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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ

【専門医のまとめ第2回】巻き爪やさしく解説:治療総合編【病院選びと治療法】

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて、前回は巻き爪シリーズの第1回として「巻き爪とは何か?」について説明しました。

そこで、第2回では『治療総合編』として病院の選び方と巻き爪治療の全体像についてお話しさせていただきます。ぜひ最後までご覧いただき、共感いただけましたらご家族やお友達との会話に話題として取り上げていただき、また共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.巻き爪はどの科を受診すれば良いか?

2.巻き爪治療の矛盾

3.巻き爪治療を受ける病院の選び方

4.病院選びの注意点

5.巻き爪の治療法にはどのような方法があるか?

6.補助的治療法の種類

7.積極的治療法の種類

8.まとめ


1.巻き爪はどの科を受診すれば良いか?

さて、皆さんは巻き爪で病院に相談するとしたら何科を受診しますか?

皮膚科でしょうか?整形外科?あるいは形成外科?

皮膚科でしょうか?整形外科?あるいは形成外科?

はい、どれも正解です。

■皮膚科:皮膚・毛・爪病変を扱う科
■整形外科:指先の再建を扱う科
■形成外科:皮膚・毛・爪の手術、指先の再建を扱う科

爪の病気は、皮膚科医が治療にあたるのが一般的です。
なぜなら、爪は毛とおなじで皮膚の角質が変化したもの、つまり皮膚の一部だからです。また、指先の怪我というのは整形外科医や一般外科医で治療しますので、巻き爪治療も行うことがあります。
そして医師数としては少ないのですが、私のような形成外科医も巻き爪の治療をします。

大勢の医者

このように巻き爪はいろいろな科で治療をしてもらうことができます。

「ということは、巻き爪は治療環境に恵まれた治しやすい病気なのでは?」

いえ、治療環境に恵まれているどころか、なかなか良くならずに困っている方が沢山いらっしゃるのが巻き爪なのです。

YouTubeやブログなど、ネット上には巻き爪治療に関する情報が溢れかえっていることが、その証と言えるでしょう。この記事をご覧の方もそうしたお一人かもしれません。

2.巻き爪治療の矛盾

ではなぜ、このような矛盾が起きるのでしょう?

大空を飛ぶ鳥

その最大の理由は「爪医療」が医学の世界では非常にマイナーな分野であるということです。そのため巻き爪には標準治療というものが存在せず、私のような専門とする医師もほとんどいません。各医師がそれぞれの考えと経験で治療にあたり、その熱意の温度差も大きいのが現状です。

また、巻き爪治療で良い結果をだすためには

医師スキル

解剖学的知識や診断能力など爪自体への深い理解だけでなく、創傷治療の知識や麻酔・手術といった外科的スキルが欠かせません。これらをすべてカバーする医師はあまり多くないため、治療レベルに差がでてしまします。

もうひとつの理由として、指先は痛みを強く感じるので

不安な女性

治療への恐怖から“患者さんが病院受診を敬遠しがち”ということもあります。過去に適切な痛み対策をされずに処置を受け、それでも改善しなかったというような辛い経験がトラウマになっているケースも多く、受診の遅れが症状の悪化、慢性化に繋がっているのです。

このように巻き爪は安定的に良い治療結果をだすのが意外と難しい病気なのです。では、どうすればいいのか。そこで大切になるのが『病院選び』ということになります。

3.巻き爪治療を受ける病院の選び方

最短で最善の結果に到達するには、いきなり手近の病院を受診するのではなく、事前にしっかりと情報収集をして病院を選ぶことがなにより大切です。ほとんどの医療機関がホームページで診療情報を公開していますので、

グーグル検索

「地域名+巻き爪+治療」といったキーワードでネット検索して候補を5つくらいに絞ります。候補が見つからない場合は地域をお住まいの都道府県全域などに拡大して再度検索しましょう。

次にホームページの内容をチェックして、

ホームページ
https://www.hadatotsume.com/wire/ より

巻き爪の治療内容や症例写真を積極的に公開している病院を有力候補にすると良いでしょう。その情報量は医師の巻き爪への取り組みかたと直結しているからです。ここから先は実際に受診してみないと分かりません。まずは一番の有力候補の病院で相談してみましょう。

自信のある医師

巻き爪治療に熱意を持っている医師であれば、辛い痛みに真剣に向き合ってくれるはずです。もし、そこで提案された治療が「希望とは違うな」と感じたら他の医師の説明も聞いてみましょう。

医師への遠慮は無用です。

自信を持って治療に取り組む医師であれば、他と比較されることをむしろ歓迎するはずですからね。治療中でも、経過が思わしくないと感じたら早めに他の医師へ相談しましょう。それが、治癒への早道であることも多いからです。-

4.病院選びの注意点

病院選びの基準についてはお分かりいただけたと思いますが、ひとつ気をつけていただきたいことがあります。ネットで「巻き爪を治療してくれる医療機関」を検索しているつもりでも、検索上位に接骨院・治療院やフットケアサロンなどが表示されることがあるということ。

ニセ医者

これらは医療機関ではないのにも関わらず、店名が○○院とか○○クリニックであるとか、医師のような白衣を着た「院長」「ドクター」が登場するので、たいへん紛らわしいです。

医療機関のホームページには院長の経歴が載っていますので医学部卒業した医師であることを念のため確認して下さい。
医療機関では患者さんの体験談を掲載することは禁止とされています。(医療法における病院等の広告規制)
そのため、もし体験談が掲載されている場合は治療院やお店であると判断できます。あとは、ネットクチコミ。不自然なくらい5つ☆ばかりなのも特徴なので注意が必要です。

5.巻き爪の治療法にはどのような方法があるか?

医療機関では軟膏から手術まで幅広い治療が行われています。

これらを整理すると大きく『補助的治療法』と『積極的治療法』に別けることが出来ます。

■補助的治療法とは

爪周辺の皮膚や皮下組織に直接的、間接的に働きかけることにより局所の安静を図り、痛みを軽減する方法です。薬、テーピング、肉芽焼灼など多数の方法があり、一部を除けば患者さん自身でおこなうことができます。あくまでも補助的に用いられる方法ですが、軽症例であればこれだけで改善することもあります。

■積極的治療法とは

爪そのものに働きかけることにより炎症をコントロールして痛みを取り除く方法です。具体的には手術法と矯正法があり、一部を除き医師が行います。補助的治療では十分な効果が期待できない場合に選択される、より確実性の高い方法です。

※これらを複数組み合わせておこなうこともあります。

6.補助的治療法の種類

■自宅でおこなうもの(自分でできること)

・安静:靴やストッキングによる圧迫を避ける、散歩や運動を控える
・清潔:石鹸と湯で日に1-2回洗う
・テーピング:食い込んだ皮膚を引っ張って爪の刺激を和らげる
・コットンパッキング:コットンを詰めて隙間を作り爪の刺激を和らげる
・薬:化膿や炎症をコントロールして腫れを抑える

先ほど説明したように、補助的治療法とは爪周辺組織に働きかける方法です。そのなかで主に自宅でおこなうものとして、安静、清潔、テーピング、コットンパッキング、内服薬服用、外用薬塗布などがあります。具体的なやり方については過去の記事・動画「爪の専門医が教える、陥入爪のホームケア7選!」で詳しく取り上げていますのでぜひご覧下さい。

■医師がおこなうもの

・肉芽焼灼:-200度の液体窒素で肉芽を繰り返し凍らせて小さくする

液体窒素

・ガター法:爪の側縁をカバーで覆って皮膚への刺激を和らげる

ガタ―法
他院の施術例

・人工爪:深爪を樹脂製で延長しての爪を皮膚への刺激を和らげる

人工爪
他院の施術例

補助的治療法には医師が行うものがあり、肉芽焼灼、ガター法、人工爪があります。炎症が高度で肉芽という赤い肉の塊が生じているような重症例に行わることがあります。

<肉芽焼灼>

マイナス200度の液体窒素を染みこませたコットンを肉芽に押し当てる治療です。冷凍凝固により肉芽表面が壊死するので、これを繰り返して肉芽を小さくしていきます。設備やスキルを必要とせず広く普及していますが、施術の痛みや結果の不安定さが欠点です。

<ガター法>

爪の縁に樹脂のカバーを縫い付けることで皮膚への食い込みをやわらげる方法です。補助的治療法に分類しましたが麻酔が必要なので手術に準じた方法といえます。

<人工爪>

深爪を樹脂で延長することで皮膚への刺激を和らげる方法です。
条件の悪い部位でうまく硬化させるのは難しく、またHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)という刺激性の強い薬剤を傷口に使うことには安全性に疑問が残るなど問題もあります。

なお神楽坂肌と爪のクリニックでは、これらの3つの治療は行っていません。

これは私個人の考えですが、これらは施術の痛みが強く時間もかかるわりには効果が不安定かつ限定的であり、即効性と確実性において手術のほうが優れているからです。

7.積極的治療法の種類

積極的治療法は爪自体に働きかけて皮膚への刺激を和らげる方法で、手術法と矯正法があり、手術法には根治的手術と簡易手術、矯正法にはワイヤー矯正やクリップ矯正等があります。

<手術法>

爪の一部を切り取り、矯正法は器具を使って爪のカーブを整える方法です。

根治手術前
根治手術前
根治手術後
根治手術後

手術法は古くからおこなわれており、健康保険が使えるため現在でも主力の治療として全国の医療機関で受けることができます。

<矯正法>

ワイヤー矯正前
ワイヤー矯正前
ワイヤー矯正後
ワイヤー矯正後
クリップ矯正
クリップ矯正

爪の一部を切り取り、矯正法は器具を使って爪のカーブを整える方法です。

矯正法は25年ほど前に登場した比較的新しい方法。健康保険が使えないため、都市部を中心とした一部医療機関でおこなわれています。普及はこれからで、お住まいの地域によっては近くで見つけられないかもしれません。ただ通院は1~2ヶ月に一度なので、私達の神楽坂肌と爪のクリニックには新幹線や飛行機で通院されている患者さんもいらっしゃいます。

あとこれはよくある誤解ですが、重症だから手術、軽症だから矯正と言うことではありません。重症でも矯正が向いているケースもありますし、軽症でも患者さんの希望があれば手術を選択することもあるからです。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第2回では、治療全体についてザックリとお話しさせていただきました。

ご紹介した治療法はすべての医療機関で行われている訳ではありませんが、可能であれば複数の治療法から選択できるような体制を整えている病院で相談されることをお勧めします。

次回からは『各治療法』について更に詳しく説明していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

神楽坂肌と爪のクリニック 形成外科|腫瘍皮膚科|美容皮膚科
院長 野田 弘二郎(日本形成外科学会専門医)
副院長 野田 真喜(女性・日本形成外科学会専門医)
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