ピアスホール腫れ!化膿!ピアスが入らない!そんな時どうする?
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
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さて、2025年も早くも3月を迎えました。
これから春にかけて、新生活にあわせてピアスデビューされる方が増える季節です。
その一方で、ピアストラブルが多くなる時期でもあります。
そこで今回は、はピアス初心者の方に多いお悩み、
ピアスホールが腫れる
化膿する
ピアスが入らなくなる
といったトラブルについて、
その原因、治療、予防までお話しします。
ぜひ最後までご覧いただき、お友達やご家族とも共有していただけると嬉しく思います。
【目次】
1.何故ピアスホールはケアが必要なのか
ピアスのトラブルの中でも特に多いのが、ピアスホールの腫れや化膿です。
ピアスをつけている方なら、一度は経験したことがあるかもしれません。



軽度であれば自然に治ることもありますが、
一度トラブルが起こると繰り返しやすくなる傾向があります。
気づけばピアスが入りにくくなり、焦ってしまう方も少なくありません。
慢性化するとシコリができたり、
ついにはピアスホールが裂けてしまったりすることもあります。
腫れる、化膿するといったトラブルのきっかけとして多いのが
ピアスの付け外しの時にピアスホールの壁を傷つけてしまうことです。

ピアスを開けて1~2年は、まだピアスの付け外しに慣れていない、ピアス初心者の時期。
遅刻しそうになって急いでいる時や、買ったばかりのピアスが上手く入らない時など、
あせって無理に入れようとして、ピアスホールを傷付けてしまう人が大変多いのです。

というのも、この時期はピアスに慣れていないだけでなく、
ピアスホールの壁に十分な厚みがなく、薄皮の状態で大変デリケートなのです。
そのため、ちょっとしたきっかけでピアスの軸が壁を突き破ってしまいます。

また、ピアスホール自体まだ安定していないため、
ピアスをつけずにいると狭くなりやすい時期でもあります。
ピアスを数週間外していただけでピアスホールが狭くなることがあります。
こうなると正しくピアス入れたとしても、
狭くなった壁にキズがついて腫れることがあります。



さらに、ピアスデビューの時期に一致して、
ネックレスや指輪などのアクセサリーをつけはじめる方も多いと思います。
アクセサリーをつけることで金属アレルギーになったり、
もともとあったアレルギー症状が明らかになるのもこの時期なのです。
そして、もう一つの要因が間違ったケアです。
ピアスホールを大切にケアするつもりで、
あるいはトラブルを自分で解決しようとして、
毎日消毒液をつけたり、ピアスホールに異物を入れたりすることで
自分でトラブルを作ったり、トラブルを複雑化させてしまうことがあります。


ピアスホールが腫れると、不安になって「とりあえず消毒しよう」と考えがちです。
しかし、実は消毒をしたからといって、菌が死んで化膿が治るわけではありません。
むしろ、キズの治りを妨げたり、カブレを引き起こして症状を悪化させることもあります。
消毒液は、多くの方がイメージするような「万能の傷薬」ではないのです。
↓↓ピアスホールケアの正しい方法はこちらの動画でも説明しています↓↓
3.症状
典型的な症状としては

ピアスホール周辺が赤い、腫れる、カサカサする、痒い、痛い、水疱が出来る、汁が出る、しこりができる、嫌な臭いがする、などがあります。

繰り返すうちにピアスが入らなくなったり、
反対にピアスやキャッチが耳たぶにめり込んで取れなくなったりします。
さらに進むと、耳の下のリンパ節が腫れたり、耳たぶが裂けることさえあります。

患者さんは、これらの症状をまとめて「ピアスが化膿した」と表現することが多いです。
私達医師の世界では「化膿」とは普通、細菌感染による炎症のことを言います。
患者さんの「ピアスの化膿」には、こうした化膿性炎症だけでなく、
物理的損傷や、金属アレルギー、ケロイド、皮下異物、接触皮膚炎、
セルフケアによる副損傷、化膿性リンパ節炎など広範囲の病変を含んでいるのです。
4.治療
まずは今すぐにでもできるホームケアからご説明します。

■よくすすぐ
ピアスが腫れると、浸出液が多くなり不潔になりやすいので
毎日ボディソープをよく泡立ててピアスをつつみ、シャワーのお湯でよくすすぎます。
熱心に掃除をしたりすると悪化するのですすぐだけです。
何度もいいますが消毒液は使わないで下さい。決して清潔にはなりません。
垢は、溜まる前に日々の入浴で洗い落とされるため清潔が保てます。
ところが、ピアスホールは細いトンネル状になっているので
垢をうまく洗い流すことができません。



ピアスホール腫れの多くは刺激による炎症であって
ほとんどのケースではいわゆる化膿、化膿性炎症まではいたっていません。
膿が出るという方でも、そのほとんどは刺激やカブレによる浸出液です。
とにかくすすいで清潔に保ち、キズが治りやすい環境を整える、
これが最短解決への第一歩です。

■ピアスを外す
ピアスによる刺激を避けるため、ピアスを外します。
特に金属アレルギーが原因の場合は、これだけで症状が改善することが多いでしょう。
ただし、腫れがひどい場合、そのままピアスホールが塞がってしまうこともあるため、
ピアスを続けたい場合は、早めに医師へ相談することをおすすめします。
適切なホームケアを行うことで、症状の改善が期待できます。
徐々に良くなり、1ヶ月ほど経てばピアスを再開しても問題ないでしょう。
しかし、1週間試しても症状がまったく改善しない、
または悪化している場合は、迷わず病院を受診しましょう。
次に病院での治療について説明します。
その前に大切なことをお話しします。
ピアスホールにトラブルがおきて、先のセルフケアでも改善しない場合、
どの病院に相談すれば良いでしょうか?

まずは、ピアスを開けてくれた医師に相談しましょう。
開けた医師は、ピアスの材質やサイズ、開けた時期などの情報を把握しており、
トラブル解決に最も適した存在です。
また、医師にはピアス後のケアや経過を見守る責任があるため、
トラブルが起きた際もしっかり対応してくれます。
ピアスというものは少なからずトラブルが起こるものです。
いざというときに安心して相談できるよう、
ピアスに詳しい医療機関で開けることを強くおすすめします。

セルフピアッシングや旅行先のピアスショップで、軽い気持ちでピアスを開けてしまい、
後になってトラブルが起きた際に相談できる相手がいない…。
そんな状況はぜひ避けたいものです。
ピアスは体に直接関わるものだからこそ、信頼できる医療機関で安全に開けることが大切なのです。
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さて、ここから具体的な治療法について説明します。

■ステロイド軟膏
多くの場合、ピアスを外して抗生物質入りのステロイド軟膏を塗ることで、症状は落ち着いていきます。
ステロイドは、副腎皮質という臓器で作られるホルモンの一種で、
もともと私たちの体に備わっている抗炎症作用を持っています。
特に、金属アレルギーや消毒によるかぶれには、高い効果が期待できます。
ただし、ステロイドには効果の強さにランクがあり、
症状に合った適切なものを使用することが重要です。
市販のものではピアストラブルに対して十分な効果が得られないことが多いため、
医療機関で相談し、適切な薬を処方してもらうことをおすすめします。

■飲み薬(抗生物質、消炎鎮痛剤)
感染をコントロールし、腫れや痛みを抑えるために使われます。
予防的処方されることもあります。
悪化して化膿性炎症や化膿性リンパ節炎を起こしている場合は、非常に効果的です。
これもやはり市販薬では不十分なので病院で相談してみましょう。


■皮下異物摘出
ピアスやキャッチが皮膚にめり込んで取れなくなった場合、
局所麻酔を施し、専用の器具を使って摘出する手術が必要になります。

治癒後もピアスホールを継続して使いたい場合は、
シリコン製の「レスキューピアス」を約2ヶ月ほど装着します。
ただし、この処置には健康保険が適用されません。
また、レスキューピアスを取り扱う医療機関は限られているため、
事前にネットなどで対応可能なクリニックを探しておくことをおすすめします。
■ブジー
ピアスホールが狭くなったり、閉じてしまった場合、再びホールを確保する方法があります。
ピアストラブルは、一度治癒しても同じホールで繰り返しやすいため、
通常、病院では「新たに開け直す」ことを勧められると思います。

しかし
「ピアスホールを増やしたくない」
「どうしても同じ場所でピアスを続けたい」
という方には、ブジー処置という方法があります。
これは細い金属製のスティックをホールに挿入し、
慎重に出口を探りながら再開通させる方法です。
もし完全にホールが塞がっている場合は、局所麻酔を施し、
一番薄い部分に新たな孔を開けます。


ピアスホールを安全かつ確実に確保するために、
ブジーで確保したピアスホールにシリコン製のレスキューピアスを入れて
2ヶ月間留置することでホールが安定するのを待ちます。
2ヶ月したら通常のピアスに付け替えて再開します。
当院ではよく行う方法ですが、扱う医療機関がかなり少ないです。
また、健康保険は使えず治療費も高いので慎重に検討して下さい。
■ピアス閉鎖手術
ピアストラブルを繰り返し、「ピアスを諦める」という選択をされる方もいます。
しかし、使わなくなったピアスホールをそのまま放置すると、
垢が溜まって臭いが発生したり、化膿する などのトラブルが起こることがあります。
このような場合、ピアスホールを手術で塞ぐこともできます。
こちらも扱う医療機関は非常に少ないです。
また小さなキズでキレイに塞ぐのは経験とスキルが要求されます。
ピアス閉鎖術についてはこちらの動画で説明しました。興味のある方は是非ご覧下さい。
5.予防
トラブルの治療も重要ですが、予防はもっと大切です。
繰り返して慢性化させないためにも、次のようなことに気をつけてみて下さい。

■ピアスに触れすぎない
ピアスによる赤みや腫れの最大の原因が触りすぎです。
ついつい触れてしまう方は、触れる度にトラブルのリスクが高めてしまっているという意識を持つことが大切です。

■頻繁にピアスをつけ外ししない
ピアスのトラブルの多くは、ピアスをつけはずしの時に起きます。
つけ外しで傷つけるくらいなら、つけっぱなしのほうがトラブルはずっと少ないのです。

■慎重にピアスを入れる
つけ外しのトラブルを防ぐために、慌てた状況でピアスをつけてはいけません。
お出かけ直前や遅刻しそうな時に慌ててピアスをつけようとするとピアスホールを傷つけるリスクがぐっと高まります。
特にピアスに不慣れな最初の数年間は、お出かけ前の晩など、気持ちと時間に余裕のある時にピアスをつけるようにしましょう。

■ピアスを入れる時に軟膏をつける
ピアス軸の先端に軟膏をつけると滑りがよくなり、
ピアスの先端が正しい方向に導かれます。
ワセリンやベビーローションでも構いません。
これにより、ピアスの軸が壁を突き破るリスクを大幅に下げることができます。
但しキャッチが落ちやすくなるので気をつけて下さい。

■ピアスとピアスホールの清潔を保つ
耳たぶ周辺は皮脂が多く分泌されます。
また、ピアスやキャッチは形が複雑で、皮脂汚れ場こびりつき不潔になりやすいです。
毎日たっぷりのボディソープでつつみ洗いし、シャワーですすいで清潔に保ちましょう。
なお、水道の水が傷に入っても化膿することは決してありませんので安心して下さい。
■正しいピアスホールケア
再度になりますが、ピアスホールのケアについてはこちらの動画で詳しく説明しました。併せて是非ご視聴下さい。
6.まとめ
今回は、よくあるピアスのトラブルについて説明しました。
まずはトラブルにならないよう予防に心がけ、
症状が出たら早めにピアスを開けてもらった医師に相談しましょう。
本記事&動画を参考にしていただき、
トラブルのない快適なピアスライフを楽しんで下さい!
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【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員