【新技術】人工爪による爪噛み矯正【ビフォー・アフター】
- 2024.02.02
肌爪先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
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さて、本日取り上げるテーマは、当院ではご相談のとても多い「爪噛みの治療」です。
指先は人目につきやすく、短い爪や丸くなった指先を人に見られることが苦痛で、社会生活や私生活で積極的になれないという方や、爪を噛むという動作が神経質で幼いという印象を与えるのでやめさせたいというご家族からのご相談もあります。
最近の研究では「自己肯定感や生活の質を低くしてしまう」という報告もあります。
長年悩んでいるうちに悪化させてしまったという方や、就職やお子さんの誕生を機になんとかして治したいと考え、当院を受診される方も多いです。
【目次】
1.爪噛み癖とは?
爪噛みや指しゃぶりなど、習慣的に繰り返し身体をいじる動作は
『神経性習癖』や『身体集中反復行動』と呼ばれます。
小児ではその原因として、脳の神経回路の未成熟が考えられていて、緊張や不安に晒されたとき、爪を噛むことで安心感が得られます。そのため子どもの場合、強く叱ってしまうことで余計にストレスがかかり、むしろ症状を悪化させることもあるので注意が必要です。
一方で、成人では小児期の癖が固定化したものがほとんどで、転職など社会環境の変化でストレスがかかると症状が悪化するというケースが多いです。
不安や緊張だけでなく、退屈に対する反応や親の爪噛みを真似して噛むこともあり、子どもによって程度の差はありますが、10才以下の子どもの約30%に見られます。その多くは無害で成長とともに自然となくなりますが、数%の方では15才以降まで持ち越してしまい、慢性化して治りにくくなります。このため肌と爪のクリニックでは、15才以降の方を対象に治療を行っています。
ちなみに余談ではありますが、かの徳川家康も爪噛み癖があったそうです。天下統一を果たした戦国大名の精神的ストレスは、計り知れないものがあったのではないでしょうか。
2.爪噛みによる指先の変化
爪噛みを日常的に繰り返すことで、指先には次のような変化が現れます。
ケース1.深爪
爪が極端に短く「爪がぜんぜん伸びない」と表現される患者さんもいらっしゃいます。親御さんから「子どもの爪がまったく伸びなくなり、ここ数年爪を切ってあげたことがない」と相談を受けることもあります。
すべての指のことが多いですが、特定の指だけ極端に短かかったり、無症状の爪もあります。
趾爪むしり
足指の爪を噛む子どももいますが、10才以降は成長とともに身体が硬くなると口が届かなくなり、代わりに手で足の爪をむしってしまうこともよくあります。
ケース2.爪の先端がガタガタ
拡大して観察すると、不規則にガタガタした状態というのがわかると思います。これは爪切りを使わず、自分の前歯で爪を噛み切っているためです。
ケース3.指先が丸っこい
何年にもわたって深爪に保たれているため、爪の押さえが無くなることで指先がポテッとした形になっています。
ケース4.爪周辺の皮膚がむしられている
サカムケをむしった跡があることが多く、
そのキズから化膿したり、
ウイルス性のイボになることもあります。
◆その他の症状
以前の動画で取り上げた洗濯板状爪を合併したり、歯に悪影響が出ることもあります。
3.爪噛みの治療法
3・4才の幼児であれば、オーガニックな植物由来の成分を含んだ苦いマニキュアを爪に塗ることが効果的なことがあります。しかそれはあくまで5才未満まで。5才以降になると、苦みを避けたい気持ちより、噛みたい衝動のほうが強くなるため、効果は限定的です。
医療機関で行われる標準的な治療は、精神科や心療内科でのカウンセリングやお薬となります。保険診療として認められ、全国の医療機関で受けることができます。
お子さん(15才未満)の場合、まずはかかりつけの小児科で相談されると良いでしょう。
肌と爪のクリニックでは、このような治療を行ったが上手く行かなかった、あるいは精神科で治療の前に別の方法を試してみたいという患者さんで、15才以上の方を対象に人工爪を使った爪噛み矯正という独自の治療を行っています。
4.人工爪による爪噛み矯正とは
医療用アクリル樹脂の人工爪で、先端を保護しながら爪を伸ばしていく治療です。患者さんお一人お一人、指1本1本の爪に合わせて、すべて手作業で人工爪を作ります。
長さだけでなく、色や艶も調整できるため、自然な仕上がりで、施術したその日からパッと見は正常な爪に見えます。
施術当日から人目が気にならなくなり、ストレスから解放されることで「気持ちがすごく楽になった」と喜ばれる患者さんも多いです。ほかの方法と違って、すぐに治療効果を実感できることが治療継続への強いモチベーションに繋がり、治療成功率を高めます。人工爪(アクリルパウダー)は非常に硬い医療用アクリル樹脂で、当院で世界的ピアニストやプロスポーツ選手の爪補強にも実績のあるタフな素材です。
手洗いや入浴などの日常生活はもちろん、スポーツもすることができます。
5.爪噛み矯正のスケジュール
人工爪で保護された状態で爪は伸びますが、概ね1ヶ月おきに人工爪を新しいものに載せ替えます。1回の施術時間は90分で症状によって2~4回の施術を実施。期間にして3~5ヶ月間で爪を先端まで伸ばすことができます。ここまでが治療の第一段階になります。
自爪が先端まで伸びてからが治療の第2段階。なぜなら、時間と費用を掛けて爪を伸ばしても、そこで治療をやめてしまうと、ほとんどの方がまた噛んでしまうからです。
治療と言っても通院は不要。ご自宅でご家族に爪を切ってもらうだけで費用もかかりません。お近くのネイルサロンで爪切りを依頼するのも良いでしょう。
私は、このように自分以外の人に爪を切ってもらうことを「第三者との爪の共有」と呼んでおり、これが“爪噛み治療を成功へと導く鍵”だと考えています。
爪を自分だけのものと考えず、第三者と共有することで、噛みたいという衝動に強いブレーキがかかるのです。毎週決まった曜日、決まった時間に爪を切ってもらい、その方に一種間の努力の成果を見てもらうのです。
これを自信がつくまで続けることが大切。それには数ヶ月から人によっては数年かかるでしょう。未来のために今、しっかりと断ち切ることが大切。根気強く向き合いましょう。
6.爪を噛まないためのセルフコントロール
再発対策のために、最近の研究で高い効果が認められている『癖の置き換え療法』を試してみるのもいいでしょう。
◎デカップリングといって噛みたくなったら数秒間、拳を強く握る方法
◎習慣逆転法といって指が口元にいきそうになったら、そのまま耳たぶに触れる方法
上記2点の方法が、効果が高いと言われています。
私が患者さんにお勧めしているのは「ストレスボール」や「爪噛み矯正リング」「爪噛み矯正トイ」の活用です。爪を噛みたくなった時でも変わりにこれらに触れることで安心感が得られ、繰り返すうちに衝動をコントロールできるようになり、最終的には完全離脱を目指します。
7.爪噛み矯正の費用
ここまでご紹介した人工爪による治療とそのプロトコルは、私自身が考案した『神楽坂 肌と爪のクリニックオリジナル』。そのため、治療に健康保険は使えず、自費診療となります。
施術費用は指1本あたり1回3,000円です。両手すべての指(10本)だと1回で税込み30,000円となります。症状によって2回から4回の施術が必要ですので、指10本の場合、軽傷の方でも6万円。かなり噛んでいる方で12万円が予算の目安となります。この他に、初診時のみ初診料3,000円が掛かります。
尚、料金については予告なく変更することがございますので、当院ホームページの料金表からご確認ください。
8.おわりに
爪噛みの治療に積極的に取り組んでいる医療機関というのは、残念ながらあまり多くないのが現状。そのため治療の機会を失っている患者さんがたくさんいらっしゃるのが残念でなりません。今回の記事によって、現状の改善に少しでも役立てられれば嬉しいです。
尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご相談、お待ちしています。
◆15才未満の方は、以下の理由で治療を行っていません。
└自然治癒が期待でき、費用と時間が無駄になってしまう可能性が高い
└本人に爪噛みをやめようとする意欲が薄いため治療達成が困難
└施術時間が90分と非常に長く本人の負担が大きい
└人工爪誤飲のリスクがある
<15才未満の方にはかかりつけの小児科で相談されることをお勧めします>
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
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