【意外な理由!】ピアス穴はなぜ伸びる?【治療と今すぐできる予防法】
楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
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肌爪チャンネルの動画
にありますように、
神楽坂肌と爪のクリニックはピアストラブル治療を得意としています。
そして最近、増えているのが
「ピアス穴が伸びる」
というご相談。
ピアス穴が数年のうちにドンドン伸びていき、見た目が悪い、
切れてしまいそうで不安とおっしゃる患者さんが多数来院されます。
ピアス穴はなぜ伸びてしまうのか、放置したらどうなるのか、
その治療法や予防方法についても詳しくご説明できればと思います。
ぜひ最後までご覧いただき、 ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.ピアス穴が伸びる・・・とは?
2.なぜピアス穴が伸びるのか?
3.放置したらどうなる?
4.治療法
5.手術
6.リスク管理と予防
7.まとめ
1.ピアス穴が伸びる・・・とは?
ピアス穴が伸びる。
それは、ピアスの穴が下の方に長く伸びた状態です。
少し穴が伸びてもピアスはつけられますし、大きなピアスで隠すこともできるでしょう。
でも、長く伸びてしまうとピアスを外したときに見た目が怖かったり、 そのまま切れてしまうのでは?と不安を感じます。
<伸びる理由は2つあります>
- 意図的に穴を伸ばしている場合、いわゆる拡張ピアスです。
- 普通にピアスをつけていて、穴がドンドン伸びていく場合。
どちらもピアス穴が大きく伸びた状態ですが、見た目はかなり異なります。
拡張ピアスの場合は、丸く開いていて向こう側の景色が見え、穴の縁がぶよぶよたるんでいます。
自然と伸びてしまった場合は裂けた穴というのはたいてい閉じた状態でたるみもありません。
拡張していないのに伸びてしまうピアス穴について、動画でも説明しています。
拡張ピアスを閉じたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。
2.なぜピアス穴が伸びるのか?
本来のピアス穴は、生涯丸い穴のままでほとんど伸びたりしないものです。
よくある誤解ですが、大きく重いピアスをしたから穴が伸びるというものでもありません。
ピアスが引っかかり一気に裂けてしまったという方もいらっしゃいますが、非常に稀です。
耳たぶは、柔らかくヒラヒラしているため、外力を受けにくい形状をしています。
更にピアス穴は表面と裏面の皮膚で二重に補強されており、見た目以上に強度があります。
じつは、ピアス穴が伸びる原因は、外力による引っ張りではないのです。
まったく引っ張られることがなくても、小さなピアスをつけているだけで、ピアス穴は少しずつ伸びてしまいます。
では、なぜ丈夫なはずのピアス穴が伸びることがあるのでしょうか?
その鍵となるのは、ピアス穴が伸びてしまう患者さんに多かれ少なかれ共通して見られる、ある特定の症状です。
それはピアスが不安定で、ピアス穴がジクジクする、ピアスをつけると痒みや赤み、カサカサが続くといった症状です。また、ピアスの種類によって調子が良かったり悪かったりすることが多いです。
これはピアスの金属素材の刺激によるカブレ、接触皮膚炎です。
この状態を「ピアスで化膿した」と表現する患者さんも多いですが、実際は細菌感染による化膿性炎症ではなく、金属による接触皮膚炎です。
カブレが発生すると、最初は赤みだけですが、金属との接触が続くことで、丈夫な皮膚に『潰瘍』という深い傷ができます。
潰瘍によって皮膚が深く損傷し、その分ピアスは重力で少しずつ下に落ちていきます。落ち込んだ先の皮膚にも新たにカブレが生じ、潰瘍になります。
このサイクルが繰り返されることで、数ヶ月から数年のうちにピアスは徐々に下がっていきます。
ただ、カブレが発生した部分は、ピアスが下がって金属との接触がなくなるため、カブレが治まり、皮膚は修復されていきます。
この「ピアスが下がっては治る」という過程が連続的に繰り返されることで、結果的にピアス穴が伸びていくのです。
3.放置したらどうなる?
さて、ピアス穴が伸びたまま放置したらどうなるのか?
ピアスをつけなければ、それ以上穴が伸びることはありません。
ただ、残念ながら一度伸びた穴は短くなることもありません。
ピアスをつけ続けていると穴は伸び続けます。
気がつかずにピアスをつける方、伸びた穴を隠すためにピアスをつけ続ける人は多いです。
するとやがて耳たぶが、糸状の皮膚でつながっただけの状態になります。
そして、ついには着替えなどちょっとした刺激で切れて完全に裂けてしまいます。
これを『耳垂裂(じすいれつ)』と言います。
完全に切れてしまうと見た目は更に不気味になり、見た人を驚かせるかも知れません。
4.治療法
伸びた穴は、形成外科や美容外科で手術を受けることで、塞ぐことができます。
あと、耳たぶの問題ではありますが、耳鼻科ではありません。ご注意ください。
特殊な手術で扱わない医療機関も多いので事前に確認することをお勧めします。
■手術費用について…
治療に健康保険は使えず、全て自費診療となります。
手術料は病院によって異なり、5万円から20万円以上にもなります。
毎回記事でも説明しますが、料金設定と医師のスキルはまったくの無関係です。
■後悔しないためには…
目立つ広告や、なんとなく良さそうといったイメージに惑わされることなく、実際に執刀する外科医の耳の手術実績を公開しているところをお勧めします。
十分な経験と実績がある医師が手術すれば、跡はほとんど目立ちません。
逆に、不慣れな医師が手術を行うと、傷跡や変形が目立ち、手術前よりも状態が悪化してしまうことがよくあります。
当院では、こうしたケースの修正手術も行っていますが、修正するよりも、最初から慣れた医師が手術を担当する方が仕上がりがはるかに美しくなります。
また、常勤の医師が説明から手術、抜糸まで、一貫して責任を持つ医療機関を選ぶことが大切です。
大学病院からの派遣アルバイト医師や美容外科チェーンの医師は、実績やスキルにばらつきがあり、結果が安定しないことがあります。
特に、説明を行う医師と実際に手術を執刀する医師が異なる場合には、注意が必要です。
5.手術
伸びたピアス穴は、早い段階であれば穴だけを塞ぐことができます。
完全に裂けてしまった場合でも、耳垂裂形成術という手術で塞ぐことが可能です。
よくあるケースとして、穴が伸びて裂けそうな場合には、一旦裂いてから耳垂裂の形にし、縫い合わせる方法が取られます。これは、無理に穴だけを塞ぐと耳たぶの形が不自然になってしまうためです。
手術方法は、伸びた穴と耳たぶの縁までの距離によって「そのまま塞ぐ」か「一旦裂く」かが決まります。
耳垂裂形成術にも複数の術式があるため、治療方針や手術方法については、担当医師とよく相談してください。
裂いてくっつける場合、私たちはW形成術という術式で行います。
仕上がりが良いのは当然として、立体的な歪みが生じず、柔軟にデザインできるのでいろいろなケースに対応できるからです。
詳しい内容は以下の動画でも解説していますので是非ご覧下さい。
6.リスク管理と予防
ピアス穴が伸びる原因でもある“ピアスかぶれ”は、メッキなど安価な素材で起こりやすいです。
金属によるかぶれを繰り返すとニッケルやクロムなどへの金属アレルギーになってしまい、短時間の接触でもかぶれるようになります。
日本人の10人に1人が金属アレルギーであるとも言われますが、耳タブやまぶたは特に症状の出やすい場所です。
一度アレルギーになってしまうと治療は困難で、その金属に触れないことが唯一の対処法となります。ピアスを開け直しても、すぐに同じように穴が伸びしまいます。
ピアス穴が伸びるリスクについて
●アトピー性皮膚炎
皮膚のバリアーが弱いのでかぶれが生じやすいです。
●ピアスの数が多い
ピアス穴が増えるほど金属アレルギーのリスクが高まることが分かっています。
●安価なアクセサリー
身体に直接触れる金属は高価でも質の良いものを選ぶ必要があります。
チタンやプラチナ、18金はかぶれにくいと言われていますが、金属素材は外見から判別しにくいので信頼できる店舗で購入する必要があります。
とくに「通販」は問題外です。絶対に避けるようにしましょう。
このようなリスクを意識することが予防にも繋がりますので参考にしてみて下さい。
7.まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回はピアス穴が伸びるという症状について詳しく説明しました。
早めに治療を受ければシンプルな手術で済むことも多いです。
少しでも気になるという方は、お早めに治療実績のある医療機関で相談されることをお勧めします。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご相談、お待ちしています。
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【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
<詳しいプロフィールはこちら>
【専門医のまとめ第7回】巻き爪やさしく解説:爪棘【突然の痛みはコレが原因】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
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巻き爪やさしく解説シリーズ、
今回は「爪棘(そうきょく)」について取り上げたいと思います。
爪棘とは、あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、
突然の激痛ではじまり、適切な手当をするまで、
どんどん痛みが進行していくという非常に厄介な症状を引き起こします。
さらに厄介なのは、ホームケアやお薬は無効で自然治療もほぼないということ。
一旦発症してしまうととても厄介ですが、有効な予防策がない訳ではありません。
そこで今回のブログでは、そもそも爪棘とは何なのか?というところから、
できる理由と治療法、予防法まで詳しく説明していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧いただき、
ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.爪棘とは何か?
2.爪棘はなぜできるのか?
3.爪棘の診断
4.爪棘を治すのは簡単!
5.爪棘の予防
6.まとめ
1.爪棘とは何か?
巻き爪の典型的な症状として
「パンプスなどで圧迫された時などにジワッと痛む」というのがありますが、
それがある時、突然鋭い激痛に変わり、触れることさえできないくらいに
ズキズキと激しく痛みはじめることがあります。
ズキズキとした痛み。その原因になるのが爪棘。つまり“爪のトゲ”です。
痛みは突発的かつ強烈で、痛みのレベルで言えば
前回のテーマで取り上げた『肉芽』をさらに上回るほどツライものです。
爪棘の痛みには、進行性というもう一つの特徴があります。
通常、足の爪は月に約1.5ミリのスピードで指先に向かって伸びます。
爪棘は、爪の先端がトゲのようになっている状態。
そのため、爪と同じスピードで指先に向かい、少しずつ肉に刺さっていきます。
まるで身体の中に一寸法師がいて、
縫い針のつるぎで肉を突き刺しているようなものです。
そのため軟膏や飲み薬で様子を見たところで、
まったく改善せず、むしろどんどん悪化していきます。
化膿して真っ赤に腫れ上がったり、肉芽ができたりすることもあり、
最悪の場合、爪棘の先端が指先から飛び出してくることもあるのです。
しかもこの痛みというのは、爪棘を取り除くまでずーっと続きます。
何年ものあいだ、セルフケアで凌いできた巻き爪患者さんが、
突然の激しい痛みに耐えきれずに医療機関に駆け込んでくる。
そのもっとも多い理由が、この『爪棘』なのです。
2.爪棘はなぜできるのか?
爪のトゲは自然にできるのではありません。
じつは、患者さん自身が作ってしまっているのです。
その背景にあるのが、巻き爪。巻き爪の患者さんの中には、
爪のくい込みを深爪で回避している方がたくさんいらっしゃいます。
むしろそれが普通と言ってもいいくらいです。
そして多くの場合は、深爪で痛みがなくなります。
しかし、自分の足の爪を切るのは意外と難しいもの。
理由としては手の爪に比べて、厚くて切りにくい、
遠くて見えづらい、身体が硬いと届きにくい、など。
特に炎症による腫れや痛みがある状態で、
家庭用の爪切りで正確に切るのは至難の業です。
そうした状況の中で、運悪く爪の一番深い所を切り残してしまうことがあります。
そこで残った爪を引き抜くように取り除こうとすることで、
爪の角がトゲ状に残る⇒これが爪棘誕生の瞬間です!
そして、直後~翌日あたりから激しい痛みに見舞われます。
3.爪棘の診断
爪棘の治療をする上で求められるのは、
当然ながら速やかに激しい痛みを取ることです。
そのために医師に求められるのが、正確な診断能力と的確な処置を行うスキル。
よくある「軟膏やテーピングで様子を見ましょう」というやり方は、
爪棘にはまったく通用しません。それは爪棘の症状は突発的かつ進行性だから。
患者さんの痛みは数日の間にドンドン悪化してしまいます。
患者さん側には経験のある医師を選ぶことが求められるのです。
そのため、医師も患者さんも爪棘の特徴についてよく知っておく必要があります。
1.病歴の特徴
爪棘は、長年『巻き爪』で悩んでいた患者さんによく見られます。
こうした患者さんは痛みを深爪で凌いできたケースが多いです。
痛みが出る数日前に爪を切ったというエピソードもよく聞きます。
痛みの原因が思いつかないという患者さんでも
こちらから「直前に爪切りをしませんでしたか?」と尋ねると、
「たしかに、2日くらい前に気になって爪を切りました。考えてみればその後、急に痛みが出てきたかも」と答える方が多いのです。
2.痛む方向の特徴
巻き爪は、爪の横が皮膚に食い込むため、
横方向から皮膚を押すと爪の脇の皮膚が痛みます。
一方で爪棘は、爪の先端に小さなトゲがあるため、
指先の方から皮膚にちょんと触れるだけで、
その部分が針で刺されたような鋭い痛みを感じます。
3.痛む場所の特徴
巻き爪は、一般的に爪の中央付近から先の方にかけて痛みがあります。
爪棘では、指先の部分に集中した鋭い痛みがあるのが特徴です。
診察をする際、医師が不用意に患部に触れると
患者さんは飛び上がるほど痛いので
医師は指先だけで痛みの方向や場所を確認することが大切です。
そして、患者さん自身の指で軽く触れていただき、
横からと先から、どちらか痛いですか?
どの辺が痛いですか?とひとつ一つ尋ねながら診断します。
爪棘が放置されると、膿を伴う化膿性炎症になって指全体が腫れたり
肉芽の中に爪棘が埋まっていることもあります。それが更に進行すると、
爪棘の先端が皮膚を突き抜けて飛び出してくることもあります。
特殊な爪棘の例として、深爪とは無関係に生じるものもあります。
巻き爪の根治術後に生じるもので、爪母の取り残しなど不適切な手術が原因。
今回、取り上げている通常の爪棘とは症状・予後共にまったく異なります。
根治術の再手術が必要ですので、手術を担当した医師にご相談下さい。
4.爪棘を治すのは簡単!
爪棘に対して、内服薬や軟膏の効果は気休め程度にしかなりません。
テーピングや巻き爪ワイヤー矯正は、むしろ症状を悪化させます。
肉芽であっても冷凍凝固は無効です。
明らかな爪棘にそうした治療を勧められたら、ただちに次の病院を探しましょう。
Q.では、爪棘を治すにはどうしたらいいの?
これはとてもシンプルです。爪のトゲを切り取れば良いのです。
的確に判断して速やかに爪棘を切ること。それ以外の方法はありません。
爪棘は医療用の鋭いニッパーで切り取りますが、
それには二つの方法があります。
■方法①/簡易手術
巻き爪シリーズで何度も説明してきた簡易手術。
局所麻酔注射をして、爪の端を幅2-3ミリ切除すると同時に爪棘を取り出します。
■方法②/爪甲除去
局所麻酔をして、あるいは麻酔なしで爪棘だけを切りとります。
肉芽を伴っていたり、炎症範囲が広い場合は簡易手術。
症状が指先先端に限局する場合は爪甲除去が適切です。
簡易手術について過去の動画で詳しく説明しています。
▼是非そちらをご覧下さい▼
【巻き爪まとめ第3回】やさしく解説:簡易手術編【肉芽に確実&即効】
処置の痛みとして最も楽なのは意外にも麻酔なしでの爪甲除去です。
理由としては、指先へ痛い注射をせずに済むからです。
爪切り自体より、麻酔注射のほうがむしろ痛いと判断されるケースでは無麻酔でおこないます。
じつは、ほとんどのケースで麻酔なしで爪甲除去が可能です。
ただし、無麻酔での爪甲除去を痛みなく終わらせるには
高い診断能力と熟練の技が要求されます。
また腫れが酷い場合や、患者さんの不安が強い場合は 注射による局所麻酔をおこないます。
5.爪棘の予防
爪棘は一旦作ってしまうと厄介なので、予防がとても大切です。
聞いたことがある方も多いと思いますが
巻き爪では、爪はスクエアに切りましょうとよく言われます。
爪の角を切らない、角を深爪しないように、ということです。
誤解が非常に多いのですが、爪をスクエアに切っていれば
巻き爪が治るということでは決してないのでご注意ください。
あくまで角をスクエアに保てば深爪にならないので
少なくとも爪棘を作って急激に悪化することはないというのが本当のところです。
とにもかくにも爪切りに気をつけることで
突然の激痛に見舞われるリスクは回避することができるでしょう。
旅行などの大切なイベントの直前に
突発的に激しい痛みに見舞われることはぜひ避けたいものです。
旅行や運動の直前に、深爪をすることの危険性をぜひご理解下さい。
6.まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
巻き爪シリーズ第7回の今回は爪棘について説明させていただきました。
冒頭で、爪棘は何年にも渡って巻き爪を深爪で凌いできた患者さんに多いとお話ししました。
患者さんは決して好んで深爪をしているわけではなく、
あくまで巻き爪のくい込みを回避しようと深爪し、時に失敗して爪棘を作ってしまうのです。
最悪の事態に陥る前に、早めにワイヤー矯正などで治療されることをお勧めします。
また爪棘を作ってしまった場合でも、治療により痛みが落ち着いたら同様に治療を検討して下さい。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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【専門医のまとめ第6回】巻き爪やさしく解説:肉芽を簡単に直す方法【ホームケアと治療】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
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巻き爪やさしく解説シリーズ。今回は痛くて辛くて直ぐに治したいのに、なかなか治らない、あのいや~な肉芽について取り上げます。
「肉芽ができる本当の理由とは?」
「なぜあんなにも治りにくいのか?」
など
肉芽の本質にせまり、すばやく確実に退治する方法を説明したいと思います。
ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.肉芽とは何か?
2.なぜ不良肉芽ができるのか
3.肉芽を治すのは簡単!
4.正しい肉芽ホームケア
5.病院での肉芽治療
6.簡易手術とは/a>
7.肉芽の予防
8.まとめ
1.肉芽とは何か?
巻き爪・陥入爪が悪化するとできる、赤くて痛い肉の塊、あれがいわゆる「肉芽」です。
「にくめ」とか「にくが」と呼ぶ人も居ますが、正式には「にくげ」です。
皆さまの中には、肉芽の辛さを身に染みてご存じの方も多いでしょう。
痛くて血が出るし、なかなか治らない「とっても嫌なヤツ」というイメージですよね?
でも、じつは肉芽にも『善玉』と『悪玉』があるのをご存じでしょうか?
■善玉肉芽について
肉芽のイメージとは正反対にキズを速やかに治す働きがあります。
善玉肉芽は血流が豊富で鮮やかな赤色です。
痛みもなく、盛り上がらずに速やかに上皮に覆われてしまうので、あまり目にすることはないと思います。
例えばホクロをレーザーでえぐって深いキズになると、まず善玉肉芽が作られ凹みを埋めます。
次に肉芽中の線維芽細胞がコラーゲンを作り、やがて肉芽全体がコラーゲンへ置き換えられます。
また、肉芽表面は豊富な血流と適度な潤いがあり、周辺から上皮細胞が移動するのを助けます。
このように肉芽が傷跡の組織に置き換わる治り方を「瘢痕(はんこん)治癒」と言います。
■悪玉肉芽について
一方で巻き爪の皆さんを苦しめるのは、悪玉肉芽のほうです。
我々医師は、善玉肉芽を単に「肉芽」、悪玉のほうを「不良肉芽」と呼んで区別します。
不良肉芽は血流が乏しいので色が悪く、表面に細菌感染を伴っていて膿を含んだ浸出液がたくさん出ます。コラーゲンへの置き換わりも遅く、表面に上皮細胞が伸びて来にくいので治りも悪い。
深い火傷や床ずれなどの時に現れて、治癒を遅らせる“やっかいもの”です。
巻き爪でできる不良肉芽の特徴は、爪の刺激を受け続けることで巨大化すること。
強い痛みがあり、歩きにくかったり、靴が履けなくなったりします。
また、出血や浸出で靴下を汚し続けます。
数ヶ月から数年、時には10年以上も居座り続けることがあります。
2.なぜ不良肉芽ができるのか
身体は早くキズを治そうしているはずなのに、なぜ不良肉芽を作ってしまうのでしょう?
不良肉芽というのは、
じつは身体がキズを治そうとする過程で生じるエラーによる不良品なのです。
キズの治りが何かの原因で妨害され、治癒に遅れが生じることが引き金になります。
遅れの原因が取り除かれなければ、身体は無理にでも治癒を進めようとします。
悪条件の中で懸命に肉芽を作ることで、エラーが生じて不良肉芽が作られてしまうのです。
不良肉芽は、キズを治すのに役に立たず、むしろ邪魔になるため治癒がますます遅延します。
原因が取り除かれないとエラーの悪循環に陥り、治癒は大幅の遅れることになります。
キズの治りを妨害して、治癒を遅らせる原因として最も多いのは異物です。
▼例えば▼
・爪や毛
・壊死組織などの血流のない生体組織
・ガーゼやコットンの切れ端
・手術用の糸などの医療材料
・砂粒
・植物のトゲや魚の骨など自然由来の物 など
異物以外にも細菌感染や血流障害、消毒液の細胞毒性も治癒を妨害する原因となります。
ここで、巻き爪で肉芽が作られる過程を見てみましょう。
はじめに深爪やきつい靴を履くことでキズができ、炎症が起きて腫れが生じます。
足はむくみやすいので腫れとあいまって、くい込みが厳しくなります。
くい込みを深爪で解決しようとして切り損ねてしまい、爪のトゲ爪棘を作ってしまうこともあります。
これら爪の刺激が1つ目の原因としてキズの治りが遅らせ、エラーの引き金が引かれます。
身体がなんとか早く治そうとして不良肉芽を作りはじめます。そして肉芽のボリュームで、ますますくい込みが激しくなる。
これが2つ目の原因になります。
歩行による刺激が3つ目の原因となって歩く度に肉芽を刺激し、悪循環が完成し、肉芽が巨大化します。
“キズを濡らすとバイ菌が入るという誤解”からキズを洗うのをためらい不潔になります。
不潔にすると細菌感染が生じ、4つ目の原因になります。治りが悪いのはバイ菌のせいだからと消毒液をつけ、その細胞毒性が5つ目の原因になります。
消毒液は細胞毒であるだけでなく感染もコントロールできませんが誤解から使い続けてしまいます。
消毒液カブレがおきて6つ目の原因になります。
このように様々な原因が重なりあって、状況が複雑化、深刻化するのです。
これが巻き爪で肉芽が作られ、慢性化していく典型的な経過です。
こうなると適切な治療をしなければ肉芽地獄から抜け出すのは非常に困難になります。
3.肉芽を治すのは簡単!
では、肉芽地獄から脱するにどうしたらよいのでしょうか?
ご安心ください。じつはとてもシンプルなのです。
エラーの原因をすべて取り除き、キズが治りやすい環境を整えさえすれば肉芽は速やかに縮んで消えてなくなります。
それなのに、なぜ巻き爪の肉芽はあれほどまでに治りにくいのでしょうか?
それは原因を取り除く事ができず、エラーの悪循環から抜け出せていないからです。
正しいアプローチをしなければ、治癒には結びつきません。
4.正しい肉芽ホームケア
肉芽できても、忙しかったり病院が遠かったりして、すぐに受診できるとも限りません。
辛い肉芽を早く治すために、まずは以下のホームケアを試してください。
大切なのは、先ほど申し上げたキズの治りを遅くしている原因を取り除くという考えです。
●圧迫をさける
圧迫による爪のくい込みはキズを作るきっかけでありエラーの原因でもあります。
パンプスやストッキング、パンプス用のフットカバー、タイツは避けましょう。
●安静にする
腫れとむくみを抑えることで爪のくい込みを和らげます。
散歩やスポーツ、長時間立ち続けることを控え、可能な範囲で安静にしましょう。
帰宅後に足に下にクッションを入れて横になることもおすすめです。
通勤や仕事で難しい場合は、週末の安静だけでも効果的です。
●清潔にする
1日1〜2回石鹸と湯で足全体を洗い、浸出液、古い軟膏やコットンの切れ端を綺麗に洗い流します。
足ごと風呂の湯につけても良いですし、抵抗があるなら足湯もおすすめです。
キズを濡らすとバイ菌が入るという考えは“まったくの誤解”ですので今すぐ忘れて下さい。
●消毒はしない
細胞毒性がエラーの原因になります。
これも誤解が多いのですが、そもそも消毒液ではキズは充分清潔にはならないのです。
●コットンパッキング
爪の刺激を和らげるためにコットンパッキングは有効です。
●テーピングをする
肉芽があると困難ですが、爪の刺激を和らげることができます。
●飲み薬を飲む
腫れを抑えるためにロキソニンなどの消炎鎮痛剤が有効です。
●軟膏を塗る
ゲンタシン軟膏やドルマイシン軟膏など、ワセリン基剤の軟膏を、キズではなく、バンドエイドのパッドに塗り、キズを優しく覆いましょう。
ハンドエイドが汚れたら小まめに取り替えます。軟膏はテープを貼りにくくするので日中テーピング、夜間は軟膏処置と使い分けるのがおすすめです。
ホームケアの具体的なやり方については、こちらの動画をご覧下さい。
うまくすればホームケアだけで落ち着いてくれるかも知れませんが、2週間試しても変化が無い、あるいは悪化する場合は皮膚科や形成外科を受診して下さい。
5.病院での肉芽治療
病院では、担当医師の考えに基づいて様々な肉芽治療が行われます。
ここでは病院でよく行われている肉芽治療について説明します。
●飲み薬と軟膏
ホームケアで説明した消炎鎮痛剤内服のほか、感染コントロールのために抗生物質内服薬を使われます。
免疫抑制による肉芽縮小を目的にステロイド軟膏を使うこともあります。ただし、こうした薬による治療はあくまで補助的なものであり、単独で肉芽を治療することは困難です。
また、内服薬や外用薬を別の種類に変更しても状況が改善することはありません。
●冷凍凝固
マイナス196度の液体窒素を肉芽に接触させて壊死させる方法です。
痛みが強く、繰り返し施術が必要で、効果も不安定です。
ガター法は、シリコンチューブを爪の端に被せて、当たりを柔らかくする方法ですがチューブの分ボリュームが大きくなり更なる刺激を生み出します。
人工爪は食い込んでいる爪をアクリル樹脂で延長することで刺激を和らげる方法です。ガター法同様、刺激自体は無くなりませんし、使用される薬剤HEMA ヒドロキシエチルメタクリレートの組織刺激性、細胞毒性は肉芽の原因になりえます。
この記事をご覧になっている方の中には何ヶ月も通院したけど一向に治らない、そんな経験のある方も少なくないのではないでしょうか。
病院で治療を受けても肉芽がなかなか治らないのには、理由があるのです。
先ほど挙げた治療法は、どれもキズの治りを遅くしているエラーの原因を取り除けていないからです。そんな時は一つの病院にとどまらず、1ヶ月を目処に、別の医療機関で相談してみることをおすすめします。
なお、神楽坂肌と爪のクリニックでは先ほどの肉芽治療のうち、お薬以外はどれも行いません。
意外だと思われるでしょうが、私達は“肉芽自体に触れること”さえしません。
巻き爪の不良肉芽は爪の刺激によるエラーの結果に過ぎないと考えているからです。
私達は積極的にエラーの原因である食い込んだ爪を取り除く簡易手術を行っています。
原因さえなくなれば、肉芽は放っておいても速やかに小さくなり、やがてなくなります。非常にシンプルなのです。
6.簡易手術とは
神楽坂肌と爪のクリニックで行っている簡易手術とは、bbiiiouu一般的には『部分抜爪』と呼ばれる方法です。局所麻酔をして、肉芽を刺激している爪を3、4ミリの幅で切り取ります。
痛みは直後から激減し、10日程で肉芽は自然に縮んで消えてなくなります。
先ほども言いましたが、肉芽を切ったり焼いたりせず、触れさえしません。
なぜなら、肉芽を除去すると術後の出血と痛みが激しくなるからです。
爪の刺激がなくなりさえすれば、肉芽は速やかに消えてしまうので除去する必要さえないのです。
■簡易手術最大のメリットとは!
それは、速効性と確実性です。
ただし、簡易手術をしても数ヶ月から数年おきに肉芽を繰り返す方もいらっしゃいます。
そんな方には、再発に強い『根治手術』という方法もあります。簡易手術、根治手術については過去動画で詳しく紹介しておりますのでぜひご覧下さい。
なお、ワイヤー矯正法は肉芽を悪化させることがありますので、肉芽治療には原則行いません。
7.肉芽の予防
ここまでご覧いただいた方には、予防法については、説明するまでもありませんね。
肉芽はキズを治そうとする過程で生じるエラーによる不良品なのですから、エラーの原因をすべて取り除けば、肉芽は予防可能なのです。
まずは、圧迫や深爪で肉芽のきっかけになるキズを作らないことが何より大切です。
キズができてしまったら、先ほど説明したホームケアで正しい手当をしましょう。
それでも肉芽ができてしまったら、2週間を目処に皮膚科や形成外科を受診します。
そこで1ヶ月しても改善が見られなければ、次の医療機関で相談することです。
これだけで長期間肉芽に苦しむことはなくなるでしょう。
8.まとめ
巻き爪シリーズ第6回の今回は、肉芽について説明させていただきました。
痛くて治りにくい肉芽ですが、正しいアプローチをすれば速やかに治せることが
この記事を通してお分かりいただけたのではないでしょうか。
一日でも早く肉芽を治して、気持ちの良い一歩一歩を取り戻していただけたら幸いです。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご相談、お待ちしています。
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電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。
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【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
<詳しいプロフィールはこちら>
【専門医のまとめ第5回】巻き爪やさしく解説:巻き爪ワイヤー矯正編【無痛&速効性】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
巻き爪シリーズ、第5回の今回はワイヤー矯正について詳しく説明します。
巻き爪治療と言えば辛い痛みがつきものですよね?触れられるだけでも痛い巻き爪です。「その治療が痛くないはずがない」…そうお考えの方も少なくないと思います。
でもご安心を。ワイヤー矯正なら治療の痛みはまったくありません。ゼロです。しかも、痛みは99%以上のケースで治療開始5日以内に消失または激減します。
今回はそんな凄いワイヤー矯正について実際の施術動画も交えて詳しく説明いたします。ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.巻き爪ワイヤー矯正とは何か?
2.巻き爪ワイヤー矯正は他の矯正法とどう違うのか?
3.超弾性ワイヤー矯正とは?
4.神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正
5.ワイヤー矯正の実際
6.治療の流れ
7.ワイヤー矯正の問題点
8.まとめ
1.巻き爪ワイヤー矯正とは何か?
巻き爪ワイヤー矯正とは、爪にあけた穴に特殊な金属線を通し、金属線の力で爪の形を徐々に整え、痛みや圧迫感を取り除く方法です。
神楽坂肌と爪のクリニックでは、巻き爪で来院された患者さんに、ワイヤー矯正と前回の動画で説明した根治手術を中心に提案しています。
その際、どちらかへの誘導にならないよう気をつけています。あくまでも、フェアに、とくにデメリットを中心にご説明することで、患者さん自身に治療法を選んでいただくようにしています。
結果として、9割以上の方が『ワイヤー矯正』を選択されます。
■ワイヤー矯正の特徴
ワイヤー矯正の最大の特徴は“無痛”であること、そして速効性です。
「爪に穴をあけるのが痛そう…」とよく言われるのですが、実際はまったく無痛です。手術のような安静も必要なく、当日からハイヒールで歩いたり、走ることもできます。そして施術直後、あるいは遅くとも5日以内に99%以上の患者さんに痛みが激減・消失します。治療前は半信半疑だった患者さんも、本当に無痛であること、そして直ぐに痛みが取れることに大変驚かれます。
■ワイヤー矯正の欠点
欠点を挙げるとすれば、健康保険が効かないため費用が高いこと、そして根治手術と比べて再発に弱いことでしょうか。これは次に説明するワイヤー以外の矯正法もおなじです。
■治療費の相場
医師が施術する場合、治療費の相場は材料費込みで1回あたり5000円〜1万円ほどです。神楽坂肌と爪のクリニックで巻き爪矯正1クール、当院では4回ワイヤーを入れ替えながら半年間矯正すると、治療費総額は4万円ほどになります。
再発については後ほど説明します。
2.巻き爪ワイヤー矯正は他の矯正法とどう違うのか?
巻き爪矯正には使用する器具の違いによって、以下のような種類があります。
超弾性ワイヤー、巻き爪マイスター、VHO、BSスパンゲ、巻き爪クリップ。肌と爪のクリニックでは、ここに挙げた矯正法のすべてを取り扱っていますが、私自身が実際治療に使ってみて感じた特徴を表にすると以下のようになります。
今回、巻き爪ワイヤー矯正としてお話ししているのは、表でいう左端の超弾性ワイヤーによる矯正です。これは、私の知人であり尊敬する『町田英一博士』がマチワイヤー法として1999年発表された方法。ご覧のように、超弾性ワイヤーが総合的に最も優れています。そのため当院では、99%の患者さんに超弾性ワイヤーを使用します。また、全国の医療機関で、もっとも広く普及しているのもこの方法です。
3.超弾性ワイヤー矯正とは?
巻き爪矯正のワイヤーはニッケルチタンという特殊素材。ニッケルチタンは形状記憶合金として有名です。巻き爪矯正に使われるワイヤーは、常温で直線になるよう記憶させたもので、その温度帯で超弾性という非常にしなやかな性質を有しています。
超弾性ワイヤーを爪に開けた穴に通して、巻き爪のカーブに沿わせて固定すると、ワイヤーが直線の戻ろうとする力によって爪が引っ張られ、形が真っ直ぐに整えられるのです。
特徴はなんといっても適応範囲の広さです。爪の穴に単線を差し込むという非常にシンプルな構造で、矯正力の調整も自在なため、薄くデリケートな爪から分厚く硬い爪、軽い変形からひらがなの「“の”の字」に巻いた高度変形まで、あらゆる巻き爪をカバーします。コンパクトに爪と一体化するため、とくに意識することもなく、いつも通りの日常生活をおくることができます。パンプスを履いたり、スポーツをやったりできることはもちろん、空港セキュリティゲート通過やMRI検査も問題ありません。
4.神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正
神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正の最大の特徴は、その症例数にあります。
年間で5,000件、累計5万件以上施術しており、これは世界有数の施術実績です。
小さなクリニックではありますが、巻き爪矯正のスペシャリストとして、東京大学医学部附属病院や三井記念病院などの総合病院をはじめ、都内各所のクリニックから多数の紹介患者さんを受け入れています。もちろん、ご紹介がなくても当院に直接お問い合わせいただいても結構です。
もう一つの特徴として採用しているワイヤーとツールがあります。我々が独自に開発した『オニックスワイヤー®』という製品です。使いやすさと優れた治療実績から、最近採用する医療機関が増えています。本記事をご覧の医師の方で、興味をお持ちの方はこちらをご覧ください。
5.ワイヤー矯正の実際
オニックスワイヤーを使って施術している動画をご覧いただきます。
当院では、患者さんにご安心いただくために座った状態で施術します。ご自身の施術の様子を、目の前でご覧いただけます。当院で矯正を受けた患者さんであれば、この動画が決して早回しではないことがお分かりいただけるはずです。
過去に、他の病院や巻き爪治療院でワイヤー施術を受けていた患者さんから「前のところでは、すごく時間がかかった」「とても痛かった」という話しを伺ったことがあります。しかし、ご覧いただいているように、巻き爪ワイヤー矯正は正しくおこなえば、1分程で終わります。そして、まったくの無痛なのです。
ワイヤー矯正動画は、当院以外のものもYouTubeでいくつも見ることができます。
ぜひ「巻き爪 ワイヤー矯正」で検索して、比べてみて下さい。
6.治療の流れ
巻き爪ワイヤー矯正はワイヤーの力で徐々に形を整える治療です。急激に力を加えると爪が欠けたり、爪が剥がされて内出血をしたりすることがあります。また痛みが取れてからといってすぐに外すと後戻りしやすいです。
当院では半年くらいかけて徐々に爪の形を矯正していきます。通常は初診当日に矯正を開始します。開始直後はワイヤーが取れやすいので一週間後に再診していただきます。その後は6週おき通院していただき、その都度、爪切りとワイヤーの交換をおこないます。概ね半年後にワイヤーを外しますが、爪が硬い方や変形が強い方は1年位のこともあります。
7.ワイヤー矯正の問題点
ワイヤー矯正の優れた効果について説明してきましたが、ここで問題点について説明します。
1.再発が多い
我々の経験では、矯正1クールを終えた患者さんの約3割が再発で受診されます。根治手術の再発がほぼゼロであることを考えると、非常に多いと言えます。
再発が多い理由としては、
こちらの動画で説明したような巻き爪の原因が、治療後も取り除かれないため治療前と同じ理由で爪が巻いてしまうのです。
再発された方の99%以上が矯正再開を希望され、根治手術への変更を希望される方は、ほぼゼロです。
これはワイヤー矯正が無痛であることと速効性が評価されてのことだと思います。ワイヤー矯正は巻き爪と徹底的に闘うと言うより、日々一歩一歩を気持ち良く歩けるようになることが治療の目的と考えるべきなのかもしれません。
2.爪割れ、外力による脱落
つま先は外力を受けやすい部分であるため、ワイヤーは常に衝撃や荷重、摩擦、湿気に晒されます。厳しい条件の中、約3%の患者さんで爪が割れたり、接着が外れたりしてワイヤーが脱落します。そしておなじ患者さんで、何度も繰り返し外れる傾向があります。また、脱落してもご自身でワイヤーをつけることはできません。治療継続には来院が必要であり、患者さんの負担になることがあります。
3.取扱い医療機関が少ない
巻き爪ワイヤー矯正は非常に優れた方法であり、四半世紀もの歴史があります。にもかかわらず、いまだに皆さんが近隣の病院で手軽に受けられるほどは普及していません。
この理由として、医師のスキルによる治療成績のバラツキがあると考えています。安定した結果が得られないことが施術医師や患者さんの不信を招き、普及の妨げになっているのです。ご覧のケースは、治療途中で他院から転院されてきた患者さんたちで、2年以上続けてもまったく改善しないとか、ワイヤーが飛びだして危険というケースさえあります。
こうした患者さんには、当院でオニックスワイヤーを使っての矯正のやり直しをおこないます。オニックスワイヤーは、医師が巻き爪矯正に取り組みやすい環境と整え、安定した治療成績が得られることを目的に開発されました。ワイヤー矯正の普及により、一人でも多くの患者さんが痛みから解放されることを願ってやみません。
8.まとめ
巻き爪シリーズ第5回の今回は、ワイヤー矯正について説明しました。
ワイヤー矯正に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お近くの取り扱い医療機関、または当院までお気軽にお問い合わせください。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご相談、お待ちしています。
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医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
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【専門医のまとめ第4回】巻き爪やさしく解説:根治手術編【元から絶つ・保険適応】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
巻き爪シリーズの第3回『簡易手術編』で、即効性と確実性が特徴の簡易手術について解説しました。
巻き爪シリーズ・第4回となる今回は『根治手術』について詳しく説明します。
「根治」とは再発しないように根本から徹底的に治すという意味です。
その名の通り、根治手術は一度受ければ再発することはありません。痛くて辛いだけでなく、再発が多いことでも知られる巻き爪・陥入爪でそんなことが可能なのか・・・
じつは可能なのです。
今回はそんなスゴイ根治手術について、実際の施術動画を交えながら詳しくご説明いたします。ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.治療の選択肢
2.根治手術の種類
3.神楽坂肌と爪のクリニックの根治術
4.根治手術の実際を解説
5.手術後の経過
6.根治手術のリスク
7.まとめ
1.治療の選択肢
神楽坂肌と爪のクリニックでは毎日たくさんの患者さんが受診されますが、その内のじつに6割以上が巻き爪の患者さんです。
重症・軽症に関わらず、患者さんが積極的治療をご希望の場合は根治手術かワイヤー矯正を提案し、患者さん自身で選んでいただきます。
■根治手術とは
食い込んでいる爪とその爪母を除去する方法です。特徴は、“再発がほぼゼロ”という根治性と確実性。再発をどうしても避けたいという方やI型陥入爪で簡易手術を何度やっても再発を繰り返してしまう方におすすめします。欠点は術後3日間もの自宅安静が必要なことで速効性に欠ける治療です。
安静と再発率については術式や医師によって異なりますので直接主治医にご確認下さい。健康保険が使えるので費用は8000円程。効果は一生持つため経済的な治療と言えます。
■ワイヤー矯正とは
器具を使って爪の形を整える方法で麻酔や切除は不要です。特徴は、無痛であることと速効性。「痛い手術は絶対いやだ」「3日間の安静はムリ」とおっしゃる方に人気があります。ワイヤー矯正の欠点としては、根治手術と比べて再発が多いことと、保険が効かないので費用が高額なことが挙げられます。
ワイヤー矯正については以下の動画で説明していますが、
次回の『巻き爪シリーズ第5回』であらためて詳しく説明する予定です。
2.根治手術の種類
根治手術には主な術式として「鬼塚法」「児島法」「フェノール法」があります。
■鬼塚法
鬼塚法は私の恩師でもある鬼塚卓弥博士が考案した術式で、最も一般的な方法です。
シンプルな手術ですが、爪母以外に『側爪郭』という爪の横の皮膚も同時に処理することで再発リスクを下げています。組織損傷がやや大きいことが欠点として挙げられます。
■児島法
児島法は小さな切開から爪母のみを切除する方法で、鬼塚法同様広く行われています。
組織損傷の少ないため術後の痛みや合併症リスクが軽減されます。欠点は医師にある程度のスキルを要求し、視野が狭く切除が不十分になりやすいところです。
■フェノール法
フェノール法は爪母を切り取る代わりにフェノールという腐食性薬剤で変性させます。
メスを使わないので手術スキルが不要で、当日から歩行できるメリットがあります。欠点は、爪母処理を薬剤の接触時間でコントロールするので不確実になりやすいところです。
なお、これらの術式は医師の責任で選択されるものであって患者さん自身で選ぶことはできません。
患者さんが選べるのは術式ではなく、医師や病院ですので術式が気になる方は事前にホームページなどで調べてから受診するようにしてください。
3.神楽坂肌と爪のクリニックの根治術
実は神楽坂肌と爪のクリニックで行っているのは、先ほどの3つの代表術式とは違う方法です。
部分的Zadik法という独自の方法で、根治性つまり再発しないことを追求した術式です。広い視野から責任爪母を直接、目で確認し、確実に切除します。
このため再発がほとんどなく、私は患者さんに再発率は1%以下、ほぼゼロと説明しています。25年前からやっているのですが、10数年前に学会発表しただけで論文にしなかったのでまったく普及していないというのが現状です。
ご覧になっている医師の方でこの術式に興味をお持ちの先生がいらっしゃいましたら、私の著書である「最強巻き爪矯正テクニック」に詳しい記載がございますのでぜひご一読下さい。
独自の方法ではありますが、私だけで25年以上・2000件以上の実績があります。
現在も、年間に80〜100件ほど行っていますが、ここ10年再発は経験していません。この数字から、再発率のかなり少ない術式と言えると思います。
4.根治手術の実際を解説
実際の施術を動画でご覧いただきます。
※実際の手術の様子は、動画の5:14からご覧ください。
まず、局所麻酔の注射をします。
根治手術では指全体が痛みを感じなくなる指神経ブロックを行います。指には時計でいう2時、4時、8時、10時の方向に神経が走っていますので、根本付近に針を刺したら順番にこれら神経を麻酔していきます。10分経つと手術が可能でそのまま2時間ほど効果がつづきます。その間、指は正座後の足の裏のような痺れた感覚になり、痛みはまったく感じません。
よく「以前の手術で麻酔が効かなかった」とか「医師から麻酔が効きにくい体質と言われた」とおっしゃる患者さんもいますが、じつはそのほとんどは医師の麻酔テクニックに起因するものなのです。経験のある医師が行えば、手術中はまったくの無痛ですのでご安心を。
手術はまず食い込んだ爪を食い込む幅だけ切り取ります。ここは前回の動画で紹介した簡易手術とまったく同じです。
部分的Zadik法では爪の切り取り線の延長線を、指の付け根に向かって皮膚切開します。関節の手前で90度折れてL字型にします。このL字型に後爪郭稜線の切開を繋げて扉の様な形にします。この扉を『皮弁(ひべん)』と言います。
次に皮弁を爪母の深さで剥がして扉を開くように持ち上げると「角(horn)」と呼ばれる爪母の一番奥と側縁が確認できます。ここで爪母を最初に切り取った爪の幅で、一番奥から半月まで骨の深さで切開します。この切開は半月の先で90度折れて、皮弁に連続させます。
次に完全に見えるようになった責任爪母を指先の方から付け根に向かって骨の深さ剥がします。先ほどの爪母の「角」部分は靱帯で骨にくっついているのでしっかり剥がします。「角」はケースによってはかなり深いことがあり、どの術式でも取り残しのリスクが一番高い部分なので特に慎重に行います。最後に残った爪母の一番奥を切り落とせば爪母全体が一塊として完全に取り除かれます。取れた爪母をよく観察し、取り残しが無いことを確認します。
皮膚を縫合して終わりです。時間は一箇所5分位、指の両側だと10分です。ご覧いただいたように出血はほとんどありません。最後に包帯を巻いたら手術した脚を心臓より高くしてベッドで30分休んでいただきます。
5.手術後の経過
フェノール法以外の根治手術は、痛みと出血対策のため術後の安静が非常に重要です。神楽坂肌と爪のクリニックの術後の安静について説明します。
手術後はタクシーか、ご家族が運転する車で帰宅していただきます。
激しい出血や強い痛みの懸念があるため、歩いたり電車で帰ったりすることはできません。
手術当日を含めて、3日間はご自宅で原則横になって過ごしていただきます。その際、手術をした足を心臓より高く保つことが大切です。
基本的に3日間は歩くことはできませんが、トイレなど最低限の移動は可能です。ただし、用が済んだら直ぐにまた足を心臓より高くしなければ出血や痛みが酷くなります。
とうぜん部屋を掃除したり、買い物に出たりはできません。高熱で寝込んでいる状態をイメージして下さい。
ただし、ベッドでなくても、ソファでも床の上で安静にしてもOKです。
手術後3日目の朝からシャワー浴が可能で、キズも洗い流していただきます。
また3日目からはゆっくりですが、キズのある足を庇いながら歩いていただけます。このため、両足同時に手術はいたしません。
7日目には、かなり普通の歩けるようになり、14日目に抜糸します。運動は2週後以降、様子を見ながらゆっくり再開していただきます。
2ヶ月後に再度受診していただき、処理した部分に爪が生えないことを確認したら治療終了。
おめでとうございます。もう二度と、巻き爪に悩まされることもありません。
6.根治手術のリスク
根治手術の効果について説明してきましたが、次にリスクについてご説明します。
「巻き爪・陥入爪の手術はリスクが高いので受けない方が良い」とか「慎重に考えるべき」という記事をネットで読んだことがある方も多いのではないでしょうか?実際に、皮膚科医にはそのように書いている先生が多いですし、日本皮膚科学会の公式ホームページにもそのような記載があります。手術をしても良くならないし、術後にひどく変形することがあるというのが理由です。
一方で私も所属している日本形成外科学会は治療ガイドラインで手術を推奨していますし、整形外科などでも積極的に手術をする先生が多いようです。それは困っている患者さんの症状を、手術以外の方法で改善するのは難しいと考えるからです。
巻き爪の治療が標準化されていないため、ある医師からは手術はリスクが高いので絶対やめた方が良いと説明され、別の医師には手術を勧められる、といったことがしばしば起きて、患者さんは混乱されるだろうと思います。
では、多くの医師が口にする『手術後のリスク』とはどのようなものなのでしょうか?
ここで、そのリスクについて
説明します。
■リスクその1【再発のリスク】
たとえ根治手術であっても、手術が不完全であれば再発することがあります。ほかの病院で、児島法やフェノール法で手術を受けた後に再発してしまい、私が部分的Zadik法で再手術をしたケースはたくさんあります。
私個人の考えでは、再発率の差は術式の選択よりも医師の技術的な差のほうがはるかに大きいと考えています。充分な経験のある医師が行えば、どの術式であっても再発はほとんどしないものです。
つまり、病院を選ぶことである程度コントロールできるリスクとも言えます。
再手術を避けるためには慎重に病院を選び、手術の前に主治医の話を良く聞いてから決断することが大切です。
■リスクその2【爪の見た目が悪くなるリスク】
根治手術は爪の幅を狭くする手術ですが、内側外側の両方の手術や、トランペットネイルでもともと爪幅の狭い方の場合、手術後に爪がとても小さくなって、見た目が気になることがあります。
手術後に気になったとしても、元に戻すことは決してできません。
このリスクは、医師が正しく適応症例を選ぶことでコントロールできます。
予防的手術はしない、カーブが強い場合はワイヤー矯正を検討するなどです。
患者さん側としては手術と矯正など、複数の治療に対応できる病院を選べるかが大切になります。
■リスクその3【爪変形のリスク】
根治手術は比較的組織損傷の大きいので、それが原因で爪が変形してしまうことがあります。一度変形した爪は元に戻すことは出来ません。
私達は他院の巻き爪手術後に酷く変形した爪に対して、冒頭に説明した無爪術、Zadik手術で対応することがあります。
写真の症例は他の病院でフェノール法手術を受けた後に爪が変形した方です。この爪変形は治療が出来ないため、患者さんの希望によりZadik法で爪を生えなくしました。
別の症例ですが他の病院で児島法手術を受けて爪が変形した方です。治療は出来ませんが、患者さんの見た目を改善して欲しいというご要望により人工爪を付けました
手術後の爪変形は手術による過度の組織損傷や、手術前からあった靴等による爪のダメージが手術で悪化することが原因です。
リスクを小さくするために医師が丁寧な手術を心がけること、手術前から爪の厚みや伸びの遅さがある場合は手術ではなくワイヤー矯正など別の治療を検討する等があります。
また私は15才未満の成長期では変形リスクが高まると考えています。
そのため当院では15才未満の患者さんには根治手術ではなく日常的なケアによる改善や簡易手術をお勧めしています。
根治手術に伴うリスクについて説明しました。
医師はリスクの説明はできますが、代わりにとってあげることは決してできません。リスクを受け入れるか、受け入れないかの判断は患者さん自身の責任でもあります。
ご自身の症状の改善とリスクを天秤にかけてじっくり慎重に検討して下さい。
7.まとめ
今回の動画では巻き爪の根治手術について説明しました。再発に強いという大きなメリットをお分かりいただけたかと思います。
一方で、もう一つの選択肢ワイヤー矯正についてもっと知りたいという方も多いのではないでしょうか。
次回の巻き爪シリーズ第5回では巻き爪の『ワイヤー矯正治療』について取り上げますのでぜひご覧下さい。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご相談、お待ちしています。
お電話でのご予約・お問い合わせ
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5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。
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【平 日】10:00~13:00/14:00~19:00 【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30
ご予約・お問い合わせ
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
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【専門医のまとめ第3回】巻き爪やさしく解説:簡易手術編【肉芽に確実&即効】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
巻き爪シリーズの第2回『治療総合編』で、巻き爪手術について簡単に触れました。
そこで今回は、手術治療の中で一番シンプルな簡易手術について詳しく説明したいと思います。
手術というとなんだか怖い感じがするかもしれませんが、肉芽がある場合でも手術の翌日から痛みなく歩けるようになり、旅行もできます。何年も悩みつづけた肉芽がわずか数日で消えてなくなります。
今回はそんなスゴイ簡易手術について、詳しく説明いたします。ぜひ最後まで読んでいただき、「そうなの?」「知らなかった!」という気づき・発見がありましたら、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.巻き爪手術 二つの方法
2.各手術の特徴
3.肉芽とは何か?
4.簡易手術と手術以外の肉芽治療との比較
5.簡易手術が向いている患者さんとは
6.簡易手術の実際を解説
7.簡易手術後の経過
8.まとめ
1.巻き爪手術 二つの方法
上記のとおり、巻き爪の手術には【簡易手術】と【根治手術】の二つがあります。イラストにあるように簡易手術では食い込んでいる爪のみを除去し、根治手術は食い込んでいる爪とその爪を作っている爪母を除去します。
<簡易手術について>
簡易手術は、速やかに痛みを取ることを目的とします。
速効性と確実性が特徴で一般的には部分抜爪とか陥入爪手術(簡単なもの)と呼ばれます。
<根治手術について>
根治手術は、再発させないことを目的とします。
根治性が特徴で、『鬼塚法』や『児島法』などの術式があります。
2.各手術の特徴
患者さん目線での、二つの手術の違いについて説明します。
ここでの数字データは施術する医師によって大きく異なりますので参考までにご覧下さい。神楽坂肌と爪のクリニックでは赤字の数字で患者さんに説明しています。
簡易手術は30秒しかかからず、安静期間は当日のみ。翌日から痛みなく歩くことができます。もっと言えば、走ることさえできます。この速効性と確実性こそが簡易手術における最大のメリットと言えるでしょう。
一方でデメリットは再発に弱いこと。爪を作る爪母を除去しないため、爪は1年程で元通り生えるからです。約半数で再発し、もっとも早いケースでは半年で痛みがでることがあります。このため、応急的処置とも言えますが、そのまま治ってしまうケースもあります。
根治術は、簡易手術とは逆に再発がほぼゼロですが、術後3日間の自宅安静が必要で速効性という面で劣ります。病院によっては、入院でおこなうこともあります。スケジュール調整など事前の準備も必要なため、気軽に受けられる治療ではありませんが、簡易手術をやっても半年など短い期間で再発を繰り返すような場合には根治手術への切り替えをおすすめしています。
状態に応じて手術を使い分けることがとても大切ですので、複数の手術を行っている医療機関で治療を受けられることをおすすめします。
ちなみに、ずっと昔におこなわれていた爪をすべて取り除く「抜爪術」は、現在ではほとんどおこなわれません。
3.肉芽とは何か?
巻き爪・陥入爪でできる、あの痛い「肉芽」とはいったい何でしょうか?
肉芽とは、赤いゼリーのようなもろく柔らかい肉の塊で、『不良肉芽』や『血管拡張性肉芽腫』などとも呼ばれます。
深爪や靴の圧迫により、爪が皮膚に刺さってできた小さなキズが、肉芽発生のきっかけになります。そこに爪の刺激がつづいたり、手当が悪くてキズの治癒が邪魔されたりすると肉芽が盛り上がってきます。歩くたびに爪が刺さる痛みがあり、いつまでも汁や出血がつづくなど、たいへん不快なものです。
あまりに痛みがひどくなると、まともに歩けなかったり、靴が履けなくなったりすることもあります。
4.簡易手術と手術以外の肉芽治療との比較
肉芽があって医療機関を受診した場合、先ほど説明した手術より、むしろ以下のような治療を提案されることが多いと思います。
◎内服薬、外用薬
◎テーピング
◎液体窒素による冷凍凝固
◎ガター法
◎人工爪
内服薬・外用薬やテーピングは、軽症例を除いて単独で肉芽を治療することは困難です。
冷凍凝固は痛みが強く効果が不安定で、繰り返し施術が必要なことが多いです。
ガター法や人工爪は、手術同様に麻酔が必要なわりに信頼性に欠け、効果も限定的です。
いずれの方法においても、たとえ肉芽が治ったとしても治癒まで数週間もの間痛みが続きます。そうなると治療で治ったのか、自然治癒力で治ったのかもわかりません。
これら手術以外の治療は、爪には触れずに肉芽自体をなんとかしようとしているのですが、肉芽の原因になっている爪の刺激がなくならないのでなかなか改善しないのです。肉芽治療の大原則はキズへの刺激を取り除くことと、治癒環境を整えることです。
そのために簡易手術をして術後正しく処置をすれば、肉芽は10日程で自然に縮んでなくなります。速効性・確実性から肉芽治療においては、簡易手術に圧倒的なアドバンテージがあると考えています。
5.簡易手術が向いている患者さんとは
先ほどから繰り返している速効性・確実性ですが、なぜそんなに大事なのでしょう?
それは、肉芽のある患者さんのなかには、何ヶ月も自分で、あるいは他の病院で治療をしていながら一向に良くならず、大切なイベント直前になって『神楽坂肌と爪のクリニック』に飛び込んでこられた方が非常に多いからです。以下は、私が実際に経験した患者さんの例です。
[CASE.01]翌日にディズニーランドを子供連れで、一日中歩き回るというお母さん
[CASE.02]翌日から修学旅行で沖縄へ出発するという高校生
[CASE.03]明後日に海外出張が迫っているというビジネスマン
[CASE.04]3日後の運動会のリレーで、アンカーを走るという中学生
[CASE.05]翌週に自身の結婚式でハイヒールを履くという女医さん
など。
このような患者さんでは、速やか、かつ確実に治療して差し上げないと、大切な予定を台なしにしてしまうかもしれません。治療する側の責任も、たいへん重いものです。今回の記事をご覧いただいている方なかに医師の方がいたら、ぜひ考えてみてください……。このような患者さんのために、我々医師はなにができるでしょうか。先生だったら、どうしますか?
私がこれらすべての患者さんにおこなったのは、簡易手術でした。そして幸いにも、全員が無事に痛みもなく大切な予定を終えることができました。もちろん、大切な予定がなかったとしても辛い肉芽というのは一日でも早く治したいものです。
悩んでいる方は、あまり我慢せずに早めに医療機関で相談して下さい。すでに治療中で経過が芳しくないという方は、他の医療機関でも相談されることをおすすめします。1ヶ月通って肉芽が良くならなければ、そのまま続けてもあまり期待できないと思います。
6.簡易手術の実際を解説
※実際の手術の様子は、動画の7:25からご覧ください。
まず局所麻酔の注射をします。
指先に直接針を刺したりすると激痛なので、我々は『ウイングブロック』という方法をおこなっています。この方法は、爪の付け根と関節の中間地点あたりの感覚が鈍い部分から針を刺します。針先を足の裏に向けて、指の裏側を走っている指神経と血管の束周辺、そこから爪側に伸びている細い神経の枝の周囲に麻酔薬を注入していきます。熟練した医師がおこなえば爪の半分が完全に無痛となりますので、その後の施術で痛みを感じることは全くありません。
次に爪が皮膚に食い込んだ部分を5~8ミリの幅で皮膚から剥がします。
この時に使う器具がとても重要で、私たちは刃が薄く、刃先剛性の高い特殊なハサミを使っています。見た感じは痛そうに見えますが、先ほども書いたように施術中の痛みはゼロ、軽い圧迫感を感じるだけです。次にハサミを使って、剥がした部分で爪に切れ目を入れます。この時に、爪の下にある爪床・爪母と呼ばれるところを傷つけないことがとても大切です。傷つけてしまうと術後の出血が多くなったり、将来的に爪に亀裂が生じる原因となったりするからです。
最後に、切れ目を入れた爪を先の細い道具で掴んで指の中心に向かって捻り、そっと引き抜きます。間違ってもまっすぐ強引に引き抜いてはいけません。抜き方が悪いと爪周辺の組織を損傷し、術後の出血と痛みが激しくなります。手術は一分もかからず終わり、この後5分ほどキズを抑えて止血します。
抜いた爪を見ると、表面から見えていたよりもかなり深く刺さっていたことがわかります。
7.簡易手術後の経過
手術後2時間程度は麻酔が効いた状態なので、歩いても痛みはまったく感じませんが、出血することがあるので寄り道せずにまっすぐご帰宅していただき、
当日は自宅で安静していただきます。
当日からシャワーを浴びることができ、患部を洗い流すこともできます。清潔なタオルで水分を取ったら、軟膏をつけたバンドエイドでそっと保護します。
翌日から痛みをほとんど感じることなく普通に歩くことができます。手術の前のように、歩くたびに爪が肉芽をチクチク刺激することがなくなるからです。
一週間後に再度診察していただき、痛みがなくなっていることを確認します。
当院では簡易手術を年間180件ほどおこなっていますが、一週間後の時点で痛みが取れていないケースはゼロであり、過去数千例で直後に手術をやり直した経験はありません。
この確実性と即効性は、医師にとっても患者さんにとってもたいへん大きな魅力です。実際に一度、簡易手術を受けた患者さんが再発時に再度施術を希望されるケースは非常に多いです。
8.まとめ
巻き爪シリーズ第3回の今回は『簡易手術』について説明させていただきました。
簡易手術のメリットがご理解いただけたかと思います。次回は、一度受ければ再発することのない『根治手術』について詳しくお話しさせていただきますので、どうぞご期待ください。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご相談、お待ちしています。
お電話でのご予約・お問い合わせ
電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。
5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。
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【平 日】10:00~13:00/14:00~19:00 【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30
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【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
<詳しいプロフィールはこちら>
【専門医のまとめ第2回】巻き爪やさしく解説:治療総合編【病院選びと治療法】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
さて、前回は巻き爪シリーズの第1回として「巻き爪とは何か?」について説明しました。
そこで、第2回では『治療総合編』として病院の選び方と巻き爪治療の全体像についてお話しさせていただきます。ぜひ最後までご覧いただき、共感いただけましたらご家族やお友達との会話に話題として取り上げていただき、また共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.巻き爪はどの科を受診すれば良いか?
2.巻き爪治療の矛盾
3.巻き爪治療を受ける病院の選び方
4.病院選びの注意点
5.巻き爪の治療法にはどのような方法があるか?
6.補助的治療法の種類
7.積極的治療法の種類
8.まとめ
1.巻き爪はどの科を受診すれば良いか?
さて、皆さんは巻き爪で病院に相談するとしたら何科を受診しますか?
皮膚科でしょうか?整形外科?あるいは形成外科?
はい、どれも正解です。
■皮膚科:皮膚・毛・爪病変を扱う科
■整形外科:指先の再建を扱う科
■形成外科:皮膚・毛・爪の手術、指先の再建を扱う科
爪の病気は、皮膚科医が治療にあたるのが一般的です。
なぜなら、爪は毛とおなじで皮膚の角質が変化したもの、つまり皮膚の一部だからです。また、指先の怪我というのは整形外科医や一般外科医で治療しますので、巻き爪治療も行うことがあります。
そして医師数としては少ないのですが、私のような形成外科医も巻き爪の治療をします。
このように巻き爪はいろいろな科で治療をしてもらうことができます。
「ということは、巻き爪は治療環境に恵まれた治しやすい病気なのでは?」
いえ、治療環境に恵まれているどころか、なかなか良くならずに困っている方が沢山いらっしゃるのが巻き爪なのです。
YouTubeやブログなど、ネット上には巻き爪治療に関する情報が溢れかえっていることが、その証と言えるでしょう。この記事をご覧の方もそうしたお一人かもしれません。
2.巻き爪治療の矛盾
ではなぜ、このような矛盾が起きるのでしょう?
その最大の理由は「爪医療」が医学の世界では非常にマイナーな分野であるということです。そのため巻き爪には標準治療というものが存在せず、私のような専門とする医師もほとんどいません。各医師がそれぞれの考えと経験で治療にあたり、その熱意の温度差も大きいのが現状です。
また、巻き爪治療で良い結果をだすためには
解剖学的知識や診断能力など爪自体への深い理解だけでなく、創傷治療の知識や麻酔・手術といった外科的スキルが欠かせません。これらをすべてカバーする医師はあまり多くないため、治療レベルに差がでてしまします。
もうひとつの理由として、指先は痛みを強く感じるので
治療への恐怖から“患者さんが病院受診を敬遠しがち”ということもあります。過去に適切な痛み対策をされずに処置を受け、それでも改善しなかったというような辛い経験がトラウマになっているケースも多く、受診の遅れが症状の悪化、慢性化に繋がっているのです。
このように巻き爪は安定的に良い治療結果をだすのが意外と難しい病気なのです。では、どうすればいいのか。そこで大切になるのが『病院選び』ということになります。
3.巻き爪治療を受ける病院の選び方
最短で最善の結果に到達するには、いきなり手近の病院を受診するのではなく、事前にしっかりと情報収集をして病院を選ぶことがなにより大切です。ほとんどの医療機関がホームページで診療情報を公開していますので、
「地域名+巻き爪+治療」といったキーワードでネット検索して候補を5つくらいに絞ります。候補が見つからない場合は地域をお住まいの都道府県全域などに拡大して再度検索しましょう。
次にホームページの内容をチェックして、
巻き爪の治療内容や症例写真を積極的に公開している病院を有力候補にすると良いでしょう。その情報量は医師の巻き爪への取り組みかたと直結しているからです。ここから先は実際に受診してみないと分かりません。まずは一番の有力候補の病院で相談してみましょう。
巻き爪治療に熱意を持っている医師であれば、辛い痛みに真剣に向き合ってくれるはずです。もし、そこで提案された治療が「希望とは違うな」と感じたら他の医師の説明も聞いてみましょう。
医師への遠慮は無用です。
自信を持って治療に取り組む医師であれば、他と比較されることをむしろ歓迎するはずですからね。治療中でも、経過が思わしくないと感じたら早めに他の医師へ相談しましょう。それが、治癒への早道であることも多いからです。-
4.病院選びの注意点
病院選びの基準についてはお分かりいただけたと思いますが、ひとつ気をつけていただきたいことがあります。ネットで「巻き爪を治療してくれる医療機関」を検索しているつもりでも、検索上位に接骨院・治療院やフットケアサロンなどが表示されることがあるということ。
これらは医療機関ではないのにも関わらず、店名が○○院とか○○クリニックであるとか、医師のような白衣を着た「院長」や「ドクター」が登場するので、たいへん紛らわしいです。
医療機関のホームページには院長の経歴が載っていますので医学部卒業した医師であることを念のため確認して下さい。
医療機関では患者さんの体験談を掲載することは禁止とされています。(医療法における病院等の広告規制)
そのため、もし体験談が掲載されている場合は治療院やお店であると判断できます。あとは、ネットクチコミ。不自然なくらい5つ☆ばかりなのも特徴なので注意が必要です。
5.巻き爪の治療法にはどのような方法があるか?
医療機関では軟膏から手術まで幅広い治療が行われています。
これらを整理すると大きく『補助的治療法』と『積極的治療法』に別けることが出来ます。
■補助的治療法とは
爪周辺の皮膚や皮下組織に直接的、間接的に働きかけることにより局所の安静を図り、痛みを軽減する方法です。薬、テーピング、肉芽焼灼など多数の方法があり、一部を除けば患者さん自身でおこなうことができます。あくまでも補助的に用いられる方法ですが、軽症例であればこれだけで改善することもあります。
■積極的治療法とは
爪そのものに働きかけることにより炎症をコントロールして痛みを取り除く方法です。具体的には手術法と矯正法があり、一部を除き医師が行います。補助的治療では十分な効果が期待できない場合に選択される、より確実性の高い方法です。
※これらを複数組み合わせておこなうこともあります。
6.補助的治療法の種類
■自宅でおこなうもの(自分でできること)
・安静:靴やストッキングによる圧迫を避ける、散歩や運動を控える
・清潔:石鹸と湯で日に1-2回洗う
・テーピング:食い込んだ皮膚を引っ張って爪の刺激を和らげる
・コットンパッキング:コットンを詰めて隙間を作り爪の刺激を和らげる
・薬:化膿や炎症をコントロールして腫れを抑える
先ほど説明したように、補助的治療法とは爪周辺組織に働きかける方法です。そのなかで主に自宅でおこなうものとして、安静、清潔、テーピング、コットンパッキング、内服薬服用、外用薬塗布などがあります。具体的なやり方については過去の記事・動画「爪の専門医が教える、陥入爪のホームケア7選!」で詳しく取り上げていますのでぜひご覧下さい。
■医師がおこなうもの
・肉芽焼灼:-200度の液体窒素で肉芽を繰り返し凍らせて小さくする
・ガター法:爪の側縁をカバーで覆って皮膚への刺激を和らげる
・人工爪:深爪を樹脂製で延長しての爪を皮膚への刺激を和らげる
補助的治療法には医師が行うものがあり、肉芽焼灼、ガター法、人工爪があります。炎症が高度で肉芽という赤い肉の塊が生じているような重症例に行わることがあります。
<肉芽焼灼>
マイナス200度の液体窒素を染みこませたコットンを肉芽に押し当てる治療です。冷凍凝固により肉芽表面が壊死するので、これを繰り返して肉芽を小さくしていきます。設備やスキルを必要とせず広く普及していますが、施術の痛みや結果の不安定さが欠点です。
<ガター法>
爪の縁に樹脂のカバーを縫い付けることで皮膚への食い込みをやわらげる方法です。補助的治療法に分類しましたが麻酔が必要なので手術に準じた方法といえます。
<人工爪>
深爪を樹脂で延長することで皮膚への刺激を和らげる方法です。
条件の悪い部位でうまく硬化させるのは難しく、またHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)という刺激性の強い薬剤を傷口に使うことには安全性に疑問が残るなど問題もあります。
なお神楽坂肌と爪のクリニックでは、これらの3つの治療は行っていません。
これは私個人の考えですが、これらは施術の痛みが強く時間もかかるわりには効果が不安定かつ限定的であり、即効性と確実性において手術のほうが優れているからです。
7.積極的治療法の種類
積極的治療法は爪自体に働きかけて皮膚への刺激を和らげる方法で、手術法と矯正法があり、手術法には根治的手術と簡易手術、矯正法にはワイヤー矯正やクリップ矯正等があります。
<手術法>
爪の一部を切り取り、矯正法は器具を使って爪のカーブを整える方法です。
手術法は古くからおこなわれており、健康保険が使えるため現在でも主力の治療として全国の医療機関で受けることができます。
<矯正法>
爪の一部を切り取り、矯正法は器具を使って爪のカーブを整える方法です。
矯正法は25年ほど前に登場した比較的新しい方法。健康保険が使えないため、都市部を中心とした一部医療機関でおこなわれています。普及はこれからで、お住まいの地域によっては近くで見つけられないかもしれません。ただ通院は1~2ヶ月に一度なので、私達の神楽坂肌と爪のクリニックには新幹線や飛行機で通院されている患者さんもいらっしゃいます。
あとこれはよくある誤解ですが、重症だから手術、軽症だから矯正と言うことではありません。重症でも矯正が向いているケースもありますし、軽症でも患者さんの希望があれば手術を選択することもあるからです。
8.まとめ
巻き爪シリーズ第2回では、治療全体についてザックリとお話しさせていただきました。
ご紹介した治療法はすべての医療機関で行われている訳ではありませんが、可能であれば複数の治療法から選択できるような体制を整えている病院で相談されることをお勧めします。
次回からは『各治療法』について更に詳しく説明していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
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【専門医のまとめ第1回】巻き爪やさしく解説:基礎編【原因と種類、似ている病気】
先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
さて本日は、当院で一番ご相談の多い『巻き爪』についてお話しします。
巻き爪に関してはお話ししたいことが非常にたくさんあり、
とても一回では伝えきれません。
そこで数回に分けてシリーズでやっていきたいと思います。
第一弾となる今回は
「巻き爪とはどんな病気か?」
というテーマでお話しします。
現在、巻き爪で悩まれている方に、まずはご自身の巻き爪がどういうものなのかを知っていただきたい。ぜひ最後までご覧いただき、共感いただけましたらご家族やお友達との会話に話題として取り上げていただき、また共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.巻き爪・陥入爪とは
2.巻き爪の原因
3.巻き爪の種類
4.巻き爪に間違われやすい病気
5.まとめ
1.巻き爪・陥入爪とは
巻き爪とは
“爪が食い込んで痛みがでる病気”
であることは皆さんご存じかと思います。これとは別に『陥入爪』という呼び方を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
爪が食い込んで痛い状態を指す病名が二つある。これが混乱の元となっていますので、まずは『巻き爪』と『陥入爪』の違いを説明します。
実は二つは定義の異なる別の病名なのです。
世界的に有名な形成外科医で私の恩師でもある鬼塚卓彌博士が書かれた「形成外科手術書」という国内でもっとも権威のある専門書で調べてみると、
「陥入爪は爪が彎曲(わんきょく)して皮膚にめり込んだもの」
と定義されています。英語病名のingrown nailを鬼塚先生自身が日本語訳されたものです。
一方で巻き爪は別の病気として陥入爪とは違うページで紹介されており
「巻き爪とは陥入爪の中で爪の端が垂直を超えて巻いたもの」
と書かれています。
いかがですか?なんだかほとんど同じようにも思えますよね。同業医師のなかにはこの二つの病気は厳密に区別しなくてはならないと主張される先生もいらっしゃいますが、実際に患者さんを診察してみると、陥入爪の患者さんの多くで爪が巻いています。つまり巻き爪であることが多いのです。また、巻き爪の患者さんの多くで爪がめり込んでいます。つまり陥入爪の状態でもあるのです。
ということは二つの言葉は概ね同じ病像を指していると言えるのです。さらには陥入爪と巻き爪の治療法は、ほとんどが重複しています。こうしたことから私は、皆さんにも馴染みのある「巻き爪」という病名で統一した方が良いと考えています。実際に患者さんへの説明は、巻き爪という言葉を使うようにしています。
実はこの件、私自身の著書の中で陥入爪の名付け親である鬼塚先生から
「巻き爪で統一して良い」というお墨付きをいただいております。
今後、私のブログでは巻き爪で統一したいと思います。
ひとつ問題なのは、健康保険の診療報酬点数表にはいまだに「巻き爪」という用語がなく「陥入爪」という病名だけが使われていること。そのため私の説明の中に一部に陥入爪と言う言葉が入ってしまうことがありますが、巻き爪と同じ意味だとご理解ください。
2.巻き爪の原因
毎日多くの巻き爪患者さんを診察していますと「巻き爪になった原因が知りたい」というご質問をよくいただきます。靴の圧迫が原因になりやすいことはご存じかと思いますが、なかには思い当たる節がないという方もいらっしゃいます。そう、巻き爪は圧迫以外にもさまざまな原因で生じる可能性があるのです。いくつかグループに分けて説明したいと思います。
【圧迫のグループ】
■履物による圧迫:パンプス、タイツ、ストッキング、五本指靴下、足袋
■隣接組織による圧迫:大きすぎる靴で足が横ブレ、脇の肉(側爪郭)の盛り上がりが
大きい、外反母趾で隣の指がのしかかる、太鼓バチ指、爪周辺の腫瘍
はじめに圧迫のグループ。履物による圧迫はもっとも多い原因ですが、パンプスだけではなくストッキングやタイツも多いです。意外かもしれませんが逆に大きすぎる靴にもリスクがあります。靴の中で足が横ブレし、爪の横の肉によって繰り返し圧迫されるので要注意です。やはり、足にフィットした靴選びを心掛けることが何よりの予防策となるでしょう。
【関節や加重の問題のあるグループ】
■関節の異常:外反母趾、関節リウマチ、先天性内反足、下肢麻痺
■荷重の異常:外反母趾で母趾が垂直に着地できず加重が偏る、浮き指、寝たきり
関節や荷重の問題のあるグループ。アライメント異常(アライメントとは骨・関節の配列のこと)とも言います。特に外反母趾で母趾が垂直に加重できなくなっている方は多いです。
≪先天的に巻き爪リスクの高いグループ≫
■爪や指の形:幅広い爪、末節骨が短い又は長い、中足骨が短い、クロウトゥ
先天的に巻き爪リスクの高いグループ。中でも爪の横幅が広いというケースは多いです。
≪その他のグループ≫
■爪甲剥離:外傷、爪白癬、抗がん剤
■その他:深爪や爪むしり、血管病変(慢性動脈硬化症、糖尿病性末梢血流障害)
■不明
他にこのようなことも原因になります。爪甲剥離といって爪が肉から浮き上がること、深爪や爪をむしる癖、慢性的な血管の病気でも生じることもあります。また、二つ以上の原因が同時に巻き爪を起こしていることもありますし、原因がはっきり分からない方もいらっしゃいます。このように巻き爪というのは、爪以外のさまざまなことが原因になっていることが多く、それこそが巻き爪が再発しやすい理由にもなっています。
3.巻き爪の種類
では、巻き爪にはどのような種類があるのでしょうか。巻き爪の分類法はさまざまあるのですが、私たちは指先の方向から見たときの爪の形によって主に3つの種類に分けています。それがC型、ステイプル型、I型です。ぜひ、ご自身の爪と見比べながらご覧ください。
■C型について
C型はアルファベットのCの形で、一番多いタイプです。とくに20代~40代の女性に多く、ハイヒールやストッキングの圧迫が原因になりやすいのが特徴です。治療法としてはワイヤー矯正が向くケースが多いです。
■ステイプル型について
2番目に多いタイプがステイプル型。見た目はカタカナの「コの字型」で中央部分に変形がありません。変形が内側か外側どちらかだけのハーフステイプル型もあります。こちらは比較的男性に多く見られます。治療法はワイヤー矯正・手術のどちらにも向いています。
■I型について
I型はアルファベットのIの形で変形がほとんどないのが特徴。もともと爪の幅の広い人に見られ、爪の刺激による肉芽や出血といった激しい症状であることが多いです。また、私たちのクリニックへ来る前にさまざまな治療を試したけれどダメだった、という方が多く、難治性・治療抵抗性も特徴のひとつとなっています。そのため治療としては手術が向いています。私の経験上、足の多汗のある患者さんが多いです。
■その他
そのほかの特殊な形としては、トランペットといってC型から変形が進んで1周巻いたり、さらに巻いて「のの字」になった形、デルタ型といって指先から見た時にアルファベットの逆V字の形、折り返し型といってステイプル型から変形が進んで折りたたまれたようになった形もあります。治療法は、トランペット型とデルタ型はワイヤー矯正、折り返し型は手術が向いていることが多いです。
4.巻き爪に間違われやすい病気
巻き爪は足の指先が痛いのが特徴ですが、ほかの病気でも似た症状になることがあります。当院には「ほかの医療機関で治療を受けているが、まったく良くならない」という方もたくさん受診されます。なかにはそもそも巻き爪ではなく、まったく別の病気が見つかる方もいらっしゃいます。巻き爪に間違われやすい病気とはなにか?次のようなものがあります。
■爪白癬(つめはくせん)
爪が白癬菌に感染して厚くなり、その厚みで痛みがでることがあります。巻き爪に合併することも良くあります。
■爪の生え替わりに伴う痛み
怪我で爪の下に広範囲の内出血を起こすと、爪が剥がれて新しい爪が伸びてきます。新しい爪が先端到達するまでには1年ほどかかりますが、その爪が先端に届くあたりで痛みがでることがあります。巻き爪と違って繰り返さないのが特徴です。
■グロームス腫瘍
爪の下にできるおできで強い痛みがでることがあります。手指に多いのですが、足の親指にでたことで巻き爪と間違って治療されているケースがあります。爪の中央、半月近くを押すと痛くなることが多いです。
■爪下外骨腫(そうかがいこつしゅ)
爪の下の末節骨から骨が伸びて爪を押し上げる病気です。痛みがでたり、肉芽が出来たりして巻き爪と区別が難しいことも。爪を上から押すと爪の裏に痛みを感じるが多いです。
■後爪郭爪刺し(こうそうかくぶつめさし)
靴の圧迫で血液循環が悪くなることで爪の成長が遅くなり、爪の付け根、後爪郭というところに痛みがでます。爪が痛いので巻き爪として治療を受けているケースがあります。
■爪甲鉤弯症(そうこうこうわんしょう)
怪我や慢性的な圧迫の後で爪の伸びが遅くなり厚くなります。痛みはないことがほとんどですが、たまに親指の爪、付け根の小指側が靴で押されて痛くなることがあります。治療が極めて難しく、確立された治療法がまだ見つかっていないのが現状です。
■ひょう疽(ひょうそ)
爪の周辺にバイ菌が入って化膿した状態のこと。爪が食い込んで痛むわけではないのですが、症状が紛らわしいことがあります。
このような病気を診断するのは、専門的な医師でなければと難しいことがあります。皆さんは「巻き爪」と思っていても、そうではない病気の可能性があることを知っておいて欲しいと思います。
5.まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。巻き爪シリーズ第一回。いかがだったでしょうか?次回以降は「巻き爪の治療について」詳しく説明していきたいと思います。ちょっとした空き時間などで、ブログをチェックしていただけると幸いです。次回のブログも、乞うご期待を!
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【保険適応】先天性耳垂裂の手術【ビフォー・アフター】
肌爪先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
ピアスの耳垂裂については以前ブログで取り上げた際に、たくさんの反響をいただきました。
そのなかで『先天性耳垂裂』、つまり生まれつきの耳垂裂で悩んでらっしゃる方から、「先天性については情報が少ないのでブログのテーマとして取り上げてほしい」というリクエストが。
ハッと思い、すぐさまネットで検索してみたところ、確かにネット上にはほとんど情報がなく、あったとしても文章でさらっと触れているくらい。具体的な治療法や症例写真さえないものがほとんど。専門家として、もう少し早く気づくべきでした。申し訳ありません。そこで今回は『先天性耳垂裂』の治療について詳しく解説していきたいと思います。
【目次】
1.先天性耳垂裂(じすいれつ)ってなに?
2.なぜ耳たぶが裂けるの?
3.耳たぶの裂け方の違い
4.耳垂裂の治療
5.治療費は?健康保険が使えるの?
6.どこで手術が受けられるの?
7.どんな手術なの?
8.手術の実際と術後の経過
9.まとめ
1.先天性耳垂裂(じすいれつ)ってなに?
先天的な耳の異常として比較的よく見られるのが福耳、耳瘻孔、耳垂裂です。 これらは数百人に一人の割合で発生すると言われています。
耳垂裂(じすいれつ)とは耳たぶが裂けた状態を意味する医学用語です。
原因別に生まれつきの『先天性』と、外力による『外傷性』に別けられます。
※ピアスによる外傷性耳垂裂については過去のブログでも取り上げていますので、気になる方はコチラを是非ご覧ください。
2.なぜ耳たぶが裂けるの?
外傷性耳垂裂のじつに99%以上がピアスかぶれによるものです。
原因としては、ピアスの素材に含まれるニッケルやクロムといった金属がかぶれを引き起こし、それを繰り返すうちに穴が徐々に伸びていき、やがて裂けるというもの。
一方で、先天性耳垂裂は耳たぶが形作られる妊娠初期、1~2ヵ月頃に何らかの異常があり、耳たぶがくっつかないことで生じます。
つまり裂けているように見えて裂けている訳ではない。本来くっつくべき部分がくっつかないことで、裂けた状態に見えるということです。その直接の原因はわかっておらず、新生児数百人に一人の割合で見られます。
3.耳たぶの裂け方の違い
先天性と外傷性は裂け方に違いがあります。外傷性は多くの場合、単純な直線的な裂け目です。ピアスをたくさんあけた方では、裂け目が複数あったり、それらが繋がったりしていることもあります。
一方で先天性の場合は、しばしば裂け目が大きく広がっていたり、耳たぶにねじれがあったり、耳たぶが部分的に欠けていたり、形としてはより複雑でその分手術も難しくなります。
4.耳垂裂の治療
先天性と外傷性、どちらも耳垂裂の治療は手術になります。
先天性耳垂裂は「小児のうちに入院し、全身麻酔手術を受けた」という方もいらっしゃいますが、15歳以降であれば局所麻酔の比較的簡単な手術で治療できるので、医師から「成長を待ってから治療してみては」と説明されている方も多いです。しかし、稀に変形や欠損が大きい方もいらっしゃいます。その場合は『成人でも入院の全身麻酔が必要』なこともあります。
神楽坂肌と爪のクリニックでは入院設備がありませんので、15歳以上の方を対象に日帰り手術を行っています。
5.治療費は?健康保険が使えるの?
先天性の場合は健康保険が使えます。自己御負担が3割の方だと3万円ほどです。有効な医療証をお持ちなら、自己負担はゼロとなることもあります。
ピアスが原因で裂けた場合は自費診療となり、手数料は各病院により自由に設定されます。手術料は4万円から20万円以上と、かなり幅があります。
★神楽坂肌と爪のクリニックでは1カ所6万円、2カ所目以降は5万円です。
6.どこで手術が受けられるの?
まずはネット検索で、お近くの形成外科を探して相談されることをお勧めします。
名前が似ているのですが、整形外科ではなく『形成外科』です。ご注意ください。
形成外科は比較的少ない診療科ではありますが、総合病院だと探しやすいかもしれません。執刀は在籍する医師のなかでも形成外科専門医を取得している医師に依頼するようにしてください。
美容外科を受診したい方もいらっしゃるかと思いますが、その場合は『健康保険の扱いがあること』『形成外科専門医が執刀するか』を忘れずに確認するようにしましょう。
7.どんな手術なの?
術式には『直線法』『Z形成術』『W形成術』がありZ形成術がもっとも一般的な術式です。どの方法も裂け目を縫い合わせるという意味ではおなじですが、耳たぶの縁での皮膚の組み合わせ方に違いがあります。
当院では一般的なZ形成術ではなく、W形成術を採用しています。理由は、W形成術は立体的な歪みが生じず、柔軟にデザインできること。また、裂け目の前後でズレや耳たぶの厚みに差があるケースや、高度な変形にも対応できるからです。
先天性の場合は裂け目が大きかったり、耳たぶのねじれや部分的な欠損があったりすることが多いです。患者さんひとり一人で異なる変形に対し、できる限り自然に仕上がるよう手術操作を行います。
8.手術の実際と術後の経過
まず、耳たぶの裂け目部分に少量の麻酔薬注射をします。多少痛みはありますが、耳たぶは鼻やまぶたと比べて感覚の鈍い部分ですので、比較的痛みは少ないです。手術中は触られている感覚こそあるものの、痛みはまったくありません。無痛だという認識で問題ありません。
手術時間は医師によります。十分な経験のある形成外科医なら15~30分ほどです。耳たぶにガーゼを貼り、テープで固定して終了です。手術直後から飲食も可能ですし、術後の痛みもほとんどないのでご安心ください。
日常生活については手術当日からほぼ通常通りで問題ありません。シャワーやシャンプーもできます。しかし、神楽坂肌と爪のクリニックでは3日間は運動、熱いお風呂、飲酒を控えていただいております。
抜糸までの約1週間はご自宅で処置が可能ですので、通院は不要です。一週間後の抜糸は痛みもないため、麻酔の注射も不要。1~2分で終わるのでご安心ください。
術後は経過観察のため、3ヵ月おき、1年間通院していただきます。術後、耳たぶのしこりや赤みが気になると思いますが、1年ほどでほとんど目立たなくなります。
手術後はおおむね1ヵ月でピアスをあけることができます。しかし、その場合はトラブルを避けるためにも、手術を担当した医師にあけてもらうのが好ましいです。
9.まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。本日は『先天性耳垂裂』について詳しく説明しました。子どもの頃に手術を終えている方も多いのですが、成人後に手術を受けても結果に差はありませんのでご安心ください。
当院では先天性耳垂裂の方からのメール相談も承っております。気になる方がいらっしゃいましたらお手持ちのスマートフォンで撮った写真を送ってください。ご連絡お待ちしております。
▼耳垂裂・拡張ピアス・ピアス閉鎖メール相談▼
以下項目を記入・添付の上、当院までメールをお送りください。
・問い合わせ先アドレス:hadatotsume@gmail.com
・件名は「耳メール相談」として下さい
・耳タブの写真を1〜2枚。
・お名前、年齢、お住まいの都道府県
・相談の内容をお書き下さい。
また、今回のように
「ネットで調べても情報が載っていない」
「書き方が難し過ぎてイマイチよくわからない…教えて肌爪先生!」
という、ブログや動画で取り上げてほしいテーマがありましたら、お気軽にご連絡ください。
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
<詳しいプロフィールはこちら>
お電話でのご予約・お問い合わせ
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【新技術】人工爪による爪噛み矯正【ビフォー・アフター】
肌爪先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
さて、本日取り上げるテーマは、当院ではご相談のとても多い「爪噛みの治療」です。
指先は人目につきやすく、短い爪や丸くなった指先を人に見られることが苦痛で、社会生活や私生活で積極的になれないという方や、爪を噛むという動作が神経質で幼いという印象を与えるのでやめさせたいというご家族からのご相談もあります。
最近の研究では「自己肯定感や生活の質を低くしてしまう」という報告もあります。
長年悩んでいるうちに悪化させてしまったという方や、就職やお子さんの誕生を機になんとかして治したいと考え、当院を受診される方も多いです。
【目次】
1.爪噛み癖とは?
2.爪噛みによる指先の変化
3.爪噛みの治療法
4.人工爪による爪噛み矯正とは
5.爪噛み矯正のスケジュール
6.爪を噛まないためのセルフコントロール
7.爪噛み矯正の費用
8.おわりに
1.爪噛み癖とは?
爪噛みや指しゃぶりなど、習慣的に繰り返し身体をいじる動作は
『神経性習癖』や『身体集中反復行動』と呼ばれます。
小児ではその原因として、脳の神経回路の未成熟が考えられていて、緊張や不安に晒されたとき、爪を噛むことで安心感が得られます。そのため子どもの場合、強く叱ってしまうことで余計にストレスがかかり、むしろ症状を悪化させることもあるので注意が必要です。
一方で、成人では小児期の癖が固定化したものがほとんどで、転職など社会環境の変化でストレスがかかると症状が悪化するというケースが多いです。
不安や緊張だけでなく、退屈に対する反応や親の爪噛みを真似して噛むこともあり、子どもによって程度の差はありますが、10才以下の子どもの約30%に見られます。その多くは無害で成長とともに自然となくなりますが、数%の方では15才以降まで持ち越してしまい、慢性化して治りにくくなります。このため肌と爪のクリニックでは、15才以降の方を対象に治療を行っています。
ちなみに余談ではありますが、かの徳川家康も爪噛み癖があったそうです。天下統一を果たした戦国大名の精神的ストレスは、計り知れないものがあったのではないでしょうか。
2.爪噛みによる指先の変化
爪噛みを日常的に繰り返すことで、指先には次のような変化が現れます。
ケース1.深爪
爪が極端に短く「爪がぜんぜん伸びない」と表現される患者さんもいらっしゃいます。親御さんから「子どもの爪がまったく伸びなくなり、ここ数年爪を切ってあげたことがない」と相談を受けることもあります。
すべての指のことが多いですが、特定の指だけ極端に短かかったり、無症状の爪もあります。
趾爪むしり
足指の爪を噛む子どももいますが、10才以降は成長とともに身体が硬くなると口が届かなくなり、代わりに手で足の爪をむしってしまうこともよくあります。
ケース2.爪の先端がガタガタ
拡大して観察すると、不規則にガタガタした状態というのがわかると思います。これは爪切りを使わず、自分の前歯で爪を噛み切っているためです。
ケース3.指先が丸っこい
何年にもわたって深爪に保たれているため、爪の押さえが無くなることで指先がポテッとした形になっています。
ケース4.爪周辺の皮膚がむしられている
サカムケをむしった跡があることが多く、
そのキズから化膿したり、
ウイルス性のイボになることもあります。
◆その他の症状
以前の動画で取り上げた洗濯板状爪を合併したり、歯に悪影響が出ることもあります。
3.爪噛みの治療法
3・4才の幼児であれば、オーガニックな植物由来の成分を含んだ苦いマニキュアを爪に塗ることが効果的なことがあります。しかそれはあくまで5才未満まで。5才以降になると、苦みを避けたい気持ちより、噛みたい衝動のほうが強くなるため、効果は限定的です。
医療機関で行われる標準的な治療は、精神科や心療内科でのカウンセリングやお薬となります。保険診療として認められ、全国の医療機関で受けることができます。
お子さん(15才未満)の場合、まずはかかりつけの小児科で相談されると良いでしょう。
肌と爪のクリニックでは、このような治療を行ったが上手く行かなかった、あるいは精神科で治療の前に別の方法を試してみたいという患者さんで、15才以上の方を対象に人工爪を使った爪噛み矯正という独自の治療を行っています。
4.人工爪による爪噛み矯正とは
医療用アクリル樹脂の人工爪で、先端を保護しながら爪を伸ばしていく治療です。患者さんお一人お一人、指1本1本の爪に合わせて、すべて手作業で人工爪を作ります。
長さだけでなく、色や艶も調整できるため、自然な仕上がりで、施術したその日からパッと見は正常な爪に見えます。
施術当日から人目が気にならなくなり、ストレスから解放されることで「気持ちがすごく楽になった」と喜ばれる患者さんも多いです。ほかの方法と違って、すぐに治療効果を実感できることが治療継続への強いモチベーションに繋がり、治療成功率を高めます。人工爪(アクリルパウダー)は非常に硬い医療用アクリル樹脂で、当院で世界的ピアニストやプロスポーツ選手の爪補強にも実績のあるタフな素材です。
手洗いや入浴などの日常生活はもちろん、スポーツもすることができます。
5.爪噛み矯正のスケジュール
人工爪で保護された状態で爪は伸びますが、概ね1ヶ月おきに人工爪を新しいものに載せ替えます。1回の施術時間は90分で症状によって2~4回の施術を実施。期間にして3~5ヶ月間で爪を先端まで伸ばすことができます。ここまでが治療の第一段階になります。
自爪が先端まで伸びてからが治療の第2段階。なぜなら、時間と費用を掛けて爪を伸ばしても、そこで治療をやめてしまうと、ほとんどの方がまた噛んでしまうからです。
治療と言っても通院は不要。ご自宅でご家族に爪を切ってもらうだけで費用もかかりません。お近くのネイルサロンで爪切りを依頼するのも良いでしょう。
私は、このように自分以外の人に爪を切ってもらうことを「第三者との爪の共有」と呼んでおり、これが“爪噛み治療を成功へと導く鍵”だと考えています。
爪を自分だけのものと考えず、第三者と共有することで、噛みたいという衝動に強いブレーキがかかるのです。毎週決まった曜日、決まった時間に爪を切ってもらい、その方に一種間の努力の成果を見てもらうのです。
これを自信がつくまで続けることが大切。それには数ヶ月から人によっては数年かかるでしょう。未来のために今、しっかりと断ち切ることが大切。根気強く向き合いましょう。
6.爪を噛まないためのセルフコントロール
再発対策のために、最近の研究で高い効果が認められている『癖の置き換え療法』を試してみるのもいいでしょう。
◎デカップリングといって噛みたくなったら数秒間、拳を強く握る方法
◎習慣逆転法といって指が口元にいきそうになったら、そのまま耳たぶに触れる方法
上記2点の方法が、効果が高いと言われています。
私が患者さんにお勧めしているのは「ストレスボール」や「爪噛み矯正リング」「爪噛み矯正トイ」の活用です。爪を噛みたくなった時でも変わりにこれらに触れることで安心感が得られ、繰り返すうちに衝動をコントロールできるようになり、最終的には完全離脱を目指します。
7.爪噛み矯正の費用
ここまでご紹介した人工爪による治療とそのプロトコルは、私自身が考案した『神楽坂 肌と爪のクリニックオリジナル』。そのため、治療に健康保険は使えず、自費診療となります。
施術費用は指1本あたり1回3,000円です。両手すべての指(10本)だと1回で税込み30,000円となります。症状によって2回から4回の施術が必要ですので、指10本の場合、軽傷の方でも6万円。かなり噛んでいる方で12万円が予算の目安となります。この他に、初診時のみ初診料3,000円が掛かります。
尚、料金については予告なく変更することがございますので、当院ホームページの料金表からご確認ください。
8.おわりに
爪噛みの治療に積極的に取り組んでいる医療機関というのは、残念ながらあまり多くないのが現状。そのため治療の機会を失っている患者さんがたくさんいらっしゃるのが残念でなりません。今回の記事によって、現状の改善に少しでも役立てられれば嬉しいです。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご相談、お待ちしています。
◆15才未満の方は、以下の理由で治療を行っていません。
└自然治癒が期待でき、費用と時間が無駄になってしまう可能性が高い
└本人に爪噛みをやめようとする意欲が薄いため治療達成が困難
└施術時間が90分と非常に長く本人の負担が大きい
└人工爪誤飲のリスクがある
<15才未満の方にはかかりつけの小児科で相談されることをお勧めします>
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
<詳しいプロフィールはこちら>
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