【クサイなら絶対やって!】専門医のピアスホールケア
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
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さて、皆さんは『ピアスホールのケア』をしてらっしゃいますか?
しているという方。正しい方法でケアできているという自信をお持ちですか?
突然すみません。
というのも、ピアスホールのケアのやり方については
ネット上に間違った情報が溢れているのです。
実際にキレイにしているつもりが、
むしろトラブルを起こしてクリニックに相談される方も多いのが現状。
そこで、今回はそんなピアスホールのケアについて、
ピアストラブルの専門医の立場から説明いたします。
ピアスあけているすべての皆さん、
そしてこれからピアスをあけようと考えている方もぜひ参考にして下さい。
【目次】
1.何故ピアスホールはケアが必要なのか
そもそも、なぜピアスホールをケアする必要があるのでしょうか?
それは、正しいケアを理解しないまま行ってしまうと、
むしろトラブルを増やしてしまうことになりかねないからです。
ケアすること自体が目的とならないよう、
理由を明確に捉えることが大切です。
ピアスホールケアをする目的は時期によって異なります。
まずはファーストピアスのケア。
これは良いピアスホールを作るために必要なケアです。
次にピアスを開けて1〜2年は、
しっかりしたピアスホールを育てるためのケアです。
3つ目はそれ以降、生涯続けるケア。
ピアスホールを健全に維持するためのケアです。
使わなくなってしまったピアスホールでも同様のケアが必要です。
これら3つに分けて、
具体的な方法を説明していきます。
2.ファーストピアスのケア
ファーストピアスのケアの目的は、良いピアスホールを作ること。
ファーストピアスを付ける期間は、2ヶ月ほどのごく短い期間なのですが、
生涯経験するピアストラブルの、じつに半分以上がこの時期に起きています。
まずは、このことを知っておいていただきたいと思います。
快適なピアスライフのスタートを切るためには、
◎正しくピアスを開けること
◎正しいケアで良いピアスホールを作ること
これが大切です。
ファーストピアスの正しい開け方についてはこちらの動画で説明しています。
これからピアスを開けようと考えている方はぜひご覧下さい。
ファーストピアスを開けてからピアスホールが完成するまでは、
1.5ヶ月から2ヶ月かかります。
この間、毎日のシャンプーをすすぐ際に、耳たぶも軽くすすぎます。
シャンプーをする際、耳タブについたシャンプー泡によって
ピアスホール周辺の油分や浸出液などの汚れが浮き上がります。
その泡を軽くすすぐだけで汚れはキレイに洗い流され
これだけでピアスホールを充分清潔に保つことができます。
ピアスホールを熱心に洗ったり、ピアス専用ケア用品はむしろトラブルを増やすのでやめて下さい。
感覚としては「シャンプーのついでにピアスのあたりも軽くすすぐ」
これだけで必要かつ充分です。
耳たぶをすすいだら、耳たぶの表側からピアスの石の部分を持って半周だけ回します。
方向はどちらでも結構です。ぐるぐる回す必要もありません。
これを1.5ヶ月から2ヶ月続けることで均一で良好なピアスホールが作られます。
そしてトラブルを防ぐ上で一番大切なのは、
できるだけピアスに触れないこと。
ピアスを開けた直後は、なんだか気になってついつい耳たぶに触れてしまう方がいます。
その刺激が繰り返されると、やがてピアスホールに赤みや腫れ、
汁が出るなどのトラブルが起きます。
じつはファーストピアスの失敗の一番多い理由は「触りすぎ」によるものなのです。
ピアスに触れるのは、毎日シャンプーの後、半周回す時だけ。
一日一回だけという意識付けが、触りすぎによるトラブルを防ぐことになるのです。
病院によっては、ファーストピアス後に消毒を指導されることがあると思います。
しかし最近の医学的な考えでは、消毒液では充分な清潔を保てないだけでなく、
化膿の予防にもなりませんし、カブレなどトラブルを引き起こすことがあり逆効果です。
また、薬局やネット通販などで売られているピアスケア用品もやめましょう。
よかれと思って、むしろトラブルをかかえてしまう方が続出しています。
「消毒しないとキズが化膿する」とか「水に濡らすとバイ菌が入る」というのは
とても時代遅れの考えです。難しいケアも必要ありません。
毎日シャワーですすぐだけで充分清潔を保て、むしろトラブルが少ないのです。
3.ピアスを開けて1~2年のケア
完成したばかりのピアスホールは、壁の皮膚が薄く非常にデリケートです。
ピアスホールは不安定な上、皆さんピアスのつけ外しにも不慣れなため、
ファーストピアスの次にトラブルが多いのがこの時期です。
皮膚にしっかりした厚みが出て、ピアスホールが安定するまでには1~2年かかります。
この時期のケアの目的は、しっかりしたピアスホールに育てることです。
この時期のピアスホールケアはとてもシンプルです。
それはピアスをできるだけつけっぱなしにすること。
意外だと思われるかもしれませんが、ピアスをつけていることで、
適度な摩擦によりピアスホールは自然とクリーニングされます。
また、ピアスの金属自体に殺菌作用があり常在菌の増えすぎを抑制できるのです。
この時期のピアストラブルの多くは、ピアスの付け外しの時に
ピアスホールの壁をつついてしまい、傷ができることをきっかけに起きます。
毎日付け外ししたりすれば、そのたびに傷つけてしまうリスクが増えます。
つまり、つけっぱなしにするだけで、
そのリスクを何十分の1にも下げることができるのです。
さらにこの時期、ピアスホールは不安定で
ピアスを外した状態が長くなると狭くなりがちです。
2週間も外しているとピアスが入りにくくなることがあります。
狭くなったところに無理にピアスを入れると
ピアスホールを傷つけて大きなトラブルに繋がります。
少しでも入り難いと感じたら、
ピアスの軸の先端に少量の軟膏をつけてから入れることを薦めます。
ピアスをつけっぱなしにすれば、不安定な時期でも狭くなりません。
つけっぱなし=なんだか“ずぼら”な感じもしますが
つけっぱなしはこれらすべてを同時に解決する、シンプルかつ最強のケアなのです!
ただし、速やかにピアスを外すべき状況もあります。
それは特定のピアスをつけている間だけ赤くなったり痒くなったりする場合。
この場合は金属アレルギーが疑われますので、
すぐにピアスを外して皮膚科で相談して下さい。
耳タブ周辺は皮脂の分泌が多く、不潔になりやすい場所です。
また、ピアスをつけていると耳タブが洗いにくいため、清潔を保つのが難しくなります。
そのため、ピアスつけっぱなしだけではなく、最小限の清潔ケアが必要です。
入浴の際、石鹸を使って『耳たぶ裏の谷間』と『耳甲介』という部分を指で揉み洗いします。
ピアスとは無関係ですが、この部分は特に皮脂腺が発達していて
皮脂汚れが溜まりやすい部分です。
次に、ピアスを含む耳タブ全体を石鹸の泡で優しく包み込みます。
そして、3分後にシャワーで洗い流す。これでピアス周りや汚れが溜まりやすいキャッチ部分も充分清潔になります。
間違ってもピアスを外して器具やフロスなど異物をピアスホールに入れて掃除をしてはいけません。
しっかりケアしたつもりがピアスホールを傷つけ、赤く腫れ上がってしまうでしょう。
4.3年目以降のケア、使っていないピアスホールのケア
最後に説明するのは、3年目以降のケアです。
この時期は、ピアスホールを健全に維持するためのケアとなります。
また、使わなくなったピアスホールも同様のケアが必要です。
以前の動画でも説明したように、
ピアスホールの構造は皮膚で裏打ちされたトンネルです。
裏打ちしている皮膚の角質からも新陳代謝による垢がでます。
普通の皮膚の垢は、溜まる前に日々の入浴で洗い落とされるため清潔が保てます。
ところが、ピアスホールは細いトンネル状になっているので
垢をうまく洗い流すことができません。
日常的にピアスをつけていれば先ほど説明したようなケアで充分です。
ところが、ピアスを数ヶ月以上つけずにいると、ピアスホールに垢が溜ってきます。
数年放置すれば、ピアスホール内は垢がびっしり溜まってしまうのです。
垢の中は常在菌が非常に多く、存在するため化膿性炎症のリスクが高まります。
もう一つの問題は、この垢がピアスホールの臭いの原因になることです。
溜まっている垢が酸化され、プロピオン酸や脂肪酸などの臭い物質が生じます。
耳たぶを指先で揉むようにして、その指鼻にもってきて臭ってみて下さい。
もし強烈に臭うようなら、ピアスホールに溜まった垢のケアが必要なサインです。
ピアスホールに溜まった垢のケアは次のように行います。
まずピアスを外します。
次に少量のオリーブオイルかベビーローションをピアスホールに優しく揉み込みます。
30分ほどおいたら、石鹸と湯で軽く洗い流します。
オリーブオイルやベビーローションにより
硬くなった角質も柔らかくなり除去しやすくなります。
じつはこの方法、病院でお腹の手術をする前日に、
ヘソの垢による感染を予防する目的で行われるケアなのです。
臭いがなくても、この方法でケアしておくと良いでしょう。
ただしやり過ぎは良くないので、3ヶ月に一回を目安にしましょう
また、ケアとは違いますが、臭いやトラブル対策として
ピアスホールを手術で塞いでしまう方法もあります。
当院では、ピアスホールを塞ぎたいというご要望を多くいただいており、
毎週数件の手術を行っています。
ピアス閉鎖手術を希望される方は臭いの対策のほか
●ピアスをつけると痒くなる
●汁が出るので塞いでしまいたい
●ピアスホールが4個5個と増えすぎてしまったので
使わないところは閉じて見た目をスッキリさせたい
といった方が希望されます。
ピアス閉鎖手術の実際についてはこちらの動画をご覧下さい。
当院では、独自の方法で最小限の皮膚切開でピアスホールを閉じる手術を行っています。
5.まとめ
今回はピアスホールのケアについて説明しました。
知らなかったという方も多いのでないでしょうか?
是非ご家族やお友達とも共有していただけたら嬉しく思います。
尚、当院で治療をご希望の方は、
以下よりお気軽にご連絡ください。
ご連絡、ご相談、お待ちしています。
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【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員