【大後悔】ピアス失敗【リカバリーはこうやる】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
今回は『ピアスの失敗』についてお話ししたいと思います。
ピアスを開ける時までは「よし、この位置でいいだろう」と思い込んでいても、
開けてしまったあとで不自然さに気づき、後悔する人がたくさんいます。
理由の一つは、不慣れなこと。
開ける瞬間にズレてしまうんです。
実際に、当クリニックでは「ピアスを失敗してしまったのですが、
今からなんとかなりませんか?」というご相談も多くあります。
でも、安心して下さい。失敗したとしても諦める必要はありません。
なぜなら『リカバリーの方法』があるからです。
本日はピアスの失敗とリカバリー方法について詳しくご説明します。
数分で読める記事となっております。
ぜひ最後までお読みいただき、
お友達やご家族と共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.ピアッシングのリスク
2.よくある失敗
3.ピアス失敗のリカバリー方法は時期によって異なる
4.ピアス失敗のリカバリー方法
5.まとめ
1.ピアッシングのリスク
多くの方が一生に一度のピアッシング(ファーストピアス)ですが、
自分自身やお友達同士で開けたという方はとても多いです。
安くて、好きな場所に開けられて、時間もかからなければ、病院に行く手間もない。
ネット通販なら翌日に届くピアッサーを使って、ネット情報で勉強すれば大丈夫なはず。
コスパ、タイパも最高ですよね?浮いたお金でもう一つピアスも買えちゃいます。
でも、“失敗のリスク”という安くない代償を払っていることへの理解も必要です。
というのも、ピアストラブルをたくさん扱ってきた医師としての経験から言えば、
素人によるピアッシングほど、もっとも後悔の多い方法はない、ということです。
それは、高い代表を払うことになる人がたくさんいることを知っているからです。
費用も決して安くない医療機関でのピアッシング。ですが、どうでしょう?
安全を買うと考えれば、安価で懸命な投資という捉え方もできるのではないですか。
これから開ける方は、ぜひご検討ください。
ただ、残念なことに美容皮膚科やピアススタジオでプロに開けてもらったのに位置がおかしいというご相談もたまにあります。
医療機関にも常勤ではないアルバイトの医師もたくさん働いています。
たとえプロであっても、充分な経験がない人だと失敗してしまうのです。
精密なピアッシングはそれほど難しいということをご理解ください。
2.よくある失敗
ピアスで良くある失敗には次のようなものがあります。
【場所が下過ぎる、上過ぎる】ピアスの標準的な位置についての知識がないことが原因です。
【左右で位置がずれた】なんとなくの感覚だけで開けると、大抵左右でズレます。
【ピアスの角度が揃わず、両耳のピアスがあべこべの方向を向いてしまう】
耳タブを引っ張りながら開けると角度がズレてしまいます。
■「耳たぶの立ちあがり角度(耳介聳立角)」
耳タブの形はほとんどの人が左右非対称ですし、
耳介聳立(じかいしょうりつ)という
耳タブの立ちあがり角度が左右で違う方も多いので
これらを計算に入れないと正面から見た時に左右がキレイに揃いません。
他にも、
- 位置が不適切なため不自然、せっかく買ったピアスがつけられない。
- 同じ耳に二ヵ所目を開けたら距離が近すぎてピアス同士が当たってしまう。
- 開け直しているうちに使わないピアス穴がどんどん増えてしまった。
- 軟骨部に開けてしまった。
などがあります。
これら失敗の原因はなんといっても『不慣れなこと』と『知識不足』です。
セルフのピアッシングを勧めるわけではありませんが、私たち医師が行っているファーストピアスの開け方についてはこちらの動画をご覧下さい。
3.ピアス失敗のリカバリー方法は時期によって異なる
失敗してしまったピアス穴。できることなら、なかったことにしたいですよね?
じつは正しい方法でリカバリーすれば、失敗もほぼほぼ無かったことにできるのです。
■「ピアスホールが完成するまで」
ところで皆さんは、ピアスホールがどのように完成するかご存じですか?
リカバリーの方法と関係することなので、ここで改めて説明します。
[STEP.01]
ピアッサーで耳タブに穴を開けると、ピアス軸の周りに脂肪が露出したキズができる。
[STEP.02]
数日経過すると、このキズを覆うために、周辺の皮膚がピアストンネルに侵入する。
[STEP.03]
この皮膚が、耳たぶの表側と裏側から同時にトンネルの壁を裏打ちするように伸びていき、やがて中央で繋がることでピアスホールというわけです。
ここまでに要する時間は、トンネルの長さ、すなわち耳タブの厚さにもよりますが、おおむね4〜8週、つまり1,2ヶ月です。
さて、失敗したピアスのリカバリーの方法ですが、リカバリーするのが、ピアスホールが作られる工程のどの時期かで異なります。
つまりピアスを開けてから、どのくらい日にちが経っているかで違ってくるのです。
・ピアスを開けて1週間以内の場合:
ピアストンネルに皮膚の侵入がはじまった頃にあたります。
この時期ならピアスを引き抜くだけで、多くの場合ほとんど跡を残さず塞がるでしょう。1年も経てばピアス跡はよく分からなくなるはずです。
・ピアスを開けて2-3週の場合:
入り口と出口から皮膚の侵入が始まり、トンネルの裏打ちが伸びてくる時期です。
ピアスを引き抜くだけでおおむね塞がりますが、耳たぶの表・裏にすり鉢状の凹みが残ります。徐々に浅くなりますが、凹みが気になる場合、手術で目立たなくすることもできます。
・ピアスを開けて4週以降の場合:
耳たぶの表側と裏側から伸びた皮膚が中央で繋がってピアスホールが完成した時期、あるいはそれ以降にあたります。
ピアスホールは皮膚で裏打ちされているので、狭くなっても完全には塞がりません。
中途半端に塞がって上皮が取り残され、将来トラブルを起こすリスクもあります。
また、上皮の新陳代謝によりピアスホールに垢が溜まるので臭いの原因にもなります。
4週以降の場合は、このあと説明するピアス閉鎖術でリカバリーすることができます。
いずれにしても大切なことは
失敗したら出来るだけ早くピアスを引き抜いてしまうことです。
なお、ここで説明した日にちはあくまでも目安であって、キズの治る速さや耳たぶの厚みなどの要因により、1週間程度前後することあります。
4.ピアス失敗のリカバリー方法
ピアスを開けて1週間以内なら、ピアスを抜けば跡はほとんど残りません。
2~3週間経過後でも抜いてしまえば、それほど目立たない状態にできます。
ただし、4週間目以降の『リカバリー方法』は手術となります。
ここで当クリニックのピアス閉鎖手術を説明します。
私たちの方法は、通常の半分程度の切開からピアスホールの皮膚を確実に処理します。
傷跡が最小限にできることと、将来の皮膚残存によるトラブルを完全に防ぐことを特徴としています。
■ピアス閉鎖手術の実際
[STEP.01]
切開予定線をマーカーで描きますが、キズを極力小さくするために最小限とします。手術後に凹みが残らないように、ピアス穴の入り口にあるすり鉢状の凹みも切り取ります。
[STEP.02]
局所麻酔薬を注射します。手術自体まったく無痛ですが、この注射の所だけは多少チクチクします。当クリニックではここで特別な処置をしますが、企業秘密なので公開できません。同業の医師のみなさんは、先ほどの切開予定線を見てお気づきかと思いますが、私たちは独自の方法で、非常に小さなキズでピアスを閉じることができます。
[STEP.03]
先ほど描いた切開予定線に沿って耳たぶの表側と裏側の皮膚をメスで切開します。ピアスホールと、その周りの脂肪の間に狭い隙間を作り、裏打ち皮膚だけを引き抜くように取りだします。表裏の穴の皮膚とその間にあるピアスホールを、ひと塊として取りだすのです。
皮膚を残せば後々トラブルになります。ここは少し難しい部分ですが、私がフランスや日本の大学病院でやっていた“微少外科手術のテクニック”がとても役立っています。
[STEP.04]
写真は取りだしたピアスピアスホールです。
背景はガーゼですが、その目の荒さからかなり拡大した写真であることが分かります。周辺を傷つけずに、ピアス穴とピアスホールだけを引きに抜いていることがお分かりいただけると思います。
[STEP.05]
ピアスホールを取りだした後を、高周波メスを使って慎重に止血をします。皮膚を1~2針縫ってキズを閉じて手術は終了です。手術時間は一箇所10分ほどです。
[STEP.06]
手術後の写真です。キズは最小限でほぼピアス穴の大きさしかないことが分かります。一週間後に抜糸。傷跡がしばらくピンク色の点として見えますが、1年も経てばピアス跡はよく分からなくなります。
なおネットを検索すると、
手術ではなくレーザーで塞ぐという方法も見つけることができます。
レーザーでピアスホールに熱損傷を加えて自然に閉じるのを待つというやり方です。手術という精密な手技を必要としない代わりに様々デメリットも見えてきます。
■「レーザーによるピアス閉鎖」
まずピアスホールの深さ6,7ミリに渡ってレーザーで焼灼処理をすれば表面皮膚にもレーザーの熱ダメージが加わり、傷跡が残るリスクが高いでしょう。
また、ガイドのないレーザーでピアス穴の入り口と出口を正確に繋げることは極めて困難。そのため予定しない部分にキズができるリスクがあります。
ピアスホールの裏打ち皮膚を、ひとかけらも残さずに処理することは更に困難。そして、ピアスホール内の皮膚を少しでも残せば将来トラブルになります。
実際に当クリニックでも、レーザーによるピアス閉鎖後のキズ跡と上皮取り残しによるトラブルの症例を、手術によってリカバリーしたケースもあります。
■「私の治療イメージと術後の状態」
手術を担当した私には、レーザーによるピアス閉鎖は熱した火箸で火傷させるようなワイルドな方法だなと感じられました。
レーザーという言葉のイメージに惑わされることなく、こうしたデメリットも理解した上でよく検討していただけたら幸いです。
5.まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
本日はピアスの失敗とそのリカバリー法について説明しました。
失敗してもすぐには諦めずに、本日説明したリカバリー法をぜひ試してみて下さい。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご連絡、ご相談、お待ちしています。
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【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
<詳しいプロフィールはこちら>
【意外な理由!】ピアス穴はなぜ伸びる?【治療と今すぐできる予防法】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
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過去のブログ
や
肌爪チャンネルの動画
にありますように、
神楽坂肌と爪のクリニックはピアストラブル治療を得意としています。
そして最近、増えているのが
「ピアス穴が伸びる」
というご相談。
ピアス穴が数年のうちにドンドン伸びていき、見た目が悪い、
切れてしまいそうで不安とおっしゃる患者さんが多数来院されます。
ピアス穴はなぜ伸びてしまうのか、放置したらどうなるのか、
その治療法や予防方法についても詳しくご説明できればと思います。
ぜひ最後までご覧いただき、 ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.ピアス穴が伸びる・・・とは?
2.なぜピアス穴が伸びるのか?
3.放置したらどうなる?
4.治療法
5.手術
6.リスク管理と予防
7.まとめ
1.ピアス穴が伸びる・・・とは?
ピアス穴が伸びる。
それは、ピアスの穴が下の方に長く伸びた状態です。
少し穴が伸びてもピアスはつけられますし、大きなピアスで隠すこともできるでしょう。
でも、長く伸びてしまうとピアスを外したときに見た目が怖かったり、 そのまま切れてしまうのでは?と不安を感じます。
<伸びる理由は2つあります>
- 意図的に穴を伸ばしている場合、いわゆる拡張ピアスです。
- 普通にピアスをつけていて、穴がドンドン伸びていく場合。
どちらもピアス穴が大きく伸びた状態ですが、見た目はかなり異なります。
拡張ピアスの場合は、丸く開いていて向こう側の景色が見え、穴の縁がぶよぶよたるんでいます。
自然と伸びてしまった場合は裂けた穴というのはたいてい閉じた状態でたるみもありません。
拡張していないのに伸びてしまうピアス穴について、動画でも説明しています。
拡張ピアスを閉じたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。
2.なぜピアス穴が伸びるのか?
本来のピアス穴は、生涯丸い穴のままでほとんど伸びたりしないものです。
よくある誤解ですが、大きく重いピアスをしたから穴が伸びるというものでもありません。
ピアスが引っかかり一気に裂けてしまったという方もいらっしゃいますが、非常に稀です。
耳たぶは、柔らかくヒラヒラしているため、外力を受けにくい形状をしています。
更にピアス穴は表面と裏面の皮膚で二重に補強されており、見た目以上に強度があります。
じつは、ピアス穴が伸びる原因は、外力による引っ張りではないのです。
まったく引っ張られることがなくても、小さなピアスをつけているだけで、ピアス穴は少しずつ伸びてしまいます。
では、なぜ丈夫なはずのピアス穴が伸びることがあるのでしょうか?
その鍵となるのは、ピアス穴が伸びてしまう患者さんに多かれ少なかれ共通して見られる、ある特定の症状です。
それはピアスが不安定で、ピアス穴がジクジクする、ピアスをつけると痒みや赤み、カサカサが続くといった症状です。また、ピアスの種類によって調子が良かったり悪かったりすることが多いです。
これはピアスの金属素材の刺激によるカブレ、接触皮膚炎です。
この状態を「ピアスで化膿した」と表現する患者さんも多いですが、実際は細菌感染による化膿性炎症ではなく、金属による接触皮膚炎です。
カブレが発生すると、最初は赤みだけですが、金属との接触が続くことで、丈夫な皮膚に『潰瘍』という深い傷ができます。
潰瘍によって皮膚が深く損傷し、その分ピアスは重力で少しずつ下に落ちていきます。落ち込んだ先の皮膚にも新たにカブレが生じ、潰瘍になります。
このサイクルが繰り返されることで、数ヶ月から数年のうちにピアスは徐々に下がっていきます。
ただ、カブレが発生した部分は、ピアスが下がって金属との接触がなくなるため、カブレが治まり、皮膚は修復されていきます。
この「ピアスが下がっては治る」という過程が連続的に繰り返されることで、結果的にピアス穴が伸びていくのです。
3.放置したらどうなる?
さて、ピアス穴が伸びたまま放置したらどうなるのか?
ピアスをつけなければ、それ以上穴が伸びることはありません。
ただ、残念ながら一度伸びた穴は短くなることもありません。
ピアスをつけ続けていると穴は伸び続けます。
気がつかずにピアスをつける方、伸びた穴を隠すためにピアスをつけ続ける人は多いです。
するとやがて耳たぶが、糸状の皮膚でつながっただけの状態になります。
そして、ついには着替えなどちょっとした刺激で切れて完全に裂けてしまいます。
これを『耳垂裂(じすいれつ)』と言います。
完全に切れてしまうと見た目は更に不気味になり、見た人を驚かせるかも知れません。
4.治療法
伸びた穴は、形成外科や美容外科で手術を受けることで、塞ぐことができます。
あと、耳たぶの問題ではありますが、耳鼻科ではありません。ご注意ください。
特殊な手術で扱わない医療機関も多いので事前に確認することをお勧めします。
■手術費用について…
治療に健康保険は使えず、全て自費診療となります。
手術料は病院によって異なり、5万円から20万円以上にもなります。
毎回記事でも説明しますが、料金設定と医師のスキルはまったくの無関係です。
■後悔しないためには…
目立つ広告や、なんとなく良さそうといったイメージに惑わされることなく、実際に執刀する外科医の耳の手術実績を公開しているところをお勧めします。
十分な経験と実績がある医師が手術すれば、跡はほとんど目立ちません。
逆に、不慣れな医師が手術を行うと、傷跡や変形が目立ち、手術前よりも状態が悪化してしまうことがよくあります。
当院では、こうしたケースの修正手術も行っていますが、修正するよりも、最初から慣れた医師が手術を担当する方が仕上がりがはるかに美しくなります。
また、常勤の医師が説明から手術、抜糸まで、一貫して責任を持つ医療機関を選ぶことが大切です。
大学病院からの派遣アルバイト医師や美容外科チェーンの医師は、実績やスキルにばらつきがあり、結果が安定しないことがあります。
特に、説明を行う医師と実際に手術を執刀する医師が異なる場合には、注意が必要です。
5.手術
伸びたピアス穴は、早い段階であれば穴だけを塞ぐことができます。
完全に裂けてしまった場合でも、耳垂裂形成術という手術で塞ぐことが可能です。
よくあるケースとして、穴が伸びて裂けそうな場合には、一旦裂いてから耳垂裂の形にし、縫い合わせる方法が取られます。これは、無理に穴だけを塞ぐと耳たぶの形が不自然になってしまうためです。
手術方法は、伸びた穴と耳たぶの縁までの距離によって「そのまま塞ぐ」か「一旦裂く」かが決まります。
耳垂裂形成術にも複数の術式があるため、治療方針や手術方法については、担当医師とよく相談してください。
裂いてくっつける場合、私たちはW形成術という術式で行います。
仕上がりが良いのは当然として、立体的な歪みが生じず、柔軟にデザインできるのでいろいろなケースに対応できるからです。
詳しい内容は以下の動画でも解説していますので是非ご覧下さい。
6.リスク管理と予防
ピアス穴が伸びる原因でもある“ピアスかぶれ”は、メッキなど安価な素材で起こりやすいです。
金属によるかぶれを繰り返すとニッケルやクロムなどへの金属アレルギーになってしまい、短時間の接触でもかぶれるようになります。
日本人の10人に1人が金属アレルギーであるとも言われますが、耳タブやまぶたは特に症状の出やすい場所です。
一度アレルギーになってしまうと治療は困難で、その金属に触れないことが唯一の対処法となります。ピアスを開け直しても、すぐに同じように穴が伸びしまいます。
ピアス穴が伸びるリスクについて
●アトピー性皮膚炎
皮膚のバリアーが弱いのでかぶれが生じやすいです。
●ピアスの数が多い
ピアス穴が増えるほど金属アレルギーのリスクが高まることが分かっています。
●安価なアクセサリー
身体に直接触れる金属は高価でも質の良いものを選ぶ必要があります。
チタンやプラチナ、18金はかぶれにくいと言われていますが、金属素材は外見から判別しにくいので信頼できる店舗で購入する必要があります。
とくに「通販」は問題外です。絶対に避けるようにしましょう。
このようなリスクを意識することが予防にも繋がりますので参考にしてみて下さい。
7.まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回はピアス穴が伸びるという症状について詳しく説明しました。
早めに治療を受ければシンプルな手術で済むことも多いです。
少しでも気になるという方は、お早めに治療実績のある医療機関で相談されることをお勧めします。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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【保険適応】先天性耳垂裂の手術【ビフォー・アフター】
肌爪先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
ピアスの耳垂裂については以前ブログで取り上げた際に、たくさんの反響をいただきました。
そのなかで『先天性耳垂裂』、つまり生まれつきの耳垂裂で悩んでらっしゃる方から、「先天性については情報が少ないのでブログのテーマとして取り上げてほしい」というリクエストが。
ハッと思い、すぐさまネットで検索してみたところ、確かにネット上にはほとんど情報がなく、あったとしても文章でさらっと触れているくらい。具体的な治療法や症例写真さえないものがほとんど。専門家として、もう少し早く気づくべきでした。申し訳ありません。そこで今回は『先天性耳垂裂』の治療について詳しく解説していきたいと思います。
【目次】
1.先天性耳垂裂(じすいれつ)ってなに?
2.なぜ耳たぶが裂けるの?
3.耳たぶの裂け方の違い
4.耳垂裂の治療
5.治療費は?健康保険が使えるの?
6.どこで手術が受けられるの?
7.どんな手術なの?
8.手術の実際と術後の経過
9.まとめ
1.先天性耳垂裂(じすいれつ)ってなに?
先天的な耳の異常として比較的よく見られるのが福耳、耳瘻孔、耳垂裂です。 これらは数百人に一人の割合で発生すると言われています。
耳垂裂(じすいれつ)とは耳たぶが裂けた状態を意味する医学用語です。
原因別に生まれつきの『先天性』と、外力による『外傷性』に別けられます。
※ピアスによる外傷性耳垂裂については過去のブログでも取り上げていますので、気になる方はコチラを是非ご覧ください。
2.なぜ耳たぶが裂けるの?
外傷性耳垂裂のじつに99%以上がピアスかぶれによるものです。
原因としては、ピアスの素材に含まれるニッケルやクロムといった金属がかぶれを引き起こし、それを繰り返すうちに穴が徐々に伸びていき、やがて裂けるというもの。
一方で、先天性耳垂裂は耳たぶが形作られる妊娠初期、1~2ヵ月頃に何らかの異常があり、耳たぶがくっつかないことで生じます。
つまり裂けているように見えて裂けている訳ではない。本来くっつくべき部分がくっつかないことで、裂けた状態に見えるということです。その直接の原因はわかっておらず、新生児数百人に一人の割合で見られます。
3.耳たぶの裂け方の違い
先天性と外傷性は裂け方に違いがあります。外傷性は多くの場合、単純な直線的な裂け目です。ピアスをたくさんあけた方では、裂け目が複数あったり、それらが繋がったりしていることもあります。
一方で先天性の場合は、しばしば裂け目が大きく広がっていたり、耳たぶにねじれがあったり、耳たぶが部分的に欠けていたり、形としてはより複雑でその分手術も難しくなります。
4.耳垂裂の治療
先天性と外傷性、どちらも耳垂裂の治療は手術になります。
先天性耳垂裂は「小児のうちに入院し、全身麻酔手術を受けた」という方もいらっしゃいますが、15歳以降であれば局所麻酔の比較的簡単な手術で治療できるので、医師から「成長を待ってから治療してみては」と説明されている方も多いです。しかし、稀に変形や欠損が大きい方もいらっしゃいます。その場合は『成人でも入院の全身麻酔が必要』なこともあります。
神楽坂肌と爪のクリニックでは入院設備がありませんので、15歳以上の方を対象に日帰り手術を行っています。
5.治療費は?健康保険が使えるの?
先天性の場合は健康保険が使えます。自己御負担が3割の方だと3万円ほどです。有効な医療証をお持ちなら、自己負担はゼロとなることもあります。
ピアスが原因で裂けた場合は自費診療となり、手数料は各病院により自由に設定されます。手術料は4万円から20万円以上と、かなり幅があります。
★神楽坂肌と爪のクリニックでは1カ所6万円、2カ所目以降は5万円です。
6.どこで手術が受けられるの?
まずはネット検索で、お近くの形成外科を探して相談されることをお勧めします。
名前が似ているのですが、整形外科ではなく『形成外科』です。ご注意ください。
形成外科は比較的少ない診療科ではありますが、総合病院だと探しやすいかもしれません。執刀は在籍する医師のなかでも形成外科専門医を取得している医師に依頼するようにしてください。
美容外科を受診したい方もいらっしゃるかと思いますが、その場合は『健康保険の扱いがあること』『形成外科専門医が執刀するか』を忘れずに確認するようにしましょう。
7.どんな手術なの?
術式には『直線法』『Z形成術』『W形成術』がありZ形成術がもっとも一般的な術式です。どの方法も裂け目を縫い合わせるという意味ではおなじですが、耳たぶの縁での皮膚の組み合わせ方に違いがあります。
当院では一般的なZ形成術ではなく、W形成術を採用しています。理由は、W形成術は立体的な歪みが生じず、柔軟にデザインできること。また、裂け目の前後でズレや耳たぶの厚みに差があるケースや、高度な変形にも対応できるからです。
先天性の場合は裂け目が大きかったり、耳たぶのねじれや部分的な欠損があったりすることが多いです。患者さんひとり一人で異なる変形に対し、できる限り自然に仕上がるよう手術操作を行います。
8.手術の実際と術後の経過
まず、耳たぶの裂け目部分に少量の麻酔薬注射をします。多少痛みはありますが、耳たぶは鼻やまぶたと比べて感覚の鈍い部分ですので、比較的痛みは少ないです。手術中は触られている感覚こそあるものの、痛みはまったくありません。無痛だという認識で問題ありません。
手術時間は医師によります。十分な経験のある形成外科医なら15~30分ほどです。耳たぶにガーゼを貼り、テープで固定して終了です。手術直後から飲食も可能ですし、術後の痛みもほとんどないのでご安心ください。
日常生活については手術当日からほぼ通常通りで問題ありません。シャワーやシャンプーもできます。しかし、神楽坂肌と爪のクリニックでは3日間は運動、熱いお風呂、飲酒を控えていただいております。
抜糸までの約1週間はご自宅で処置が可能ですので、通院は不要です。一週間後の抜糸は痛みもないため、麻酔の注射も不要。1~2分で終わるのでご安心ください。
術後は経過観察のため、3ヵ月おき、1年間通院していただきます。術後、耳たぶのしこりや赤みが気になると思いますが、1年ほどでほとんど目立たなくなります。
手術後はおおむね1ヵ月でピアスをあけることができます。しかし、その場合はトラブルを避けるためにも、手術を担当した医師にあけてもらうのが好ましいです。
9.まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。本日は『先天性耳垂裂』について詳しく説明しました。子どもの頃に手術を終えている方も多いのですが、成人後に手術を受けても結果に差はありませんのでご安心ください。
当院では先天性耳垂裂の方からのメール相談も承っております。気になる方がいらっしゃいましたらお手持ちのスマートフォンで撮った写真を送ってください。ご連絡お待ちしております。
▼耳垂裂・拡張ピアス・ピアス閉鎖メール相談▼
以下項目を記入・添付の上、当院までメールをお送りください。
・問い合わせ先アドレス:hadatotsume@gmail.com
・件名は「耳メール相談」として下さい
・耳タブの写真を1〜2枚。
・お名前、年齢、お住まいの都道府県
・相談の内容をお書き下さい。
また、今回のように
「ネットで調べても情報が載っていない」
「書き方が難し過ぎてイマイチよくわからない…教えて肌爪先生!」
という、ブログや動画で取り上げてほしいテーマがありましたら、お気軽にご連絡ください。
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
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サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん・・・耳瘻孔(じろうこう)
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医者が教える、ファーストピアスでやるべきこと、やってはいけないこと
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・コスパ、タイパ重視
・オシャレに詳しい友人にあけてもらいたい
・親に内緒であけたい
・ネット情報で安全を確認したし、友達はみな問題なくあけている
・とにかく今すぐあけたい!・・・
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先日『ピアストラブルトップ5』をテーマとして取り上げましたが、
今回はその中でも、最近お問い合わせの多い「ピアスの穴がクサイ」というお悩みにフォーカスして、お話しします。ピアス穴は気をつけないと誰でも臭くなってしまうことがあり、またその臭いに自分自身では気がつきにくいものです。今回はピアス穴がクサイというお悩みの『解決法から予防法まで』じっくりお話ししますので、ぜひ最後までご覧いただけると幸いです。そして私の考えに共感していただけましたら、ぜひご家族や周りのお友達にも教えてあげてください。
【目次】
1.ピアス穴がクサイって、どういうこと?
2.どうして臭くなるの?
3.臭くなったらどうすればいいの?
4.ピアス穴を塞ぐ手術とは?
5.ピアス閉鎖手術の実際
6.臭くならないための予防法は?
7まとめ
1.ピアス穴がクサイって、どういうこと?
これは当たり前のことですが、耳のピアス穴の臭いを自分自身の鼻で嗅ぐことはできません。そのため、ピアス穴辺りの耳たぶを指先でつまむようにすると指先に臭いが移り、これを鼻に持ってくると指が強烈に臭うというのが「ピアス穴がクサイ」という症状になります。ピアスをあけている方は、今すぐご自身の耳で試してみてください。…いかがでしょうか?
指についた臭いは石鹸で何度も洗わないと落ちないくらい強烈なものです。
“世界一クサイおでき”と言われる
「粉瘤」の中身とおなじ臭いですから、強烈さはかなりのものです。
これは30年以上前の話になりますが、医学部の講義で皮膚科講師から「粉瘤の中身を決して素手で触れてはいけない」と忠告されたことが、今でも耳に残っています。
それから医師になり、これまで千個以上の粉瘤を摘出してきましたが
中身を素手で触れたことは幸い一度もありません。
さて、この臭い。日常会話程度の距離ではわかるものではないのですが、あまりのクサさから「親しい人から嫌われるのではないか…」と心配になって治療を希望される方も多いです。
2.どうして臭くなるの?
ピアスの穴は耳たぶの表側と裏側にあり、その間はトンネルで繋がっており、その壁は皮膚で覆われています。皮膚の表面は角質で新陳代謝を繰り返し、剥がれ落ちた古い角質は垢(あか)になります。
トンネルの中は洗いにくいのでピアスを付けない状態で何ヶ月も放っておくと、垢がトンネル内にびっしり溜まってしまいます。
なにより、もともと耳たぶ周辺というのは皮脂の分泌が多い部位なのです。
健康な皮膚には“常在菌”といって日常的に存在する細菌群がいるのですが、この常在菌が垢や皮脂などの老廃物を分解することで、『プロピオン酸』や『脂肪酸』といった代謝物ができます。ピアス穴の強烈な臭いの正体こそが、まさにこの代謝物というわけです。
3.臭くなったらどうすればいいの?
★ピアスの臭い対策はじつは簡単で、ピアスをつけることで解消します★
ピアス穴に溜まった垢はピアスのつけ外しで押し出されて清掃されますし、ピアスをつけているだけでも自然とこすれて、ある程度清潔を保つことがでるのです。また、金属自体に殺菌作用があることもポイント。常在菌の増えすぎを抑制できます。
★もう一つの方法はピアス穴を手術で塞いでしまう方法です★
このような手術はあまり聞いたことがないと思いますが、じつは「ピアスの穴を塞いでしまいたい」という患者さんは意外に多いのが現状です。理由として考えられるのは、今回テーマとして取り上げたクサイ臭いのほかにも、以下のような理由があります。
◎金属アレルギーがありピアスをつけると痒くなったり、
汁が出たりするので塞いでしまいたい。
◎ピアス穴を片耳4個・5個と増やしすぎてしまった。
よく使う穴以外を閉じて見た目をスッキリさせたい。
◎仕事や家庭環境の都合からピアスをしていた過去はなかったことにしたい。
└コレは男性に多いです。
こういった事情のある方がピアス閉鎖を希望されています。手術で塞いでしまえば臭い対策だけでなく見た目もよくなります。
なお「手術せずに自然と塞がったから大丈夫ですよね?」という方がいらっしゃいますが、間違いです。見た目的には塞がっているように見えても、自然と塞がったピアス穴も臭いの原因になることがあるので解決にはなりません。
4.ピアス穴を塞ぐ手術とは?
では実際にピアス穴を塞ぐ手術、ピアスのふさぎ方とはどんなものなのか。言葉だけではわかりにくい部分がありますのでイラストを交えてご説明していきます。
先ほど説明したようにピアスは耳たぶの表側と裏側に穴があり、皮膚で裏打ちされたトンネルでつながっています。
手術ではトンネルを取り出し、表裏の穴を縫って閉じます。
これで耳たぶの中に垢の元となる皮膚は完全に取り除くことができます。
※要注意※
ある美容外科では表面の穴だけ閉じるそうですが、取り残されたトンネルに垢が溜まって腫れ上がってしまうので、絶対にやめていただきたいと思います。
また表の穴だけ閉じて、トンネルと裏の穴を閉じることを『プレミアム手術』と称して追加料金を要求するクリニックもあるので要注意です。
ピアス閉鎖の危険性を十分理解せずに手術を行う医師もいるので、病院選びはとくに慎重におこなうようにしましょう。
5.ピアス閉鎖手術の実際
ここからは、実際の手術の流れについてご説明していきます。
[STEP.01]
切開予定線をマーカーで描きますがキズを極力小さくするために最小限とします。
手術後に凹みが残らないようにピアス穴の入口にある、すり鉢状の凹みも切り取ります。
[STEP.02]
局所麻酔薬を注射します。手術自体は無痛ですが、注射した個所だけは多少チクチクします。
[STEP.03]
神楽坂肌と爪のクリニックでは、ここで特別な処置をします。こちらは企業秘密なので公開することはできません。申し訳ありません。ただ、同業の医師の皆さんであれば先ほどの切開予定線を見てお気づきかと思いますが、私たちは限りなく小さなキズでピアス穴を閉じることができます。それはこの特別な処置をおこなうからです。ほんの数秒なので患者さんは気がつかないと思います。
[STEP.04]
さきほど描いた切開予定線に沿って、耳たぶの表側と裏側の皮膚をメスで切開します。トンネルとその周りの脂肪の間に狭い隙間を作り、裏打ち皮膚だけを引き抜くように取り出します。表裏の穴の皮膚とその間にあるトンネルを“ひとかたまり”として取り出すのです。
皮膚が残っていると後々トラブルにつながります。ここは少し難しい部分ですが、私がフランスや日本の大学病院でやっていた“微少外科手術”のテクニックがとても役立っています。下の画像は取りだしたピアストンネルです。
背景にあるガーゼの目の荒さからかなり拡大していることが分かります。周辺を傷つけずにピアス穴とトンネルだけを引きに抜いていることが、お分かりいただけるかと思います。
[STEP.05]
トンネルを取りだした跡を、高周波メスを使って慎重に止血をします。
[STEP.06]
あとは皮膚を1~2針縫ってキズを閉じて手術は終了。手術時間は10分ほどです。
[STEP.07]
下は手術後の写真。キズは最小限でピアス穴の大きさしかないことが分かります。
6.臭くならないための予防法は?
大きく2つのポイントが挙げられます。
■ピアスは計画的にあけましょう!
ピアス穴の臭いは、3箇所以上あけているいわゆる“ピアス上級者”に多い悩みです。
若い時はピアスをたくさん開けても、すべての穴にピアスを通していたとしても、歳を重ねるなかで考え方や自らの置かれる状況が変化し、徐々に使わないピアス穴が増えていきます。それでもたまにピアスをつければ掃除になって良いのですが、なかには塞がっている穴もあり、凹みに垢がたまって臭いの原因になるのです。また、ピアス穴をたくさん開けるということは金属アレルギーのリスクが高まることも分かっています。
気分やノリでやたらと開けてしまうと、後々公開することになるので、開ける際はよく考えて開けるようにしましょう。
■ピアス周辺は清潔に!
もともと耳たぶ周辺は皮脂が多く、不潔にすると臭いの原因になります。
ピアスをつけていたとしてもキャッチ周辺が不潔になりやすいので、毎日シャワーの際、ピアスはつけたまま石鹸をつけて軽く洗いすすぐようにしましょう。
7.まとめ
今回は「ピアス穴がクサイ」というトラブルの対策についてお話しさせていただきました。
今現在、すでに臭いが気になる方というはもちろん、今は臭っていないけれど、将来臭うようになったら嫌だな(クサくなっても平気!という方はいないと思いますが…)という方は是非参考にしてみてください。また、ご自身だけでなく、この動画の内容をご家族やご友人、会社の同僚との会話のなかで、話題として取り上げていただけると嬉しく思います。
これからも皆さんのお役に立つ情報をどんどん発信していく予定。ちょっとした時間に、当ブログをチェックしていただけると幸いです。
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
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ピアス穴が裂けた!なぜ裂ける?どうすれば治るの?大反響につき耳垂裂をさらに深掘りします!
肌爪先生こと神楽坂肌と爪のクリニックの院長の野田弘二郎です。先日、ブログ・動画で『ピアストラブルTOP5』を公開したところ、第4位の『耳垂裂(じすいれつ)』に大きな反響をいただきました。
そこで本日のブログ・動画ではこの耳垂裂について更に深掘りしていきたいと思います。
なぜピアス穴が裂けてしまうのか?どうしたら治せるのか?いざ、というとき慌てないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。そして、ぜひご友人やご家族との会話の話題にも取り上げていただき、ここで得た知識を、教えてあげてください!
【目次】
1.そもそも耳垂裂ってなに?
2.なぜピアスで耳たぶが切れるの?
3.治療費は?健康保険は使えるの?
4.どんな手術なの?
5.手術は痛いの?
6.手術の後にまたピアスがあけられる?
1.そもそも耳垂裂ってなに?
写真のように“耳たぶが裂けた状態”を耳垂裂(じすいれつ)と言います。
耳垂裂には生まれつきのもの(先天性)と外傷性(後天性)があり、99%以上は外傷性。そのほとんどはピアス穴が裂けて生じます。先天性であれば小さい時に入院手術というケースもありますが、10才以降に日帰り手術というご相談も多いのが現状です。
左右どちらかの耳が裂けていることが多いですが、ピアスによるものの中には片耳で2ヵ所以上切れる場合や両耳、あるいは軟骨部など耳垂以外で切れているケースもあります。
2.なぜピアスで耳たぶが切れるの?
一番の原因とされているのは、アクセサリーの貴金属素材に含まれる『ニッケル』や『クロム』といった金属によるかぶれです。
日本人の10人に1人が金属アレルギーであると言われています。とくに体の部位のなかでも耳たぶは特にデリケートでかぶれやすい場所です。メッキなど安価なピアスで起こりやすく、ピアス穴に赤みや痒みが続くのが特徴です。
金属アレルギーによりジクジクを繰り返すうちにピアス穴が下に伸び、やがて糸状の皮膚でつながっただけの状態となります。これにちょっとした刺激が加わると切れて完全に裂けてしまいます。着替えの時や、寝ている際の寝返りなどで刺激が加わり、朝起きたらピアスがキャッチごと落ちて気づくという方が多いです。ただ、傷はとても小さいので痛みや出血はほとんどありません。ケンカでピアスを引っ張られたり(*1)、拡張ピアスで広げすぎて切れた(*2)というケースもありますが、かなり珍しいです。「穴を端のほうにあけたから」や「重いピアスをつけるから」裂けたと考えている方が多いですが、確かに距離的に切れやすくはなりますが、実際にはそれだけで裂けることはほとんどありません。どのケースも程度に差はありますが、主な原因はかぶれが多いということを覚えておきましょう。
3.治療費は?健康保険は使えるの?
先天性のものは健康保険で治すことができます。保険証の自己負担が3割の方なら3万円ほどで、もし有効な医療証をお持ちなら自己負担はゼロです。数年前までは外傷性の場合も保険が使えたのですが現在は認められていません。自費診療となるため手術料は各病院により自由に設定されます。ちなみにネット調査したところ、安いところでは4万円から高いところでは20万円以上というところも。じつに5倍以上もの差がありました。
当院では1ヵ所6万円、2カ所目以降5万円で、
モニター割引制度もあります。
高い技量と経験値 = 良い治療結果 ≠ 高い手術料
病院選びは慎重に!形成外科専門医を探しましょう。
ホームページで手術実績をチェックしましょう。
治療結果を決めるのは支払った手術料では無く、執刀する外科医の経験と技量、症例数です。
そのためには、少なくとも形成外科の専門医を取得している医師に依頼すべきです。ホームページなどで病院選びをする際には、必ず“手術実績”をチェックするようにしましょう。慎重に病院を選びさえすれば、適切な費用で良い結果が得られることでしょう。
「耳垂裂手術には十分な技量と経験が必要」
「外科医は結果に自ら責任を持つべき」
だから
常勤の形成外科専門医が手術するかを確認しましょう!
*神楽坂肌と爪のクリニック:3千件以上の実績
形成外科専門医の常勤医だけが担当
なぜ常勤の形成外科専門医でなければいけないのか?アルバイト医の場合、どうしても技量や経験にばらつきが大きいから、そしてなにより外科医というのは結果に自ら責任を持つべきだと考えるからです。当院では形成外科専門医の常勤医だけが責任を持って治療に当たります。
4.どんな手術なの?
主に行われている術式は3つ。『直線法』『Z形成術』『W形成術』です。『直線法』は図のようにキズ跡がくびれてしまうのでほとんど行われません。もっと複雑な術式もありますが、組織欠損のないピアスによる耳垂裂ではかえって創が目立つので向きません。
どの方法も裂け目を縫い合わせるという点ではおなじですが、“耳たぶの縁での皮膚の合わせ方”に違いがあります。普通に横から見ても見えませんが、↓の写真のように下から見上げればなんとなく見えます。術式による差はあまりに微妙過ぎるて、普通の人が傷跡を見てもわかりません。そしてその傷跡もだんだん見えなくなっていきます。そのつまり患者さん側が傷跡の形で術式を選ぶ意味はないと言うことです。医師が得意とする方法でやって貰うのが一番。
下はW形成術後、抜糸の時の写真。耳タブを下から見上げたところです。わずかな赤みの部分にW型の傷跡がありますが、わかりますか?横から見ても見えませんし、手術後半年〜1年でこのわずかな赤みも見えなくなります。
W形成術後、抜糸の時の写真、耳タブを下から見上げたところです。わずかな赤みの部分にW型の傷跡がありますが、わかりますか?手術後半年〜1年でこのわずかな赤みも見えなくなります。
当院ではW形成術を採用しています。経験のある外科医であればその先生の最も得意とする術式でいい結果がだせるはずです。患者さんがこだわるべきは、術式より医師の実績。医師に術式をリクエストするのではなく、信頼できる主治医を探してやり方はお任せすることが一番です。
なぜW形成術を採用するのか?
直線法:傷跡が縮み、ひきつれにより縁の部分で凹みやすい
Z形成術:創縁長を揃える必要があり、立体的な歪みがある
W形成術:柔軟にデザインすることができ、仕上がりが自然
だからW形成術は普通の耳垂裂はもちろん、特殊例から先天性や拡張ピアスにも対応できる
肌と爪のクリニックは2009年に先駆けて耳垂裂にW形成術を採用
現在では日本中で行われている標準術式です
さて当院が採用するW形成術ですが、じつは耳垂裂に用いるのは一般的ではありませんでした。10数年ほど前に私のホームページで公開したところ、開業医を中心にW形成術を採用する医師が急増し、現在では耳垂裂の標準術式として確立されるほど広く普及しています。驚くことに、当時私自身が描いた手術イラストのコピーを、今現在もホームページにそのまま載せているクリニックがたくさんあります。私たちがW形成術を好む理由としては、仕上がりが良いのは当然として、立体的な歪みが生じず、柔軟にデザインできるので裂け目の前後で耳たぶの厚みが異なるケースや先天性耳垂裂、拡張ピアスなど高度変形にも対応できるからです。
5.手術は痛いの?
局所麻酔で行うため、手術中の痛みはまったくありません。耳たぶの裂け目部分に少量の麻酔薬を注射します。幸い耳たぶというのは鼻やまぶたと比べて感覚の鈍い部分ですので、注射自体それほど痛くはないのでご安心ください。さらに当院ではまぶたの美容手術でも使われる30ゲージ(外径わずか0.3mm※一般病院では一番細くても0.45mm)という極細の注射針で行いますので痛みも最小限。手術中はまったくの無痛、触れられている感覚があるだけです。
手術時間ですが、十分な経験のある外科医なら1カ所10~20分程度で終わります。術後の痛みもほとんどないのでご安心ください。日常生活については手術当日からほぼ通常通りで、シャワーもシャンプーもできます。当院では3日間は運動、熱いお風呂、飲酒を控えていただいています。5~10日後に抜糸をしますが、これも痛くないのでご安心を。
6.手術の後にまたピアスがあけられる?
手術後1ヶ月以降にピアスをあけることができます。ただし、手術の傷からは1mm以上離す必要があります。先述の通り、ピアスによる耳垂裂は金属かぶれが原因なので、将来また切れるリスクがあります。対策としては肌に合わない金属を避ける。ピアスはたまにつけるようにする。汗をかくときや海水浴の時はピアスを外すなどに注意してください。
本日は耳垂裂について詳しく説明させていただきました。突然耳が切れてビックリしてしまう方も多いのですが、十分な経験のある外科医であれば、痛みのない手術で、傷跡をほとんど残さずに治すことができますのでどうかご安心ください。
当院では耳垂裂や拡張ピアス、ピアス閉鎖についてメール相談も承っております。
以下要領で、当院まで画像付きのメールをお送りくださおい。
・問い合わせ先アドレス:hadatotsume@gmail.com
・件名は「耳メール相談」として下さい
・耳タブの写真を1〜2枚。
・お名前、年齢、お住まいの都道府県
・相談の内容をお書き下さい。
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
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ピアストラブルTOP5
神楽坂肌と爪のクリニック院長の野田です。今回は当院でもご相談の多いピアストラブルについてお話しをさせていただきます。
今は6月ですが、この時期はピアスのトラブルのピークの谷間にあたります。ピアストラブルのピークは4月と8月なのです。
4月は新生活の季節。心機一転、ピアスデビューする人が多いもの。実はピアストラブルの半分以上はファーストピアスによるものなので春にはピアストラブルが急増します。
もう一つのピークは8月。夏もピアスデビューされる方も多いですよね。それだけじゃなく、夏は汗をかきやすく、海に出かけるなどピアスが塩水に触れる機会も多いものです。実は塩水がピアスかぶれの原因になるのです!
素敵なピアスライフを楽しむためにも、正しい知識を身につけましょう。
もくじ
■第5位…『ピアス穴がクサイ』ピアス上級者に多い意外な悩みとは?
■第4位…『ピアス穴が伸びて長くなる、耳たぶが裂ける/耳垂裂(じすいれつ)』周りが驚くホラーな見た目ですが手術で治せます!
■第3位…『しこりができる/ケロイド・粉瘤(ふんりゅう)』気になってついつい触っているうちに巨大化することも
■第2位…『ピアスが耳たぶに埋まる』セルフのファーストピアスはハイリスク!
■第1位…『はれる・化膿する・ピアスが入らない』ピアス初心者あるある
では5位から詳しく解説します。
■第5位…『ピアス穴がクサイ』ピアス上級者に多い意外な悩みとは?
症状:ピアス穴の辺りを触れると指に強烈な臭いがうつる。会話程度の距離ではわからないが、親しい人から耳の臭いを指摘されることも。こちらもお読みください
原因:臭いの原因はピアス穴の中に溜まった皮膚の垢。普通はピアスのつけ外しで垢が押し出されて清掃され、ピアスをつけているだけでも自然とこすれてキレイに保てるのですが、使っていないピアス穴は何年も垢が溜まったままになるのです。これがビックリするくらいクサイ!
なりやすい人:ピアスをたくさん空けている人。全ての穴を使うわけではないので普段使わないピアス穴が増えます。たまにピアスをつければ掃除になって良いのですが、なかには塞がっているケースもあり、凹みに垢がたまりやすく臭いの原因に。
解決策:
●定期的にピアスをつける。月に数日で充分です。
●手術でふさぐ(ピアス穴閉鎖術)。臭い対策だけでなく見た目もよくなります。なお手術せずに自然と塞がったピアス穴は臭いの原因になります。
予防法:ピアスはよく考えて計画的にあけてムダな穴を開けないことが大切です。
■第4位…『ピアス穴が伸びて長くなる、耳たぶが裂ける/耳垂裂(じすいれつ)』周りが驚くホラーな見た目ですが手術で治せます!
症状:耳たぶがピアスで切れてしまうのがピアスによる耳垂裂。朝起きたらピアスがキャッチごと落ちていて気がつく方が多いです。それ以前の数年間でピアスが徐々に下がって(穴が伸び)ていき、最後は糸状の細い皮膚でつながっているだけになっています。このためちょっと触れただけで痛みも出血もなく切れてしまいます。
前のピアス穴は完全に裂けていて、後は糸状につながり直ぐにも裂けそうな状態
原因:原因はピアスの金属と肌があわないこと。詳しく言うとアクセサリーに含まれるニッケルとクロムといった金属素材による刺激や金属アレルギーによる慢性的なカブレ(カサカサ、赤み、腫れ、痒み、びらん等)。これが治ってはまたカブレることを繰り返すうちにピアスが徐々に下がって行きます。多くの患者さんはカブレと認識せずピアスを続けて悪化させついには裂けてしまいます。中には消毒液にもかぶれて状況が複雑化しているケースもあります。締めつけによりピアスが食い込むこともリスクを高めます。
金属アレルギーと消毒かぶれで状況が複雑化した耳垂裂
「穴を端のほうにあけた」「重いピアスをつける」ことが原因と考えている方が多いですが、実はそれだけで切れることはほとんどありません。小さなピアスでも肌に合わなければ下がってきてしまいます。
なりやすい人:アトピー性皮膚炎の人、金属アレルギーの人、ピアスをたくさんあけている人(金属アレルギーのリスクが高い)、民芸品アクセサリー(貴金属ではない)が好きな人。耳たぶが厚い人、キャッチで耳たぶを締めつける人。
解決策:
●手術で縫いあわせる:比較的レアな手術ですが、症例数の多い外科医なら跡をほとんど残さずに治すことができます。当院では3000件以上の定番手術です。詳しくはこちら
手術前
手術後
予防法:
●汗をかく時や海水浴の時はピアスを外す:ピアスが汗や海水などの塩水に触れると金属がイオンとして溶け出しやすくなります。金属イオンが皮膚のタンパク質と結合すると身体がそれを異物とみなすようになり湿疹などのアレルギー反応を起こします。これが金属アレルギー。アクセサリーに含まれるクロームやニッケルへのアレルギーが多く日本人の10人がかかっていると考えられています。
●肌に合わない金属を避ける。耳たぶは、まぶたと並んでデリケートな場所で、指輪や腕時計は大丈夫でもピアスだとかぶれてしまう人も多いです。そこでピアス素材には特に気を遣いましょう。特にメッキは要注意。一度でも赤くなったらそのピアスはつけないこと。敏感な方は比較的トラブルが少ないプラチナ、医療用ピアスでも使われるサージカルステンレスやチタンがオススメです。ただし「プラチナ」と表記されていても、粗悪品も多く出回っていますのでかならず信頼できる宝飾店や百貨店で購入しましょう。
金属アレルギーで切れた部分を隠すためにつけたイヤリングにより更に湿疹が
●ピアスで耳たぶを締めつけないことも大切。1ミリ程度の余裕ができるように耳タブの厚い人は長い軸のピアスを使いましょう。
■第3位…『しこりができる/ケロイド・粉瘤(ふんりゅう)』気になってついつい触っているうちに巨大化することも
症状:ピアス穴を中心にコリコリしたしこりを触れる。しこりを押すと痛みがあったり、化膿して腫れ上がることがある。
原因:粉瘤やケロイドといった皮膚の病気。粉瘤は袋状のできもので、皮膚の下に落ち込んだ角質から垢がどんどん溜まって球状に大きくなったもの。粉瘤はもともと耳たぶ周辺にはできやすいのですが、ピアスをきっかけにできることがあります。いじっていると急に赤く腫れ上がって膿が出ることがあります。
点線で囲った部分に粉瘤
もう一つがピアスケロイド。ケロイドとは、傷跡の組織が異常に増殖した状態でピアス穴を中心に組織が硬く赤くなり、徐々に大きくなります。痒みや押すと痛いこともあります。
ピアスケロイド
なりやすい人:ケロイドの場合、身体の他の場所にもケロイドができやすい人(ケロイド体質)、軟骨ピアスをあけている人、ピアスがジクジクした状態が続いている人。
解決策:
●粉瘤は切除。化膿して赤く腫れ上がることがあり、その場合は飲み薬や切開で炎症が治まるのを待って後日切除。
●ケロイドは症状によって圧迫、飲み薬、貼り薬、ステロイド注射、切除など。
予防法:ケロイド体質の人はピアスをあけるのは慎重に。
軟骨ピアスは避ける。軟骨部のピアスはケロイドだけでなく、炎症を繰り返したり軟骨炎からの耳変形のリスクがあるのでオススメしません。
軟骨ピアスのケロイド
ケロイド手術後
■第2位…『ピアスが耳たぶに埋まる』セルフのファーストピアスはハイリスク!
症状:ピアスヘッド(石の部分)やキャッチが皮膚の下にめり込んで取れなくなる、外から見えなくなる。
ヘッドが埋まった例
キャッチが埋まった例
原因:ピアスによる耳たぶの強い締めつけ。ピアス初心者は「ピアスが落ちるのが心配だから」とキャッチをきつく締めてしまいがち。実はこれはとても危険。刺激によって腫れが生じ、腫れによりますます締め付けが厳しくなりやがてめり込んでいきます。
なりやすい人:セルフでファーストピアスの人、ピアスに不慣れな人、心配性の人、小さなピアスを好む人、耳たぶの厚い人
解決策:
●手術でピアスを取りだす(保険診療)。ピアス穴を残したい場合はシリコン製の特殊なレスキューピアスで穴を確保しながら治療する方法も(自費診療)。
予防法:
●ピアスに余裕を持たせる。耳たぶとピアスヘッドやキャッチの間は1ミリ以上の隙間が必要です。
●耳たぶが厚い方はピアスの軸が長いものだけをつける
●耳たぶの厚い方や不慣れな方はシリコン製ピアスキャッチをオススメします。
上が普通のキャッチ、下がシリコンキャッチ
■第1位…『はれる・化膿する・ピアスが入らない』ピアス初心者あるある
症状:ピアス穴周辺の赤み、かゆみ、腫れ、汁がでる、皮むけ、ピアスが入らない。悪化すると大きく腫れ上がったり耳の下リンパに腫れや痛みが出ることも。
ピアスの周りが赤く腫れる、痒い
ピアス穴が赤くピアスが入らない
原因:触りすぎによる刺激、ピアスのつけはずしのときの傷、金属が肌に合わない、消毒液によるかぶれ。
なりやすい人:ピアスが気になって触りすぎる人、ピアスのつけ外しに不慣れな人、ピアスをあけて2年以内の人、金属アレルギーの人
金属アレルギーはピアスが触れる部分に一致して湿疹ができる
解決策:
●ピアスを外す:耳たぶを守り、それ以上のトラブルに発展させないため最も確実な方法はただちにピアスを外すことです。ひどく腫れている場合はそのまま閉じてしまうことも多いです。ピアス穴を残したい方のために当院ではシリコン製レスキューピアスでピアス穴を確保しながら治療する方法も行っています。
治療用のレスキューピアス
●ステロイド軟膏:炎症を抑える作用があり、ほとんどのケースではピアスを外してステロイド軟膏を塗ると治癒します。金属アレルギーにも効果的です。市販品は効果が不十分なことがあるので医療機関で相談されることをお勧めします。
●飲み薬(抗生物質、消炎鎮痛剤):悪化して化膿性炎症や化膿性リンパ節炎を起こしている場合に使用されます。
●よくすすぐ:浸出液が多くなるので毎日シャワーでよくすすぎましょう。ただし決して消毒液はしないで。赤みや腫れを「化膿している」思い込み、消毒や軟膏で悪化させる方も多いです。多くは刺激による炎症であって膿が出るという方のほとんどはカブレによる浸出液です。がんばって毎日消毒してしまうと逆効果。消毒液のカブレも合併してトラブルから抜け出せなくなります。殆どケースではいわゆる化膿、化膿性炎症まではいたっていません。
予防法:
●ピアスに触れすぎない:当院でピアスをあけた方には「1日1回シャワーの時に、軽くすすいだあと、ピアスの石持って半周だけ回してください。それ以外はピアスに触れないで」と指導しています。理由は、ピアスによる赤みや腫れの最大の原因が触りすぎだから。手を洗えばOKとかではなく、触れる(刺激する)こと自体がNGなのです。
●頻繁にピアスをつけ外ししない:ピアスのトラブルの多くはピアスをつけはずしの時に起きます。特に開けたばかりのピアス穴は壁の皮膚が薄くとてもデリケート。ピアス軸の先端で傷つけて腫れることがよくあります。また安定しない間は自然とピアス穴が狭くなることもあり、そこに無理に入れると傷つけて腫れます。傷つけるくらいならピアスをつけっぱなしにしているほうがずっとトラブルは少ないのです。
●慎重にピアスを入れる:開けたばかりのピアス穴は壁の皮膚が薄くとてもデリケート。ファーストピアスは穴が落ち着く2ヶ月は入れたままにしましょう。1年間は不安定なので入れ替えには注意が必要。お出かけ直前の慌てた状況でピアスをつけてはいけません。特に不慣れな間は朝の気持ちに余裕のある時につけるようにしましょう。
●ピアスを入れる時に軟膏をつける:ピアス軸の先端に軟膏をつけると滑りがよくなり壁を突き破ることがありません。
●消毒液はしない:ファーストピアスの後、毎日消毒を勧められることがあると思いますが、消毒液はカブレることが多く、ピアス洗うのも不十分になりがちでむしろ逆効果。緩めにつけたピアスを毎日シャワーですすぐだけで充分清潔を保て、トラブルも少ないです。
消毒液によるカブレ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ピアストラブルを起こしやすい人の特徴としては『ピアスをはじめて開ける人』と『ピアスをたくさん開ける人』で二極化しています。とくにファーストピアスは一番の肝と言えるでしょう。というのも実はピアストラブルの半分以上はファーストピアスで生じ、一度起きると生涯に渡ってトラブルが続くことも珍しくないからです。
セルフであけた方は是非ご自身でトラブルに興味・関心を持っていただきたい。トラブルの多くは未然に防ぐことができ、起きてしまったトラブルには但し対処することが大切だからです。また今日のブログの内容を、知識としてご家族やご友人、会社の同僚との会話のなかで、話題として取り上げてもらえると嬉しいです。
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
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ピアスの専門医が教える失敗しないファーストピアスその1.ピアッシングの基礎知識
こんにちは。肌爪先生こと神楽坂肌と爪のクリニックの院長、野田弘二郎です。
梅雨明けの便りもチラホラ聞こえてきて、まもなく本格的な夏到来ですね。さて、春から夏にかけては、ピアスデビューをする人が多い季節。それは、ピアスのトラブルが増える季節でもあります。ピアスのトラブルの多くがファーストピアスの失敗によるものだからです。
そこで本日は皆さんがファーストピアスをあける際に、医師として気をつけて欲しいと思うことについてお話をさせていただければと思います。正しい知識を学び、より快適なピアスライフを送りましょう。
<セルフのピアッシングでよくある失敗>
◎左右で位置がずれた
◎ピアスを刺す角度がそろわず、つけたピアスがあべこべの方向を向いてしまう
◎場所が不適切なためせっかく買ったピアスがつけられない
◎おなじ耳に二ヵ所をあけたら距離が近すぎてピアス同士が当たってしまいつけられない
◎開け直しているうちに使わないピアス穴がどんどん増えてしまった
なかには、人間関係のトラブルへと発展したケースも!
患者さまとお話しをするなかで、家族に内緒で空けたら失敗してしまい、叱られて親と一緒に開け直しに来た、友人にピアスをあけてもらったけれど友人とケンカになってしまった、という話もありました。経験のある医師にあけてもらえば痛みも少なくキレイにあけることができます。仮に万が一トラブルが起きても専門的な知識で正しく対応してもらえるのです。ファーストピアスでのトラブルは、その後の生涯に渡ってさまざまなトラブルが続くことも珍しくありません。病院でのピアッシングは、安心かつ快適なピアスライフを楽しむためには、充分に見合う投資だと言えるのです。
【目次<最低限知っておきたい7つのポイント>】
1.いつあけるか?
2.どこであけるか??
3.何科であけるか?
4.どこにあけるか??
5.ピアスのリスクは?
6.どうやってあけるか??
7.麻酔を使うか??
1.いつあけるか?
本人がピアスの社会的な意味とピアッシングのリスクを理解し、意思決定できる年齢であること。
つまり16歳以上になるかと思います。加えて未成年が病院でピアシングを行う場合には、保護者の同意が必須となります。高校生の場合、校則など社会的ルールに反していないことも大切です。例えば夏休みにピアスをあけたけれど学校がはじまり外さなければならない状況に…。そうなると、結果的に跡だけが残ってしまうこともあります。
耳垂ケロイド
その他には、妊娠中はケロイド発生のリスクが高まると言われているので避けるようにしましょう。
2.どこであけるか??
ご存じの方も多いと思いますが、ピアス穴をあけることは医療行為。つまり、医師の資格がない人がピアスをあけることは厳密には違法になります。たとえ無料であっても継続的に行えば医師法で罰っせられます。詳しくは以下の記事をお読み下さい。
ご自身やお友達があける場合は継続した業務として行うわけではないため違法にはなりませんが、あける側もあけられる側も不慣れなため、さまざまなトラブルに繋がる恐れがあります。やはり望ましいのは、病院であけること。経験ある医師であれば痛みも少なく、キレイにあけてもらえますし、何よりトラブルも少ないですからね。もちろんトラブルが起きてもしっかり対応してもらえます。
3.何科であけるか?
ピアスは皮膚科や形成外科、美容外科などであけてくれることが多いです。では、病院選びはどうすればいいのか?主にWEB検索をしてホームページを参考にされることになると思いますが、「これなら安心!」と言っていい、病院選びのポイントを2つご紹介します。
【POINT.1】専門医がピアッシングとその後のフォローもしっかりやってくれるか
皮膚科や形成外科の専門医資格を持つ医師があけてピアス穴空けとトラブル時の対応をしてくれるか予約の際に確認しましょう。医師になりたてのアルバイト医が空け、トラブル対応は別の医師がするというのはちょっと心配です。ホームページにピアストラブルの対応について書いているかもポイントになります。
【POINT.2】ピアスの素材、軸の長さやデザインが複数から選べること
肌のデリケートな方はチタンピアスを扱っているかも確認しましょう。耳たぶの厚みの違いに対応するかも大切ですし、ファーストピアスは1ヶ月以上外せないため見た目も重要です。
4.どこにあけるか??
耳たぶの形は個人差・左右差が大きいので慎重に決める必要があります。軟骨部のピアスは人気がありますが、血流が悪いため感染しやすく、組織が硬く傷つきやすいため、ケロイドや軟骨炎による変形のリスクがあるため、あまりオススメはしません。また、耳たぶのどこまで軟骨があるか正確に知らない方も多いので、注意が必要。あまり上のほうにあけないほうが無難だと思います。
★具体的な場所の決め方についてはこちらの動画でご説明しています!
5.ピアスのリスクは?
金属によるかぶれ、
ピアストラブルピアスかぶれ ピアスアレルギー金属アレルギー ピアストラブル 接触皮膚炎
接触皮膚炎ピアストラブル
ピアスが埋まってしまう、
ピアストラブルピアス埋入
耳たぶが切れる、
ピアストラブル外傷性耳垂裂 複数
しこりができるなどがあり、このようなトラブルについては別動画で詳しく取り上げています。リンクを貼っておきますので是非ご覧下さい。
ピアスを複数あける
さて、皆さんはこんな話を聞いたことはありませんか。『ピアス穴から白い糸がでていて、これが視神経で引っ張ると失明する』…これはあくまでも都市伝説。完全なデマです。視神経は目玉の後ろにあり、指くらいの太さがある4cmほどの神経です。大変デリケートな神経ではありますが、耳たぶからは遠く離れているため、ピアス穴から出てくることは絶対にありえませんのでどうぞご安心ください。
6.どうやってあけるか??
医療機関ではピストル型ピアッサーが多く使われます。
専用の医療用ファーストピアスをピアッサーにセットして、一瞬で穴開けとピアス装着が完了するというものです。打ち込む速度が速いため市販のピアッサーと比べて痛みが少なく、一瞬で終わり、位置や角度がずれにくいといったメリットがあります。
逆に市販のピアッサーの問題点は、速度が遅いため痛みが強い。ズレやすく斜めにあいてしまう。使用するピアスの質が悪く、皮膚トラブルに繋がる恐れがあるなど、さまざまなリスクを伴います。
痛いのが苦手な方には、この医療用ピアッサーだけでも病院であける価値があります。
7.麻酔を使うか??
病院でもピアッサーを使う場合、局所麻酔は使いません。
理由はとてもシンプル。むしろ麻酔の注射のほうが痛いからです。
ただし、例外もあります。トラガス(耳の顔側にある三角形の軟骨部分)など、ピアッサーが入りにくい場合のみ局所麻酔を注射し、太い注射針で穴をあけてピアスを通すこともあります。なお、トラガスは軟骨部なうえに狭い場所なので、特にトラブルが多い場所で、正確にあけるためにはかなり経験が必要です。
今回は、私が日頃の診療を通じて感じているファーストピアスで知っておいて欲しいことについてお話ししました。
次回の動画『こうしてあける!医者が教えるファーストピアスの実際』では、いよいよ実際のピアッシングについてご説明いたします。是非ご覧下さい。
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
<詳しいプロフィールはこちら>
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こうしてあける!ピアスの専門医が教えるファーストピアスの実際
こんにちは。肌爪先生こと神楽坂肌と爪のクリニックの院長、野田弘二郎です。
前回は『ファーストピアスをあける時に、医師として気をつけて欲しい7つのポイント』をテーマとして取り上げ、経験のある医師があければトラブルはおこさず、痛みも少なく、正確な位置に、キレイにあけてもらえると説明しました。
今回はさらに一歩踏み込んだ『病院でのピアッシングの実際』について説明します。当院の方法を例に、実際に病院ではどうやってピアスをあけているのかを知っていただくとともに、ピアス後のケア方法についても詳しくお話しいたします。※前回の記事をまだ見ていない方は、こちらからご覧ください。
【目次】
1.医者が勧める安全なピアスの位置
2.医療用ピアスとは何か?
3.ピアッシングの実際
4.ファーストピアス後の管理は?
5.セカンドピアスの選び方は?
6.ピアスに不慣れな間に気をつけることは?
7.金属アレルギーを防ぐためには?
1.医者が勧める安全なピアスの位置
医学論文がいくつかあるのですが、何十年も前のものばかりで時代遅れ。参考になりません。
そこで当院では、これまでの多くのピアッシング・ピアストラブル治療の経験をもとに、
独自の基準:【耳たぶの付け根(専門的には下耳底線を通る垂線)から後方に7ミリ、耳タブの縁から上方に5~7ミリ】を設けています。
この基準をベースに、患者さんの好みや耳たぶの形や立ち方、左右差、すでに開いているピアス穴や傷跡などとの位置関係を考慮しながら患者さんごとに「安全かつ見栄えのする最適な場所はどこなのか」微調整します。
2.医療用ピアスとは何か?
医療用ピアスの構造は、スタッドピアスタイプでファーストピアス専用。
スタッドピアスとは、耳に通す軸部分(ポスト)がまっすぐになっていて、耳の裏にキャッチ(留め具)をつけて固定するタイプのピアスのこと。
これは市販ピアッサーもおなじですが、医療用では材質が骨折手術でも使われるサージカルステンレスやチタンなどの高品質金属です。 安定したピアス穴をつくるため、普通のピアスよりも軸が太く、長さは耳たぶの厚みによって選べます。
また、スムーズな穴開けのため軸の先端はやや尖っていて、固めのキャッチで外れにくくなっているのが特徴。これをピストル型ピアッサーにセットし、ピアッシングすることにより、一瞬で穴開けとピアス装着が完了します。
トラブルのおきにくい安定した穴が空けられるだけでなく、痛みも少なく、位置や角度がずれにくくキレイにあけられるというメリットがあります。
3.ピアッシングの実際
まずはピアッシングする位置を手術用マーカーでマーキング。これにはタトゥーを作らない特殊インクが使われます。その場所をアイスパックで30秒冷やします。
ピアスをあけてもらう人は軽く顎をひいて、両目と両肩を水平に保ちます。首をかしげたり、肩をすくめてしまうと穴が斜めにあいてしまうのでご注意ください(医師からも指示があるのでご安心ください)。
次にマーキングした場所にピアッサーをあてがい、水準器でピアッサーの水平を確認。耳たぶの立具合などで微調整してからトリガーを引きます。
はい、これで終わりです。一瞬でピアス穴があき、ピアスが装着された状態になります。
※痛みや出血はありませんが「じわーっとした感じ」とおっしゃる患者さんが多いです。
4.ファーストピアス後の管理は?
1日1回シャワーの際に、耳たぶを軽くすすいだあと、ピアスの石を持って半周だけクルリと回す。以上です。それ以外は触れないようにしましょう。
なぜなら、触りすぎが赤みや腫れの最大の原因だからです。
消毒液はむしろ逆効果!
病院によっては、ファーストピアス後に消毒を勧められることがあります。しかし消毒液はかぶれが多く、ピアスをすすぐのも不十分になりがちでむしろ逆効果。そもそも「消毒しないと化膿する」であるとか「水に濡らすとバイ菌が入る」というのは、創傷治癒の観点からも時代遅れ。毎日シャワーですすぐだけで充分清潔を保つことができ、むしろトラブルが少ないのです。
5. セカンドピアスの選び方は?
セカンドピアスに入れ替える時期は、ファーストピアスをあけてから1.5~2ヵ月後。ファーストピアスのキャッチはやや硬いですが、もし外れない場合は、専門病院に行けばピアスリムーバーという専用の道具で外してもらえますのでご安心ください。
さて、セカンドピアスの選び方ですが、注目すべきは素材。18金やプラチナ、チタンなど肌に優しい素材がお勧めです。粗悪品も多いので、必ず信頼できる店舗で購入しましょう。
デザインはピアスヘッドが3ミリ以上のスタッドピアス。軸の長さに余裕があるものを選び、耳たぶを締めつけないようキャッチに1ミリ以上余裕を持たせてください。耳タブが厚く軸の長さが足りないにはシリコンキャッチもおすすめです。
★最初の2年間は『フック型』や『重いピアス』も避けるようにしましょう。
6.ピアスに不慣れな間に気をつけることは?
とにかく、ピアス穴を傷つけないことが大切です。
ピアスを入れる際はとくに慎重に。たとえばお出かけ前など慌てている状況でピアスをつけないでください。ピアスの軸の先端に軟膏をつけると滑りがよくなり、壁を突き破ることがないのでお勧めです。
ピアストラブルの多くはピアスのつけ外し時に起きるため、頻繁につけ外ししないでください。また、安定しない間は自然とピアス穴が狭くなることもあり、無理に入れると傷つけて腫れてしまいます。傷つけるくらいならピアスをつけっぱなしにしている方がトラブルは少ないのです。
7.金属アレルギーを防ぐためには?
耳たぶの皮膚というのは非常にデリケートで、金属アレルギーの症状がでやすい場所です。症状としては、ピアスが触れる部分の皮膚が赤くなったり、カサカサになります。酷くなると「かゆみ」や「ただれ」になることも。また、一度金属アレルギーになってしまうと金属に触れない以外に避ける方法はないので、そうなる前に予防がとても大事なのです。
ピアスを複数あける
ピアス穴を複数あけると、金属アレルギーのリスクが高まることがわかっています。
よく考えてあけましょう。
汗や海水に注意
金属が汗や海水に触れると金属アレルギーを起こしやすくなるので、スポーツなど汗をかきやすいときや海水浴の際はピアスを外してください。これはファーストピアスだからというわけではなく、ピアスに慣れたあとも同様のことが言えます。
本日は病院でのピアッシングの実際とその後のケアについて説明させていただきました。
我々医師が非常にたくさんのことについて考えながらピアスをあけ、ピアス後の管理指導をしているのがおわかりいただけたかと思います。
トラブルを起こして駆け込んでくる患者さんに対応をするため、何がトラブルの原因になり、何がリスクが高いかをよく知ってるからです。
ファーストピアスは考えられているほど安全でも手軽なものではありません。
ファーストピアスを正しくあけて、安全で快適なピアスライフをスタートさせて下さい!
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
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