特徴は、爪の刺激を受け続けることで巨大化すること。
強い痛みがあり、歩きにくかったり、靴が履けなくなったりします。

また、出血や浸出で靴下を汚し続けます。
数ヶ月から数年、時には10年以上も居座り続けることがあります。

2.なぜ不良肉芽ができるのか

身体は早くキズを治そうしているはずなのに、なぜ不良肉芽を作ってしまうのでしょう?

不良肉芽というのは、

じつは身体がキズを治そうとする過程で生じるエラーによる不良品なのです。

キズの治りが何かの原因で妨害され、治癒に遅れが生じることが引き金になります。

遅れの原因が取り除かれなければ、身体は無理にでも治癒を進めようとします。
悪条件の中で懸命に肉芽を作ることで、エラーが生じて不良肉芽が作られてしまうのです。
不良肉芽は、キズを治すのに役に立たず、むしろ邪魔になるため治癒がますます遅延します。
原因が取り除かれないとエラーの悪循環に陥り、治癒は大幅の遅れることになります。

キズの治りを妨害して、治癒を遅らせる原因として最も多いのは異物です。

▼例えば▼

・爪や毛
・壊死組織などの血流のない生体組織
・ガーゼやコットンの切れ端
・手術用の糸などの医療材料
・砂粒
・植物のトゲや魚の骨など自然由来の物 など

異物以外にも細菌感染や血流障害、消毒液の細胞毒性も治癒を妨害する原因となります。

ここで、巻き爪で肉芽が作られる過程を見てみましょう。

はじめに深爪やきつい靴を履くことでキズができ、炎症が起きて腫れが生じます。
足はむくみやすいので腫れとあいまって、くい込みが厳しくなります。

くい込みを深爪で解決しようとして切り損ねてしまい、爪のトゲ爪棘を作ってしまうこともあります。
これら爪の刺激が1つ目の原因としてキズの治りが遅らせ、エラーの引き金が引かれます。

身体がなんとか早く治そうとして不良肉芽を作りはじめます。そして肉芽のボリュームで、ますますくい込みが激しくなる。

これが2つ目の原因になります。

歩行による刺激が3つ目の原因となって歩く度に肉芽を刺激し、悪循環が完成し、肉芽が巨大化します。

“キズを濡らすとバイ菌が入るという誤解”からキズを洗うのをためらい不潔になります。
不潔にすると細菌感染が生じ、4つ目の原因になります。治りが悪いのはバイ菌のせいだからと消毒液をつけ、その細胞毒性が5つ目の原因になります。

消毒液は細胞毒であるだけでなく感染もコントロールできませんが誤解から使い続けてしまいます。

消毒液カブレがおきて6つ目の原因になります。

このように様々な原因が重なりあって、状況が複雑化、深刻化するのです。
これが巻き爪で肉芽が作られ、慢性化していく典型的な経過です。
こうなると適切な治療をしなければ肉芽地獄から抜け出すのは非常に困難になります。

3.肉芽を治すのは簡単!

では、肉芽地獄から脱するにどうしたらよいのでしょうか?

ご安心ください。じつはとてもシンプルなのです。

エラーの原因をすべて取り除き、キズが治りやすい環境を整えさえすれば肉芽は速やかに縮んで消えてなくなります。

それなのに、なぜ巻き爪の肉芽はあれほどまでに治りにくいのでしょうか?
それは原因を取り除く事ができず、エラーの悪循環から抜け出せていないからです。
正しいアプローチをしなければ、治癒には結びつきません。

4.正しい肉芽ホームケア

肉芽できても、忙しかったり病院が遠かったりして、すぐに受診できるとも限りません。
辛い肉芽を早く治すために、まずは以下のホームケアを試してください。
大切なのは、先ほど申し上げたキズの治りを遅くしている原因を取り除くという考えです。

●圧迫をさける

圧迫による爪のくい込みはキズを作るきっかけでありエラーの原因でもあります。
パンプスやストッキング、パンプス用のフットカバー、タイツは避けましょう。

●安静にする

腫れとむくみを抑えることで爪のくい込みを和らげます。
散歩やスポーツ、長時間立ち続けることを控え、可能な範囲で安静にしましょう。
帰宅後に足に下にクッションを入れて横になることもおすすめです。
通勤や仕事で難しい場合は、週末の安静だけでも効果的です。

●清潔にする

1日1〜2回石鹸と湯で足全体を洗い、浸出液、古い軟膏やコットンの切れ端を綺麗に洗い流します。
足ごと風呂の湯につけても良いですし、抵抗があるなら足湯もおすすめです。
キズを濡らすとバイ菌が入るという考えは“まったくの誤解”ですので今すぐ忘れて下さい。

●消毒はしない

細胞毒性がエラーの原因になります。

これも誤解が多いのですが、そもそも消毒液ではキズは充分清潔にはならないのです。

●コットンパッキング

爪の刺激を和らげるためにコットンパッキングは有効です。

●テーピングをする

肉芽があると困難ですが、爪の刺激を和らげることができます。

●飲み薬を飲む

腫れを抑えるためにロキソニンなどの消炎鎮痛剤が有効です。

●軟膏を塗る

ゲンタシン軟膏やドルマイシン軟膏など、ワセリン基剤の軟膏を、キズではなく、バンドエイドのパッドに塗り、キズを優しく覆いましょう。

ハンドエイドが汚れたら小まめに取り替えます。軟膏はテープを貼りにくくするので日中テーピング、夜間は軟膏処置と使い分けるのがおすすめです。

ホームケアの具体的なやり方については、こちらの動画をご覧下さい。

うまくすればホームケアだけで落ち着いてくれるかも知れませんが、2週間試しても変化が無い、あるいは悪化する場合は皮膚科や形成外科を受診して下さい。

5.病院での肉芽治療

病院では、担当医師の考えに基づいて様々な肉芽治療が行われます。
ここでは病院でよく行われている肉芽治療について説明します。

●飲み薬と軟膏

ホームケアで説明した消炎鎮痛剤内服のほか、感染コントロールのために抗生物質内服薬を使われます。
免疫抑制による肉芽縮小を目的にステロイド軟膏を使うこともあります。ただし、こうした薬による治療はあくまで補助的なものであり、単独で肉芽を治療することは困難です。

また、内服薬や外用薬を別の種類に変更しても状況が改善することはありません。

●冷凍凝固

マイナス196度の液体窒素を肉芽に接触させて壊死させる方法です。
痛みが強く、繰り返し施術が必要で、効果も不安定です。

ガター法は、シリコンチューブを爪の端に被せて、当たりを柔らかくする方法ですがチューブの分ボリュームが大きくなり更なる刺激を生み出します。

人工爪は食い込んでいる爪をアクリル樹脂で延長することで刺激を和らげる方法です。ガター法同様、刺激自体は無くなりませんし、使用される薬剤HEMA ヒドロキシエチルメタクリレートの組織刺激性、細胞毒性は肉芽の原因になりえます。

この記事をご覧になっている方の中には何ヶ月も通院したけど一向に治らない、そんな経験のある方も少なくないのではないでしょうか。

病院で治療を受けても肉芽がなかなか治らないのには、理由があるのです。

先ほど挙げた治療法は、どれもキズの治りを遅くしているエラーの原因を取り除けていないからです。そんな時は一つの病院にとどまらず、1ヶ月を目処に、別の医療機関で相談してみることをおすすめします。

なお、神楽坂肌と爪のクリニックでは先ほどの肉芽治療のうち、お薬以外はどれも行いません。
意外だと思われるでしょうが、私達は“肉芽自体に触れること”さえしません。
巻き爪の不良肉芽は爪の刺激によるエラーの結果に過ぎないと考えているからです。
私達は積極的にエラーの原因である食い込んだ爪を取り除く簡易手術を行っています。
原因さえなくなれば、肉芽は放っておいても速やかに小さくなり、やがてなくなります。非常にシンプルなのです。

6.簡易手術とは

神楽坂肌と爪のクリニックで行っている簡易手術とは、bbiiiouu一般的には『部分抜爪』と呼ばれる方法です。局所麻酔をして、肉芽を刺激している爪を3、4ミリの幅で切り取ります。

痛みは直後から激減し、10日程で肉芽は自然に縮んで消えてなくなります。
先ほども言いましたが、肉芽を切ったり焼いたりせず、触れさえしません。
なぜなら、肉芽を除去すると術後の出血と痛みが激しくなるからです。
爪の刺激がなくなりさえすれば、肉芽は速やかに消えてしまうので除去する必要さえないのです。

■簡易手術最大のメリットとは!

それは、速効性と確実性です。
ただし、簡易手術をしても数ヶ月から数年おきに肉芽を繰り返す方もいらっしゃいます。
そんな方には、再発に強い『根治手術』という方法もあります。簡易手術、根治手術については過去動画で詳しく紹介しておりますのでぜひご覧下さい。

なお、ワイヤー矯正法は肉芽を悪化させることがありますので、肉芽治療には原則行いません。

7.肉芽の予防

ここまでご覧いただいた方には、予防法については、説明するまでもありませんね。
肉芽はキズを治そうとする過程で生じるエラーによる不良品なのですから、エラーの原因をすべて取り除けば、肉芽は予防可能なのです。

まずは、圧迫や深爪で肉芽のきっかけになるキズを作らないことが何より大切です。
キズができてしまったら、先ほど説明したホームケアで正しい手当をしましょう。
それでも肉芽ができてしまったら、2週間を目処に皮膚科や形成外科を受診します。
そこで1ヶ月しても改善が見られなければ、次の医療機関で相談することです。
これだけで長期間肉芽に苦しむことはなくなるでしょう。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第6回の今回は、肉芽について説明させていただきました。

痛くて治りにくい肉芽ですが、正しいアプローチをすれば速やかに治せることが
この記事を通してお分かりいただけたのではないでしょうか。

一日でも早く肉芽を治して、気持ちの良い一歩一歩を取り戻していただけたら幸いです。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

【専門医のまとめ第5回】巻き爪やさしく解説:巻き爪ワイヤー矯正編【無痛&速効性】

  • 2024.08.22

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪シリーズ、第5回の今回はワイヤー矯正について詳しく説明します。

巻き爪治療と言えば辛い痛みがつきものですよね?触れられるだけでも痛い巻き爪です。「その治療が痛くないはずがない」…そうお考えの方も少なくないと思います。

でもご安心を。ワイヤー矯正なら治療の痛みはまったくありません。ゼロです。しかも、痛みは99%以上のケースで治療開始5日以内に消失または激減します。

今回はそんな凄いワイヤー矯正について実際の施術動画も交えて詳しく説明いたします。ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.巻き爪ワイヤー矯正とは何か?

2.巻き爪ワイヤー矯正は他の矯正法とどう違うのか?

3.超弾性ワイヤー矯正とは?

4.神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正

5.ワイヤー矯正の実際

6.治療の流れ

7.ワイヤー矯正の問題点

8.まとめ


1.巻き爪ワイヤー矯正とは何か?

巻き爪ワイヤー矯正とは、爪にあけた穴に特殊な金属線を通し、金属線の力で爪の形を徐々に整え、痛みや圧迫感を取り除く方法です。

神楽坂肌と爪のクリニックでは、巻き爪で来院された患者さんに、ワイヤー矯正と前回の動画で説明した根治手術を中心に提案しています。

その際、どちらかへの誘導にならないよう気をつけています。あくまでも、フェアに、とくにデメリットを中心にご説明することで、患者さん自身に治療法を選んでいただくようにしています。

結果として、9割以上の方が『ワイヤー矯正』を選択されます。

■ワイヤー矯正の特徴

ワイヤー矯正の最大の特徴は“無痛”であること、そして速効性です。

「爪に穴をあけるのが痛そう…」とよく言われるのですが、実際はまったく無痛です。手術のような安静も必要なく、当日からハイヒールで歩いたり、走ることもできます。そして施術直後、あるいは遅くとも5日以内に99%以上の患者さんに痛みが激減・消失します。治療前は半信半疑だった患者さんも、本当に無痛であること、そして直ぐに痛みが取れることに大変驚かれます。

■ワイヤー矯正の欠点

欠点を挙げるとすれば、健康保険が効かないため費用が高いこと、そして根治手術と比べて再発に弱いことでしょうか。これは次に説明するワイヤー以外の矯正法もおなじです。

■治療費の相場

医師が施術する場合、治療費の相場は材料費込みで1回あたり5000円〜1万円ほどです。神楽坂肌と爪のクリニックで巻き爪矯正1クール、当院では4回ワイヤーを入れ替えながら半年間矯正すると、治療費総額は4万円ほどになります。

再発については後ほど説明します。

2.巻き爪ワイヤー矯正は他の矯正法とどう違うのか?

巻き爪矯正には使用する器具の違いによって、以下のような種類があります。

超弾性ワイヤー、巻き爪マイスター、VHO、BSスパンゲ、巻き爪クリップ。肌と爪のクリニックでは、ここに挙げた矯正法のすべてを取り扱っていますが、私自身が実際治療に使ってみて感じた特徴を表にすると以下のようになります。

今回、巻き爪ワイヤー矯正としてお話ししているのは、表でいう左端の超弾性ワイヤーによる矯正です。これは、私の知人であり尊敬する『町田英一博士』がマチワイヤー法として1999年発表された方法。ご覧のように、超弾性ワイヤーが総合的に最も優れています。そのため当院では、99%の患者さんに超弾性ワイヤーを使用します。また、全国の医療機関で、もっとも広く普及しているのもこの方法です。

3.超弾性ワイヤー矯正とは?

巻き爪矯正のワイヤーはニッケルチタンという特殊素材。ニッケルチタンは形状記憶合金として有名です。巻き爪矯正に使われるワイヤーは、常温で直線になるよう記憶させたもので、その温度帯で超弾性という非常にしなやかな性質を有しています。

超弾性ワイヤーを爪に開けた穴に通して、巻き爪のカーブに沿わせて固定すると、ワイヤーが直線の戻ろうとする力によって爪が引っ張られ、形が真っ直ぐに整えられるのです。

特徴はなんといっても適応範囲の広さです。爪の穴に単線を差し込むという非常にシンプルな構造で、矯正力の調整も自在なため、薄くデリケートな爪から分厚く硬い爪、軽い変形からひらがなの「“の”の字」に巻いた高度変形まで、あらゆる巻き爪をカバーします。コンパクトに爪と一体化するため、とくに意識することもなく、いつも通りの日常生活をおくることができます。パンプスを履いたり、スポーツをやったりできることはもちろん、空港セキュリティゲート通過やMRI検査も問題ありません。

4.神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正

神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正の最大の特徴は、その症例数にあります。

年間で5,000件、累計5万件以上施術しており、これは世界有数の施術実績です。

小さなクリニックではありますが、巻き爪矯正のスペシャリストとして、東京大学医学部附属病院や三井記念病院などの総合病院をはじめ、都内各所のクリニックから多数の紹介患者さんを受け入れています。もちろん、ご紹介がなくても当院に直接お問い合わせいただいても結構です。

もう一つの特徴として採用しているワイヤーとツールがあります。我々が独自に開発した『オニックスワイヤー®』という製品です。使いやすさと優れた治療実績から、最近採用する医療機関が増えています。本記事をご覧の医師の方で、興味をお持ちの方はこちらをご覧ください。

5.ワイヤー矯正の実際

オニックスワイヤーを使って施術している動画をご覧いただきます。

当院では、患者さんにご安心いただくために座った状態で施術します。ご自身の施術の様子を、目の前でご覧いただけます。当院で矯正を受けた患者さんであれば、この動画が決して早回しではないことがお分かりいただけるはずです。

過去に、他の病院や巻き爪治療院でワイヤー施術を受けていた患者さんから「前のところでは、すごく時間がかかった」「とても痛かった」という話しを伺ったことがあります。しかし、ご覧いただいているように、巻き爪ワイヤー矯正は正しくおこなえば、1分程で終わります。そして、まったくの無痛なのです。

ワイヤー矯正動画は、当院以外のものもYouTubeでいくつも見ることができます。

ぜひ「巻き爪 ワイヤー矯正」で検索して、比べてみて下さい。

6.治療の流れ

巻き爪ワイヤー矯正はワイヤーの力で徐々に形を整える治療です。急激に力を加えると爪が欠けたり、爪が剥がされて内出血をしたりすることがあります。また痛みが取れてからといってすぐに外すと後戻りしやすいです。

当院では半年くらいかけて徐々に爪の形を矯正していきます。通常は初診当日に矯正を開始します。開始直後はワイヤーが取れやすいので一週間後に再診していただきます。その後は6週おき通院していただき、その都度、爪切りとワイヤーの交換をおこないます。概ね半年後にワイヤーを外しますが、爪が硬い方や変形が強い方は1年位のこともあります。

7.ワイヤー矯正の問題点

ワイヤー矯正の優れた効果について説明してきましたが、ここで問題点について説明します。

1.再発が多い

我々の経験では、矯正1クールを終えた患者さんの約3割が再発で受診されます。根治手術の再発がほぼゼロであることを考えると、非常に多いと言えます。

再発が多い理由としては、

こちらの動画で説明したような巻き爪の原因が、治療後も取り除かれないため治療前と同じ理由で爪が巻いてしまうのです。

再発された方の99%以上が矯正再開を希望され、根治手術への変更を希望される方は、ほぼゼロです。

これはワイヤー矯正が無痛であることと速効性が評価されてのことだと思います。ワイヤー矯正は巻き爪と徹底的に闘うと言うより、日々一歩一歩を気持ち良く歩けるようになることが治療の目的と考えるべきなのかもしれません。

2.爪割れ、外力による脱落

亀裂脱落症例写真

つま先は外力を受けやすい部分であるため、ワイヤーは常に衝撃や荷重、摩擦、湿気に晒されます。厳しい条件の中、約3%の患者さんで爪が割れたり、接着が外れたりしてワイヤーが脱落します。そしておなじ患者さんで、何度も繰り返し外れる傾向があります。また、脱落してもご自身でワイヤーをつけることはできません。治療継続には来院が必要であり、患者さんの負担になることがあります。

3.取扱い医療機関が少ない

巻き爪ワイヤー矯正は非常に優れた方法であり、四半世紀もの歴史があります。にもかかわらず、いまだに皆さんが近隣の病院で手軽に受けられるほどは普及していません。

他院矯正症例

この理由として、医師のスキルによる治療成績のバラツキがあると考えています。安定した結果が得られないことが施術医師や患者さんの不信を招き、普及の妨げになっているのです。ご覧のケースは、治療途中で他院から転院されてきた患者さんたちで、2年以上続けてもまったく改善しないとか、ワイヤーが飛びだして危険というケースさえあります。

他院矯正例の当院やり直し例

こうした患者さんには、当院でオニックスワイヤーを使っての矯正のやり直しをおこないます。オニックスワイヤーは、医師が巻き爪矯正に取り組みやすい環境と整え、安定した治療成績が得られることを目的に開発されました。ワイヤー矯正の普及により、一人でも多くの患者さんが痛みから解放されることを願ってやみません。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第5回の今回は、ワイヤー矯正について説明しました。

ワイヤー矯正に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お近くの取り扱い医療機関、または当院までお気軽にお問い合わせください。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

お電話でのご予約・お問い合わせ

電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。

03-3513-8212

【平 日】10:00~13:00/14:00~19:00 【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30

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医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
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  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

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【専門医のまとめ第4回】巻き爪やさしく解説:根治手術編【元から絶つ・保険適応】

  • 2024.07.17

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪シリーズの第3回『簡易手術編』で、即効性と確実性が特徴の簡易手術について解説しました。

巻き爪シリーズ・第4回となる今回は『根治手術』について詳しく説明します。

「根治」とは再発しないように根本から徹底的に治すという意味です。

その名の通り、根治手術は一度受ければ再発することはありません。痛くて辛いだけでなく、再発が多いことでも知られる巻き爪・陥入爪でそんなことが可能なのか・・・

じつは可能なのです。

今回はそんなスゴイ根治手術について、実際の施術動画を交えながら詳しくご説明いたします。ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.治療の選択肢

2.根治手術の種類

3.神楽坂肌と爪のクリニックの根治術

4.根治手術の実際を解説

5.手術後の経過

6.根治手術のリスク

7.まとめ


1.治療の選択肢

神楽坂肌と爪のクリニックでは毎日たくさんの患者さんが受診されますが、その内のじつに6割以上が巻き爪の患者さんです。

重症・軽症に関わらず、患者さんが積極的治療をご希望の場合は根治手術かワイヤー矯正を提案し、患者さん自身で選んでいただきます。

■根治手術とは

食い込んでいる爪とその爪母を除去する方法です。特徴は、“再発がほぼゼロ”という根治性と確実性。再発をどうしても避けたいという方やI型陥入爪で簡易手術を何度やっても再発を繰り返してしまう方におすすめします。欠点は術後3日間もの自宅安静が必要なことで速効性に欠ける治療です。

安静と再発率については術式や医師によって異なりますので直接主治医にご確認下さい。健康保険が使えるので費用は8000円程。効果は一生持つため経済的な治療と言えます。

■ワイヤー矯正とは

器具を使って爪の形を整える方法で麻酔や切除は不要です。特徴は、無痛であることと速効性。「痛い手術は絶対いやだ」「3日間の安静はムリ」とおっしゃる方に人気があります。ワイヤー矯正の欠点としては、根治手術と比べて再発が多いことと、保険が効かないので費用が高額なことが挙げられます。

ワイヤー矯正については以下の動画で説明していますが、

次回の『巻き爪シリーズ第5回』であらためて詳しく説明する予定です。

2.根治手術の種類

根治手術には主な術式として「鬼塚法」「児島法」「フェノール法」があります。

■鬼塚法

鬼塚法

鬼塚法は私の恩師でもある鬼塚卓弥博士が考案した術式で、最も一般的な方法です。

シンプルな手術ですが、爪母以外に『側爪郭』という爪の横の皮膚も同時に処理することで再発リスクを下げています。組織損傷がやや大きいことが欠点として挙げられます。

■児島法

児島法

児島法は小さな切開から爪母のみを切除する方法で、鬼塚法同様広く行われています。

組織損傷の少ないため術後の痛みや合併症リスクが軽減されます。欠点は医師にある程度のスキルを要求し、視野が狭く切除が不十分になりやすいところです。

■フェノール法

フェノール法

フェノール法は爪母を切り取る代わりにフェノールという腐食性薬剤で変性させます。

メスを使わないので手術スキルが不要で、当日から歩行できるメリットがあります。欠点は、爪母処理を薬剤の接触時間でコントロールするので不確実になりやすいところです。

なお、これらの術式は医師の責任で選択されるものであって患者さん自身で選ぶことはできません。

患者さんが選べるのは術式ではなく、医師や病院ですので術式が気になる方は事前にホームページなどで調べてから受診するようにしてください。

3.神楽坂肌と爪のクリニックの根治術

実は神楽坂肌と爪のクリニックで行っているのは、先ほどの3つの代表術式とは違う方法です。

部分的Zadik法

部分的Zadik法という独自の方法で、根治性つまり再発しないことを追求した術式です。広い視野から責任爪母を直接、目で確認し、確実に切除します。

手術前
手術後

このため再発がほとんどなく、私は患者さんに再発率は1%以下、ほぼゼロと説明しています。25年前からやっているのですが、10数年前に学会発表しただけで論文にしなかったのでまったく普及していないというのが現状です。

ご覧になっている医師の方でこの術式に興味をお持ちの先生がいらっしゃいましたら、私の著書である最強巻き爪矯正テクニックに詳しい記載がございますのでぜひご一読下さい。

独自の方法ではありますが、私だけで25年以上・2000件以上の実績があります。

現在も、年間に80〜100件ほど行っていますが、ここ10年再発は経験していません。この数字から、再発率のかなり少ない術式と言えると思います。

4.根治手術の実際を解説

実際の施術を動画でご覧いただきます。
※実際の手術の様子は、動画の5:14からご覧ください。

まず、局所麻酔の注射をします。
根治手術では指全体が痛みを感じなくなる指神経ブロックを行います。指には時計でいう2時、4時、8時、10時の方向に神経が走っていますので、根本付近に針を刺したら順番にこれら神経を麻酔していきます。10分経つと手術が可能でそのまま2時間ほど効果がつづきます。その間、指は正座後の足の裏のような痺れた感覚になり、痛みはまったく感じません。

よく「以前の手術で麻酔が効かなかった」とか「医師から麻酔が効きにくい体質と言われた」とおっしゃる患者さんもいますが、じつはそのほとんどは医師の麻酔テクニックに起因するものなのです。経験のある医師が行えば、手術中はまったくの無痛ですのでご安心を。

手術はまず食い込んだ爪を食い込む幅だけ切り取ります。ここは前回の動画で紹介した簡易手術とまったく同じです。

部分的Zadik法では爪の切り取り線の延長線を、指の付け根に向かって皮膚切開します。関節の手前で90度折れてL字型にします。このL字型に後爪郭稜線の切開を繋げて扉の様な形にします。この扉を『皮弁(ひべん)』と言います。

次に皮弁を爪母の深さで剥がして扉を開くように持ち上げると「角(horn)」と呼ばれる爪母の一番奥と側縁が確認できます。ここで爪母を最初に切り取った爪の幅で、一番奥から半月まで骨の深さで切開します。この切開は半月の先で90度折れて、皮弁に連続させます。

次に完全に見えるようになった責任爪母を指先の方から付け根に向かって骨の深さ剥がします。先ほどの爪母の「角」部分は靱帯で骨にくっついているのでしっかり剥がします。「角」はケースによってはかなり深いことがあり、どの術式でも取り残しのリスクが一番高い部分なので特に慎重に行います。最後に残った爪母の一番奥を切り落とせば爪母全体が一塊として完全に取り除かれます。取れた爪母をよく観察し、取り残しが無いことを確認します。

皮膚を縫合して終わりです。時間は一箇所5分位、指の両側だと10分です。ご覧いただいたように出血はほとんどありません。最後に包帯を巻いたら手術した脚を心臓より高くしてベッドで30分休んでいただきます。

5.手術後の経過

フェノール法以外の根治手術は、痛みと出血対策のため術後の安静が非常に重要です。神楽坂肌と爪のクリニックの術後の安静について説明します。

手術後はタクシーか、ご家族が運転する車で帰宅していただきます。
激しい出血や強い痛みの懸念があるため、歩いたり電車で帰ったりすることはできません。

手術当日を含めて、3日間はご自宅で原則横になって過ごしていただきます。その際、手術をした足を心臓より高く保つことが大切です。

基本的に3日間は歩くことはできませんが、トイレなど最低限の移動は可能です。ただし、用が済んだら直ぐにまた足を心臓より高くしなければ出血や痛みが酷くなります。

とうぜん部屋を掃除したり、買い物に出たりはできません。高熱で寝込んでいる状態をイメージして下さい。

ただし、ベッドでなくても、ソファでも床の上で安静にしてもOKです。

手術後3日目の朝からシャワー浴が可能で、キズも洗い流していただきます。

また3日目からはゆっくりですが、キズのある足を庇いながら歩いていただけます。このため、両足同時に手術はいたしません。

7日目には、かなり普通の歩けるようになり、14日目に抜糸します。運動は2週後以降、様子を見ながらゆっくり再開していただきます。

2ヶ月後に再度受診していただき、処理した部分に爪が生えないことを確認したら治療終了。

おめでとうございます。もう二度と、巻き爪に悩まされることもありません。

6.根治手術のリスク

根治手術の効果について説明してきましたが、次にリスクについてご説明します。

「巻き爪・陥入爪の手術はリスクが高いので受けない方が良い」とか「慎重に考えるべき」という記事をネットで読んだことがある方も多いのではないでしょうか?実際に、皮膚科医にはそのように書いている先生が多いですし、日本皮膚科学会の公式ホームページにもそのような記載があります。手術をしても良くならないし、術後にひどく変形することがあるというのが理由です。

一方で私も所属している日本形成外科学会は治療ガイドラインで手術を推奨していますし、整形外科などでも積極的に手術をする先生が多いようです。それは困っている患者さんの症状を、手術以外の方法で改善するのは難しいと考えるからです。

巻き爪の治療が標準化されていないため、ある医師からは手術はリスクが高いので絶対やめた方が良いと説明され、別の医師には手術を勧められる、といったことがしばしば起きて、患者さんは混乱されるだろうと思います。

では、多くの医師が口にする『手術後のリスク』とはどのようなものなのでしょうか?

ここで、そのリスクについて

説明します。

■リスクその1【再発のリスク】

他院で手術を受けた症例

たとえ根治手術であっても、手術が不完全であれば再発することがあります。ほかの病院で、児島法やフェノール法で手術を受けた後に再発してしまい、私が部分的Zadik法で再手術をしたケースはたくさんあります。

私個人の考えでは、再発率の差は術式の選択よりも医師の技術的な差のほうがはるかに大きいと考えています。充分な経験のある医師が行えば、どの術式であっても再発はほとんどしないものです。

つまり、病院を選ぶことである程度コントロールできるリスクとも言えます。

再手術を避けるためには慎重に病院を選び、手術の前に主治医の話を良く聞いてから決断することが大切です。

■リスクその2【爪の見た目が悪くなるリスク】

他院で手術を受けた症例

根治手術は爪の幅を狭くする手術ですが、内側外側の両方の手術や、トランペットネイルでもともと爪幅の狭い方の場合、手術後に爪がとても小さくなって、見た目が気になることがあります。

手術後に気になったとしても、元に戻すことは決してできません。

このリスクは、医師が正しく適応症例を選ぶことでコントロールできます。

予防的手術はしない、カーブが強い場合はワイヤー矯正を検討するなどです。

患者さん側としては手術と矯正など、複数の治療に対応できる病院を選べるかが大切になります。

■リスクその3【爪変形のリスク】

他院で手術を受けた症例

根治手術は比較的組織損傷の大きいので、それが原因で爪が変形してしまうことがあります。一度変形した爪は元に戻すことは出来ません。

私達は他院の巻き爪手術後に酷く変形した爪に対して、冒頭に説明した無爪術、Zadik手術で対応することがあります。

他院手術後変形手術計画
術後半年後

写真の症例は他の病院でフェノール法手術を受けた後に爪が変形した方です。この爪変形は治療が出来ないため、患者さんの希望によりZadik法で爪を生えなくしました。

他院手術後変形
人工爪施術後

別の症例ですが他の病院で児島法手術を受けて爪が変形した方です。治療は出来ませんが、患者さんの見た目を改善して欲しいというご要望により人工爪を付けました

手術後の爪変形は手術による過度の組織損傷や、手術前からあった靴等による爪のダメージが手術で悪化することが原因です。

リスクを小さくするために医師が丁寧な手術を心がけること、手術前から爪の厚みや伸びの遅さがある場合は手術ではなくワイヤー矯正など別の治療を検討する等があります。

また私は15才未満の成長期では変形リスクが高まると考えています。

そのため当院では15才未満の患者さんには根治手術ではなく日常的なケアによる改善や簡易手術をお勧めしています。

根治手術に伴うリスクについて説明しました。

医師はリスクの説明はできますが、代わりにとってあげることは決してできません。リスクを受け入れるか、受け入れないかの判断は患者さん自身の責任でもあります。

ご自身の症状の改善とリスクを天秤にかけてじっくり慎重に検討して下さい。

7.まとめ

今回の動画では巻き爪の根治手術について説明しました。再発に強いという大きなメリットをお分かりいただけたかと思います。

一方で、もう一つの選択肢ワイヤー矯正についてもっと知りたいという方も多いのではないでしょうか。

次回の巻き爪シリーズ第5回では巻き爪の『ワイヤー矯正治療』について取り上げますのでぜひご覧下さい。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

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【平 日】10:00~13:00/14:00~19:00 【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

【専門医のまとめ第3回】巻き爪やさしく解説:簡易手術編【肉芽に確実&即効】

  • 2024.06.07

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪シリーズの第2回『治療総合編』で、巻き爪手術について簡単に触れました。

そこで今回は、手術治療の中で一番シンプルな簡易手術について詳しく説明したいと思います。

手術というとなんだか怖い感じがするかもしれませんが、肉芽がある場合でも手術の翌日から痛みなく歩けるようになり、旅行もできます。何年も悩みつづけた肉芽がわずか数日で消えてなくなります。

今回はそんなスゴイ簡易手術について、詳しく説明いたします。ぜひ最後まで読んでいただき、「そうなの?」「知らなかった!」という気づき・発見がありましたら、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.巻き爪手術 二つの方法

2.各手術の特徴

3.肉芽とは何か?

4.簡易手術と手術以外の肉芽治療との比較

5.簡易手術が向いている患者さんとは

6.簡易手術の実際を解説

7.簡易手術後の経過

8.まとめ


1.巻き爪手術 二つの方法

上記のとおり、巻き爪の手術には【簡易手術】と【根治手術】の二つがあります。イラストにあるように簡易手術では食い込んでいる爪のみを除去し、根治手術は食い込んでいる爪とその爪を作っている爪母を除去します。

<簡易手術について>

簡易手術は、速やかに痛みを取ることを目的とします。
速効性と確実性が特徴で一般的には部分抜爪とか陥入爪手術(簡単なもの)と呼ばれます。

<根治手術について>

根治手術は、再発させないことを目的とします。
根治性が特徴で、『鬼塚法』や『児島法』などの術式があります。

2.各手術の特徴

患者さん目線での、二つの手術の違いについて説明します。
ここでの数字データは施術する医師によって大きく異なりますので参考までにご覧下さい。神楽坂肌と爪のクリニックでは赤字の数字で患者さんに説明しています。

典型症例簡易手術

簡易手術は30秒しかかからず、安静期間は当日のみ。翌日から痛みなく歩くことができます。もっと言えば、走ることさえできます。この速効性と確実性こそが簡易手術における最大のメリットと言えるでしょう。
一方でデメリットは再発に弱いこと。爪を作る爪母を除去しないため、爪は1年程で元通り生えるからです。約半数で再発し、もっとも早いケースでは半年で痛みがでることがあります。このため、応急的処置とも言えますが、そのまま治ってしまうケースもあります。

典型症例根治手術

根治術は、簡易手術とは逆に再発がほぼゼロですが、術後3日間の自宅安静が必要で速効性という面で劣ります。病院によっては、入院でおこなうこともあります。スケジュール調整など事前の準備も必要なため、気軽に受けられる治療ではありませんが、簡易手術をやっても半年など短い期間で再発を繰り返すような場合には根治手術への切り替えをおすすめしています。

状態に応じて手術を使い分けることがとても大切ですので、複数の手術を行っている医療機関で治療を受けられることをおすすめします。

ちなみに、ずっと昔におこなわれていた爪をすべて取り除く「抜爪術」は、現在ではほとんどおこなわれません。

3.肉芽とは何か?

肉芽

巻き爪・陥入爪でできる、あの痛い「肉芽」とはいったい何でしょうか?

肉芽とは、赤いゼリーのようなもろく柔らかい肉の塊で、『不良肉芽』や『血管拡張性肉芽腫』などとも呼ばれます。

深爪や靴の圧迫により、爪が皮膚に刺さってできた小さなキズが、肉芽発生のきっかけになります。そこに爪の刺激がつづいたり、手当が悪くてキズの治癒が邪魔されたりすると肉芽が盛り上がってきます。歩くたびに爪が刺さる痛みがあり、いつまでも汁や出血がつづくなど、たいへん不快なものです。

あまりに痛みがひどくなると、まともに歩けなかったり、靴が履けなくなったりすることもあります。

4.簡易手術と手術以外の肉芽治療との比較

肉芽があって医療機関を受診した場合、先ほど説明した手術より、むしろ以下のような治療を提案されることが多いと思います。

◎内服薬、外用薬
◎テーピング
◎液体窒素による冷凍凝固
◎ガター法
◎人工爪

内服薬・外用薬やテーピングは、軽症例を除いて単独で肉芽を治療することは困難です。

冷凍凝固は痛みが強く効果が不安定で、繰り返し施術が必要なことが多いです。

ガタ―法(左)・人工爪(右)

ガター法や人工爪は、手術同様に麻酔が必要なわりに信頼性に欠け、効果も限定的です。

いずれの方法においても、たとえ肉芽が治ったとしても治癒まで数週間もの間痛みが続きます。そうなると治療で治ったのか、自然治癒力で治ったのかもわかりません。

これら手術以外の治療は、爪には触れずに肉芽自体をなんとかしようとしているのですが、肉芽の原因になっている爪の刺激がなくならないのでなかなか改善しないのです。肉芽治療の大原則はキズへの刺激を取り除くことと、治癒環境を整えることです。

そのために簡易手術をして術後正しく処置をすれば、肉芽は10日程で自然に縮んでなくなります。速効性・確実性から肉芽治療においては、簡易手術に圧倒的なアドバンテージがあると考えています。

5.簡易手術が向いている患者さんとは

先ほどから繰り返している速効性・確実性ですが、なぜそんなに大事なのでしょう?

それは、肉芽のある患者さんのなかには、何ヶ月も自分で、あるいは他の病院で治療をしていながら一向に良くならず、大切なイベント直前になって『神楽坂肌と爪のクリニック』に飛び込んでこられた方が非常に多いからです。以下は、私が実際に経験した患者さんの例です。

[CASE.01]翌日にディズニーランドを子供連れで、一日中歩き回るというお母さん

[CASE.02]翌日から修学旅行で沖縄へ出発するという高校生

[CASE.03]明後日に海外出張が迫っているというビジネスマン

[CASE.04]3日後の運動会のリレーで、アンカーを走るという中学生

[CASE.05]翌週に自身の結婚式でハイヒールを履くという女医さん

など。

このような患者さんでは、速やか、かつ確実に治療して差し上げないと、大切な予定を台なしにしてしまうかもしれません。治療する側の責任も、たいへん重いものです。今回の記事をご覧いただいている方なかに医師の方がいたら、ぜひ考えてみてください……。このような患者さんのために、我々医師はなにができるでしょうか。先生だったら、どうしますか?

私がこれらすべての患者さんにおこなったのは、簡易手術でした。そして幸いにも、全員が無事に痛みもなく大切な予定を終えることができました。もちろん、大切な予定がなかったとしても辛い肉芽というのは一日でも早く治したいものです。

悩んでいる方は、あまり我慢せずに早めに医療機関で相談して下さい。すでに治療中で経過が芳しくないという方は、他の医療機関でも相談されることをおすすめします。1ヶ月通って肉芽が良くならなければ、そのまま続けてもあまり期待できないと思います。

6.簡易手術の実際を解説

※実際の手術の様子は、動画の7:25からご覧ください。

まず局所麻酔の注射をします。
指先に直接針を刺したりすると激痛なので、我々は『ウイングブロック』という方法をおこなっています。この方法は、爪の付け根と関節の中間地点あたりの感覚が鈍い部分から針を刺します。針先を足の裏に向けて、指の裏側を走っている指神経と血管の束周辺、そこから爪側に伸びている細い神経の枝の周囲に麻酔薬を注入していきます。熟練した医師がおこなえば爪の半分が完全に無痛となりますので、その後の施術で痛みを感じることは全くありません。

次に爪が皮膚に食い込んだ部分を5~8ミリの幅で皮膚から剥がします。

この時に使う器具がとても重要で、私たちは刃が薄く、刃先剛性の高い特殊なハサミを使っています。見た感じは痛そうに見えますが、先ほども書いたように施術中の痛みはゼロ、軽い圧迫感を感じるだけです。次にハサミを使って、剥がした部分で爪に切れ目を入れます。この時に、爪の下にある爪床・爪母と呼ばれるところを傷つけないことがとても大切です。傷つけてしまうと術後の出血が多くなったり、将来的に爪に亀裂が生じる原因となったりするからです。

最後に、切れ目を入れた爪を先の細い道具で掴んで指の中心に向かって捻り、そっと引き抜きます。間違ってもまっすぐ強引に引き抜いてはいけません。抜き方が悪いと爪周辺の組織を損傷し、術後の出血と痛みが激しくなります。手術は一分もかからず終わり、この後5分ほどキズを抑えて止血します。

抜いた爪を見ると、表面から見えていたよりもかなり深く刺さっていたことがわかります。

7.簡易手術後の経過

手術後2時間程度は麻酔が効いた状態なので、歩いても痛みはまったく感じませんが、出血することがあるので寄り道せずにまっすぐご帰宅していただき、

当日は自宅で安静していただきます。

当日からシャワーを浴びることができ、患部を洗い流すこともできます。清潔なタオルで水分を取ったら、軟膏をつけたバンドエイドでそっと保護します。

翌日から痛みをほとんど感じることなく普通に歩くことができます。手術の前のように、歩くたびに爪が肉芽をチクチク刺激することがなくなるからです。

一週間後に再度診察していただき、痛みがなくなっていることを確認します。

当院では簡易手術を年間180件ほどおこなっていますが、一週間後の時点で痛みが取れていないケースはゼロであり、過去数千例で直後に手術をやり直した経験はありません。

この確実性と即効性は、医師にとっても患者さんにとってもたいへん大きな魅力です。実際に一度、簡易手術を受けた患者さんが再発時に再度施術を希望されるケースは非常に多いです。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第3回の今回は『簡易手術』について説明させていただきました。

簡易手術のメリットがご理解いただけたかと思います。次回は、一度受ければ再発することのない『根治手術』について詳しくお話しさせていただきますので、どうぞご期待ください。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

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  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
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【専門医のまとめ第2回】巻き爪やさしく解説:治療総合編【病院選びと治療法】

  • 2024.04.26

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて、前回は巻き爪シリーズの第1回として「巻き爪とは何か?」について説明しました。

そこで、第2回では『治療総合編』として病院の選び方と巻き爪治療の全体像についてお話しさせていただきます。ぜひ最後までご覧いただき、共感いただけましたらご家族やお友達との会話に話題として取り上げていただき、また共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.巻き爪はどの科を受診すれば良いか?

2.巻き爪治療の矛盾

3.巻き爪治療を受ける病院の選び方

4.病院選びの注意点

5.巻き爪の治療法にはどのような方法があるか?

6.補助的治療法の種類

7.積極的治療法の種類

8.まとめ


1.巻き爪はどの科を受診すれば良いか?

さて、皆さんは巻き爪で病院に相談するとしたら何科を受診しますか?

皮膚科でしょうか?整形外科?あるいは形成外科?

皮膚科でしょうか?整形外科?あるいは形成外科?

はい、どれも正解です。

■皮膚科:皮膚・毛・爪病変を扱う科
■整形外科:指先の再建を扱う科
■形成外科:皮膚・毛・爪の手術、指先の再建を扱う科

爪の病気は、皮膚科医が治療にあたるのが一般的です。
なぜなら、爪は毛とおなじで皮膚の角質が変化したもの、つまり皮膚の一部だからです。また、指先の怪我というのは整形外科医や一般外科医で治療しますので、巻き爪治療も行うことがあります。
そして医師数としては少ないのですが、私のような形成外科医も巻き爪の治療をします。

大勢の医者

このように巻き爪はいろいろな科で治療をしてもらうことができます。

「ということは、巻き爪は治療環境に恵まれた治しやすい病気なのでは?」

いえ、治療環境に恵まれているどころか、なかなか良くならずに困っている方が沢山いらっしゃるのが巻き爪なのです。

YouTubeやブログなど、ネット上には巻き爪治療に関する情報が溢れかえっていることが、その証と言えるでしょう。この記事をご覧の方もそうしたお一人かもしれません。

2.巻き爪治療の矛盾

ではなぜ、このような矛盾が起きるのでしょう?

大空を飛ぶ鳥

その最大の理由は「爪医療」が医学の世界では非常にマイナーな分野であるということです。そのため巻き爪には標準治療というものが存在せず、私のような専門とする医師もほとんどいません。各医師がそれぞれの考えと経験で治療にあたり、その熱意の温度差も大きいのが現状です。

また、巻き爪治療で良い結果をだすためには

医師スキル

解剖学的知識や診断能力など爪自体への深い理解だけでなく、創傷治療の知識や麻酔・手術といった外科的スキルが欠かせません。これらをすべてカバーする医師はあまり多くないため、治療レベルに差がでてしまします。

もうひとつの理由として、指先は痛みを強く感じるので

不安な女性

治療への恐怖から“患者さんが病院受診を敬遠しがち”ということもあります。過去に適切な痛み対策をされずに処置を受け、それでも改善しなかったというような辛い経験がトラウマになっているケースも多く、受診の遅れが症状の悪化、慢性化に繋がっているのです。

このように巻き爪は安定的に良い治療結果をだすのが意外と難しい病気なのです。では、どうすればいいのか。そこで大切になるのが『病院選び』ということになります。

3.巻き爪治療を受ける病院の選び方

最短で最善の結果に到達するには、いきなり手近の病院を受診するのではなく、事前にしっかりと情報収集をして病院を選ぶことがなにより大切です。ほとんどの医療機関がホームページで診療情報を公開していますので、

グーグル検索

「地域名+巻き爪+治療」といったキーワードでネット検索して候補を5つくらいに絞ります。候補が見つからない場合は地域をお住まいの都道府県全域などに拡大して再度検索しましょう。

次にホームページの内容をチェックして、

ホームページ
https://www.hadatotsume.com/wire/ より

巻き爪の治療内容や症例写真を積極的に公開している病院を有力候補にすると良いでしょう。その情報量は医師の巻き爪への取り組みかたと直結しているからです。ここから先は実際に受診してみないと分かりません。まずは一番の有力候補の病院で相談してみましょう。

自信のある医師

巻き爪治療に熱意を持っている医師であれば、辛い痛みに真剣に向き合ってくれるはずです。もし、そこで提案された治療が「希望とは違うな」と感じたら他の医師の説明も聞いてみましょう。

医師への遠慮は無用です。

自信を持って治療に取り組む医師であれば、他と比較されることをむしろ歓迎するはずですからね。治療中でも、経過が思わしくないと感じたら早めに他の医師へ相談しましょう。それが、治癒への早道であることも多いからです。-

4.病院選びの注意点

病院選びの基準についてはお分かりいただけたと思いますが、ひとつ気をつけていただきたいことがあります。ネットで「巻き爪を治療してくれる医療機関」を検索しているつもりでも、検索上位に接骨院・治療院やフットケアサロンなどが表示されることがあるということ。

ニセ医者

これらは医療機関ではないのにも関わらず、店名が○○院とか○○クリニックであるとか、医師のような白衣を着た「院長」「ドクター」が登場するので、たいへん紛らわしいです。

医療機関のホームページには院長の経歴が載っていますので医学部卒業した医師であることを念のため確認して下さい。
医療機関では患者さんの体験談を掲載することは禁止とされています。(医療法における病院等の広告規制)
そのため、もし体験談が掲載されている場合は治療院やお店であると判断できます。あとは、ネットクチコミ。不自然なくらい5つ☆ばかりなのも特徴なので注意が必要です。

5.巻き爪の治療法にはどのような方法があるか?

医療機関では軟膏から手術まで幅広い治療が行われています。

これらを整理すると大きく『補助的治療法』と『積極的治療法』に別けることが出来ます。

■補助的治療法とは

爪周辺の皮膚や皮下組織に直接的、間接的に働きかけることにより局所の安静を図り、痛みを軽減する方法です。薬、テーピング、肉芽焼灼など多数の方法があり、一部を除けば患者さん自身でおこなうことができます。あくまでも補助的に用いられる方法ですが、軽症例であればこれだけで改善することもあります。

■積極的治療法とは

爪そのものに働きかけることにより炎症をコントロールして痛みを取り除く方法です。具体的には手術法と矯正法があり、一部を除き医師が行います。補助的治療では十分な効果が期待できない場合に選択される、より確実性の高い方法です。

※これらを複数組み合わせておこなうこともあります。

6.補助的治療法の種類

■自宅でおこなうもの(自分でできること)

・安静:靴やストッキングによる圧迫を避ける、散歩や運動を控える
・清潔:石鹸と湯で日に1-2回洗う
・テーピング:食い込んだ皮膚を引っ張って爪の刺激を和らげる
・コットンパッキング:コットンを詰めて隙間を作り爪の刺激を和らげる
・薬:化膿や炎症をコントロールして腫れを抑える

先ほど説明したように、補助的治療法とは爪周辺組織に働きかける方法です。そのなかで主に自宅でおこなうものとして、安静、清潔、テーピング、コットンパッキング、内服薬服用、外用薬塗布などがあります。具体的なやり方については過去の記事・動画「爪の専門医が教える、陥入爪のホームケア7選!」で詳しく取り上げていますのでぜひご覧下さい。

■医師がおこなうもの

・肉芽焼灼:-200度の液体窒素で肉芽を繰り返し凍らせて小さくする

液体窒素

・ガター法:爪の側縁をカバーで覆って皮膚への刺激を和らげる

ガタ―法
他院の施術例

・人工爪:深爪を樹脂製で延長しての爪を皮膚への刺激を和らげる

人工爪
他院の施術例

補助的治療法には医師が行うものがあり、肉芽焼灼、ガター法、人工爪があります。炎症が高度で肉芽という赤い肉の塊が生じているような重症例に行わることがあります。

<肉芽焼灼>

マイナス200度の液体窒素を染みこませたコットンを肉芽に押し当てる治療です。冷凍凝固により肉芽表面が壊死するので、これを繰り返して肉芽を小さくしていきます。設備やスキルを必要とせず広く普及していますが、施術の痛みや結果の不安定さが欠点です。

<ガター法>

爪の縁に樹脂のカバーを縫い付けることで皮膚への食い込みをやわらげる方法です。補助的治療法に分類しましたが麻酔が必要なので手術に準じた方法といえます。

<人工爪>

深爪を樹脂で延長することで皮膚への刺激を和らげる方法です。
条件の悪い部位でうまく硬化させるのは難しく、またHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)という刺激性の強い薬剤を傷口に使うことには安全性に疑問が残るなど問題もあります。

なお神楽坂肌と爪のクリニックでは、これらの3つの治療は行っていません。

これは私個人の考えですが、これらは施術の痛みが強く時間もかかるわりには効果が不安定かつ限定的であり、即効性と確実性において手術のほうが優れているからです。

7.積極的治療法の種類

積極的治療法は爪自体に働きかけて皮膚への刺激を和らげる方法で、手術法と矯正法があり、手術法には根治的手術と簡易手術、矯正法にはワイヤー矯正やクリップ矯正等があります。

<手術法>

爪の一部を切り取り、矯正法は器具を使って爪のカーブを整える方法です。

根治手術前
根治手術前
根治手術後
根治手術後

手術法は古くからおこなわれており、健康保険が使えるため現在でも主力の治療として全国の医療機関で受けることができます。

<矯正法>

ワイヤー矯正前
ワイヤー矯正前
ワイヤー矯正後
ワイヤー矯正後
クリップ矯正
クリップ矯正

爪の一部を切り取り、矯正法は器具を使って爪のカーブを整える方法です。

矯正法は25年ほど前に登場した比較的新しい方法。健康保険が使えないため、都市部を中心とした一部医療機関でおこなわれています。普及はこれからで、お住まいの地域によっては近くで見つけられないかもしれません。ただ通院は1~2ヶ月に一度なので、私達の神楽坂肌と爪のクリニックには新幹線や飛行機で通院されている患者さんもいらっしゃいます。

あとこれはよくある誤解ですが、重症だから手術、軽症だから矯正と言うことではありません。重症でも矯正が向いているケースもありますし、軽症でも患者さんの希望があれば手術を選択することもあるからです。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第2回では、治療全体についてザックリとお話しさせていただきました。

ご紹介した治療法はすべての医療機関で行われている訳ではありませんが、可能であれば複数の治療法から選択できるような体制を整えている病院で相談されることをお勧めします。

次回からは『各治療法』について更に詳しく説明していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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神楽坂肌と爪のクリニック 形成外科|腫瘍皮膚科|美容皮膚科
院長 野田 弘二郎(日本形成外科学会専門医)
副院長 野田 真喜(女性・日本形成外科学会専門医)
〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-12-15 さわやビル2F
予約制03-3513-8212
●終日診療 △午前の部のみ診療 -休診
【平日】10:00~13:00/14:00~19:00
【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30
初診の最終受付は平日18:15、土曜日17:45となりますのでご注意下さい。
  日祝
院長野田 弘二郎
副院長野田 真喜(女性)
Access
◆JR総武線
「飯田橋駅」西口より徒歩3分
◆東京メトロ有楽町線、東西線、南北線
◆都営大江戸線
「飯田橋駅」B3出口より徒歩3分

当院には駐車場はございません。お車の場合は飯田橋駅ラムラ地下駐車場が便利です。(30分:300円・駐車サービス券はございません)

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