耳タブ変形はここまで治せる【耳垂裂、拡張ピアス、ケロイド】
楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
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さて、本日は耳たぶの変形、特に強い変形の治療についてお話しいたしします。
当院ではこれまで、数多くの耳たぶの変形の治療を行ってきましたが、
来院前の方から「強い変形があるのですが、そちらで手術は可能でしょうか?」と
お問い合わせをいただくことがあります。
多くの場合は、以前に近くの医療機関で治療を断られていらっしゃる方々、
九州や北海道など、遠方からのお問合せも多いです。
遠方から、あるいはお忙しい中で休みをとって当院まで足を運んでも、
また治療を断れてしまうのではないか…と、ご不安になっている方も多いようです。
そこで今回は、耳たぶの変形の強いケースを中心に、
当院の手術症例をできるだけたくさんご紹介し、
安心して来院していただくためのご参考にしていただきたいと思います。
記事の最後に料金についても説明していますので、
ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。
【目次】
1.耳垂裂 裂け目1~5箇所
耳垂裂は過去の記事や動画でも何度か取り上げていますが、
9割以上のケースが一箇所だけ切れている方です。
耳垂裂のほとんどは金属アレルギーが原因なので
一度切れるとおなじ耳で何箇所も切れてしまうことがあります。
何箇所も切れてしまうと耳たぶの皮膚に余裕がなくなり、
裂け目同士が接近していることも多いので手術の難易度は上がります。
症例数の多い熟練の外科医が丁寧に手術を行うことで自然な見た目に仕上げることができます。
■裂け目1箇所
これは良くある1箇所切れているケース。右は術後1年の状態です。
裂け目を精密に合わせて再建することで手術の傷跡はほとんど目立ちません。
■裂け目2箇所
続いて2箇所切れているケース。右は術後1ヶ月です。
傷は術後1年くらいこのように赤く見え、触れるとしこりを感じられます。
1年が過ぎる頃には赤みやしこりもひいて、目立たなくなります。
■裂け目2箇所(軟骨)
これも2箇所ですが、軟骨が切れているケースです。右は術後2ヶ月。
軟骨部はピアストラブルが多いのですが、切れてしまってもこのように修復できます。
■裂け目2.5箇所(ケース1)
これは2.5箇所切れているケース。2.5箇所というのは、2箇所が切れ、
間にあるピアス穴も伸びてしまっている状態のことです。
写真からもわかるように、やがて裂け目同士が繋がってしまいそうです。
右は術後術後1ヶ月です。まだ赤みが目立ちますが、
この時点ではこのように全体として良い形にできていれば大丈夫です。
■裂け目2.5箇所(ケース2)
これも2.5箇所のケース。2箇所が切れ、
それを隠そうと切れた隙間にあけたピアス穴がまた伸びてしまっています。
右は術後一週間、抜糸直後の状態です。
抜糸直後なので痛々しく見えますが、自然な形になっています。
■裂け目3箇所(ケース1)
次に3箇所のケース。右は術後1ヶ月。
この時期なので当然ですが赤みが目立ちます。1年待てば目立たなくなります。
■裂け目3箇所(ケース2)
これも3箇所のケース。右は術後一週間、抜糸直後のものです。
裂け目同士が近接し、さらに拘縮によるズレもあるため難しいケースですが、
うまく修復することができました。
■裂け目3.5箇所
これは3.5箇所のケース。3箇所切れて、その上のピアス穴も1箇所閉鎖しています。
右は術後半年ですが、患者さんのご希望により一番上は塞ぎませんでした。
それでも見た目は随分スッキリした印象です。
■裂け目4箇所
これは4箇所切れたケース。沢山切れてタメージが激しいですが、
一つ一つ集中して丁寧に修復します。右は術後3ヶ月。
手術の前は痛々しかった耳たぶも
この状態であれば他人の視線を集めることもなくなります。
■裂け目5箇所
最後に5箇所、非常に沢山切れているケース。それも軟骨部です。
右は術後一週間、抜糸直後の状態。組織が不足しているため
手術直後には多少凹凸があります。これも1年ほどで目立たなくなっていきます。
このように、ピアスによる耳垂裂にはさまざまなケースがあります。
裂けている数が多いほど、また裂け目同士の距離が近いほど難しくなります。
そうしたケースでも丁寧に根気強く手術をすることで
自然な耳を取り戻すことができるのです。
2.先天性耳垂裂敗
耳垂裂のほとんどは、ピアスによるものであり、
先天性は耳垂裂のなかの1%以下に過ぎません。
先天性では、裂け方が不規則で個々のケースにより大きく異なることが多く、
裂け目の幅が非常に広い場合や、組織の欠損やねじれを伴うこともあるため、
手術の難易度が高くなる傾向があります。
子どもの頃に手術を受けるケースも多い一方で、
耳の形以外に合併症が少ないことや、全身麻酔のリスク、
入院の負担を考慮し、15歳以降の手術を勧められる場合もあります。
さらに、子どもの頃に大学病院などで手術を受けた患者さんが、
成人後に変形が気になり、再手術を希望されることも少なくありません。
成長した耳のほうが精密な手術がしやすい場合もあるため、
必ずしも子どもの頃に手術を受けることが最善とは限らないのです。
このケースでは、子どもの頃に大学病院で矢印部分の手術を受けられた方です。
付け根に近い○で囲った部分の裂け目が気になるとのことでご相談をいただきました。
大学病院の主治医からは「これは変形ではないため手術の必要はない」と説明されたそうですが、
ご覧のように明らかにくびれが確認できたため、修正手術を行いました。
右は術後2ヶ月の状態で、顔から耳たぶへの立ち上がり部分がきれいに繋がりました。
これは先天性耳垂裂で良くある裂け目が広いタイプです。
右は術後2ヶ月でまだ赤みの強い時期です。
このように裂け目が広いと傷が長くなりがちですが、
対耳珠に繋がる盛り上がりを利用することで短い傷で仕上がりました。
これは組織欠損を伴うタイプ。右は術後1年半です。
組織が足りないと耳たぶが小さくなりがちですが、
残っていた組織を無駄にしないように再建することで
耳たぶの大きさを保つことができました。
このケースでは、裂け目自体は狭いものの、組織欠損を伴い耳たぶが痩せています。
そのまま縫い寄せると、耳たぶのカーブに不自然なくびれができてしまいます。
そのため、デザインを少し大胆に工夫する必要がありました。
右の写真は術後1週間、抜糸直後の状態です。
痩せていた部分が改善され、カーブも自然に繋がっています。
また、傷跡は対耳珠の盛り上がりにうまく隠れる形となりました。
このケースでは、一見裂け目が狭いように見えますが、
裂け目に向かって耳たぶの幅が狭くなっており、
そのまま縫い合わせても大きなくびれができてしまいます。
このような場合も、思い切ったデザインを施さないと結果的に良い形にはなりません。
狭くなった部分を切開し、拘縮を解除してから傷を整えることで、自然な形に仕上げます。
右の写真は術後1週間、抜糸直後の状態です。
これは耳たぶの耳輪カーブにねじれがあるケースです。
そのまま無理にくっつけても、ねじれた耳になってしまいます。
ねじれた軸の関係を正し、並行していた軸を一直線に繋がるように手術を行いました。
先天性耳垂裂の手術では、多様な立体的変形を正確に評価し、
それをデザインに反映させる必要があります。
そのため、先天性耳垂裂はピアスによる耳垂裂に比べ、
手術の難易度が高くなります。
3.拡張ピアス
拡張ピアスは耳たぶ組織がおおきく引き延ばされていますが、
拡大の方向とは本来の耳たぶの形とはまったく無関係で、多くは正円形です。
また、引き延ばされた皮膚は弾性繊維が破断することでぶよぶよと不自然な質感です。
そのため、拡張されているとはいえ再建するための組織量はむしろ不足しています。
自然な形を再建するには慎重さと高いスキル、時に大胆なデザインが求められます。
また、拡張ピアスを閉じる手術は症例数が少なく、十分な手術経験がない外科医も多いです。
これらの理由により拡張ピアス閉鎖手術も難易度が高い手術と言えます。
これは拡張ピアスでも手術が簡単なケースです。
組織があまり引き延ばされておらず、拡張をやめてから数年が経過しているため、
穴は自然に縮んでいます。
また、ピアスホールの形が細長で、裂け目から耳たぶの縁までの距離が充分あります。
このような場合はピアスホールだけ直接閉じることが多いので比較的簡単な手術です。
このケースはかなり引き延ばされていますが、
前のケースと同様にピアスホールは細長いため、比較的簡単なケースです。
ただし、裂け目が耳たぶの縁に接近しているため、
ピアスホールだけを閉じると縁がイボのように飛び出して不自然になります。
そのため、一旦裂け目を切開し、縫い合わせて修正します。
右の写真は術後1週間、抜糸直後の状態です。
耳たぶ部分で拡張されずに残っていた組織が多いため傷が大きいものの、
全体の形は自然に仕上がっています。
これはさらに引き延ばされ、手術直前まで目一杯拡張されていたケースです。
このような場合、できるだけ組織を残しつつ、余分な組織は大胆に切り取ります。
右の写真は術後1週間、抜糸直前の状態です。
拡張により組織が不足していたため耳たぶは小さくなっていますが、
不自然にならない形で再建することができました。
これは引き延ばされすぎて残された皮膚がぷらぷらの紐状になっているケースです。
右は術後3ヶ月。下側にあった紐状の部分を開くように再利用することで
耳たぶの大きさを保っています。
拡張ピアスでは無理に拡張すると、
皮膚が耐えられず裂けてしまい耳垂裂の状態になることもあります。
これは無理に拡張して裂けてしまい20年経ったケース。
右は術後2ヶ月です。
20年経って拡張部分は小さくなっていますが
裂けた部分が気になり再建しました。
上段2つは、拡張ピアスが耳たぶの縁に近すぎたケース。右は術後1ヶ月後です。
中段2つは、拡大のペースが速すぎて切れたケースです。右は術後1週間、抜糸の時の状態です。
下段2つは、ピアスかぶれも伴っています。右は術後9日後、抜糸の時の状態。
カブレの塗り薬を使うことで皮膚の状態も改善しています。
このように拡張ピアスによる変形はさまざまですが、
再建する場合は残された組織をいかにうまく活用できるが大切で、
自然な耳たぶを再建するにはかなり多くの症例経験が必要となります。
4.腫瘍(ケロイド・粉瘤)
耳に多いできものといえば『粉瘤』があります。
皮膚であればどこにでもできる粉瘤ですが、
耳たぶ周辺は皮脂腺が発達しているので、狭いエリアの割には多くみられます。
耳たぶの裏側、付け根付近に多発することもあります。
また、ピアスをつける時にピアスホールを傷つけることで生じることもあります。
このように非常に大きく成長することもあります。
右の写真は術後1週間、抜糸時のものです。このように多発したり、大きい場合でも、
耳たぶの裏には皮膚に余裕があるため、問題なく摘出することができます。
粉瘤と並んで多いのがケロイドです。
ピアスホールがジクジクした状態が長く続くと、ケロイドになりやすいです。
小さい場合は注射や貼り薬による治療をすることもありますが、大きくなると手術が必要です。
軟骨部のピアスは、ケロイドのリスクが特に高くなります。
軟骨部は血流が悪く、ピアスホールが完成するまでに時間がかかり、炎症が長引くためです。
耳たぶのケロイドは、耳たぶ内にできたものが表と裏に突出する特徴があります。
手術では、その両方を切除し、縫い合わせます。
また、特発性ケロイドという、
ピアスなど明らかな原因がなくて生じるケロイドもあります。
特発性ケロイドは、時に大きく育つことがあります。
ケロイドは切除の再発傾向の高いことが特徴でも有ります。
そのため最近はケロイドを専門的に扱っている
提携クリニックに紹介することが多くなっています。
5.まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
本日は耳たぶの変形について、変形の強いケースを中心に多くの症例をご紹介させていただきました。
最後に当院の手術料についてご案内します。
耳垂裂と拡張ピアスは自費になります。
■手術料金(税込・25年1月現在)
【耳垂裂形成術】66,000円、2箇所目以降55,000円
【拡張ピアス閉鎖術】110,000円、2箇所目以降99,000円
手術料金は予告なく変更されることがありますので、最新の情報はこちらをご参照下さい。
なお、
先天性耳垂裂、粉瘤とケロイドは保険適応です。
合併症として術後一時的な内出血とケロイドがあります。
…
ご覧の皆さまで、耳たぶ変形でお悩みの方がいらっしゃいましたら、
当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
ご連絡、ご相談、お待ちしています。
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5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。
【平 日】10:00~13:00/14:00~19:00 【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員