顔のイボシェービング。保険診療でレーザーよりもキレイに!50代以降必見「顔のイボをシェービングでキレイに取る」
- 2023.11.10
肌爪先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。最近好評いただいているYouTube『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
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さて今回ですが、顔の大きなイボを、健康保険を使って、しかもレーザーよりもキレイに取る方法、シェービングについてご説明いたします。
シェービングは昔から行われている方法であるものの、レーザーのようにネットで積極的に推奨する医師がいないためか、一般にはあまり知られていないのが現状。じつは患者さんにとってのメリットがとても多い方法なので、是非最後までご覧いただき、ご家族やお友達にも教えて上げてもらえたら幸いです。
【目次】
1.顔のイボってなに?
40代以降の方の頬やこめかみに多い、こげ茶色のデコボコ盛り上がったイボです。正式には『脂漏性角化症』または『老人性イボ』と言います。そう、実は前回の動画で取り上げた首のザラザラとおなじものです。老人性イボなんて少々残念な名前ではありますが、60代以降の方ならだれにでもあるごく一般的なデキモノです。
※前回記事も併せてご覧ください。
黒っぽくデコボコした不気味な見た目から悪性ではないかと心配される方も多いのですが「良性病変」です。
顔や首以外にも、髪の毛の中や背中などにもできることがあり、デコボコが広がって10円玉以上の大きさになることがあります。
自覚症状こそありませんが、見た目が悪く、お顔のイメージを大きく損ねてしまいますので治療を希望される方も多いです。
2.どうしてできるの?予防法は?
老化や紫外線の影響と考えられていますが、遺伝的な要因もあり「できやすい人」「できにくい人」の差が大きいのが特徴です。特殊なケースとして、胃癌など内臓の癌によって老人性イボができることがあります。数ヶ月間という短い期間に何十個も多発することがあり、レーザートレラ兆候(またはLeser-Trélat徴候)と呼ばれています。この場合、ただちに内臓の精密検査が必要です。
予防法としては日焼け止めを塗ったり、日傘さしたり帽子をかぶるなどの紫外線対策が有効ですが、背中など、もともとあまり日の当たらない部分にもできますのでそれだけで予防できるとは言い切れないのが現状です。
3.どうやって治療するの?
まず、はじめに申し上げますが、最近SNSで多く見かける「冷蔵庫にあるアレ」や、ハトムギ美容液で老人性イボが取れることは絶対にありません。くれぐれも騙されないよう、注意しましょう。イボを取りたくなったら医療機関、皮膚科や形成外科で相談しましょう。
治療法は主に冷凍凝固、手術、レーザー、電気凝固の4つ。手術には切除・縫縮と今回ご紹介するシェービングがあります。それぞれに特徴があり、表では他と比べて特に大きなメリットは青、デメリットを赤で示しています。どの治療法にするかは患者さんの希望もありますが、最終的には担当医の判断で決定されます。各治療法について説明していきましょう。
■冷凍凝固
冷凍凝固は-196度の液体窒素を数秒間イボに押し当てる治療です。
低温で破壊されたイボはカサブタになって2週間ほどで剥がれ落ちて治癒します。麻酔は不要ですが、イボの厚みに応じて数回繰り返すのが普通です。広く普及していますので、お近くの皮膚科で治療を受けていただけると思います。
■手術「切除・縫縮」
切除・縫縮とはイボの範囲で皮膚を切り取り、できたキズを糸で縫い縮める方法です。美容目的でなければ保険も使えます。
最大のメリットは取り残しがない確実さ。精密な病理検査が可能なので、皮膚ガンの可能性がある場合に有効な方法です。写真の症例ではイボ周辺に赤みがあり、悪性の懸念もあったため切除・縫縮で治療し病理検査をおこないました。結果、悪性細胞は見つからず、病変は取り残しなく完全に切除されていることも確認出来ました。綺麗に仕上げるにはスキルとセンスが要求される方法なので、熟練した形成外科医に依頼することをおすすめします。
■手術「シェービング・レーザー・電気凝固」
シェービング、レーザー、電気凝固に関しては方法が異なりますが治療イメージが似ていますので、比較しながら説明します。イボは皮膚の浅い部分だけにある表皮病変なので、深い部分は傷つけずに浅い病変だけを取り除けば良い、というのが二つの共通した考えです。
3つの違いですが、シェービングはメスを使ってイボを薄くそぎ取ります。レーザーは熱で破壊して、焦げカスをガーゼでこそぎ落とします。電気凝固は熱で溶かして拭き取ります。
どれも仕上がりに大きな差があるわけではないのですが、シェービングが「深さが均一でシャープ」なのに比べて、レーザーは「処理する深さにランダムなムラ」ができます。また、レーザーと電気凝固では火傷が加わるのでダウンタイムが多少長くなります。
後ほどあらためて説明しますが、シェービングと電気凝固は保険が使えるので治療費が安いという、患者さんにとってとても大きなメリットがあります。
<<文章では伝わりにくい部分もあるので、それぞれの方法を動画で説明します!>>
シェービングでは幅20ミリ程のメスで、飛び出したイボだけを浅く、薄く一気にそぎ取ります。わずかに出血するので高周波メスで簡単に止血して終了です。
レーザーは炭酸ガスレーザーという種類のものですが、光の当たる範囲が1ミリ程と狭いのでこのようにまんべんなく照射していきます。照射後、見た目はあまり変わりませんが熱でブヨブヨに破壊されているのでガーゼで簡単にこそぎ落とす事が出来ます。ほどんと出血しないので止血は不要です。
電気凝固は高周波メスという機械を使用します。器具が当たっている部分でイボが溶けるように破壊され、出血もありません。レーザーと電気凝固は機器を持っていない病院では施術できませんが、さほど高いスキルが要求されるものではないので、担当医師による仕上がりの差が出にくいというメリットがあります。
選べる治療法は医療機関の設備や医師の技量や好みによって変わってきます。できれば複数の治療法に対応できる医療機関を探すようにしましょう。また、説明や費用に納得できなければ、その場で決めずに別の医師に相談してみることを強くおすすめします。イボ治療はどの方法でもリスクは比較的小さいですが、取り残しや必要以上に深く皮膚を傷つけてしまうとケロイドが起こることがあります。医師の経歴や印象から、経験不足が懸念される場合やケロイドになりやすい体質の方は十分注意してください。
4.治療費は?
レーザー以外の方法は健康保険で受けることができます。ただし、これは毎回申し上げていることなのですが、美容目的の場合はどの方法でも保険は使うことができません。たとえば顔中のイボを一度に全部で取ることは保険ではできません。明らかに美容目的だからです。
「見た目が悪いから取りたい…」と言われてしまうと、我々医師というのは健康保険を使いにくいものです。「だんだん大きくなってきて、悪性も心配だから取って欲しい」と相談されれば、ほとんど場合、保険でカバーされると思います。ここ、かなり重要なポイントです!
◎具体的な治療費について
自費診療のレーザーはクリニックにより大きく異なり、イボが1~2センチの場合は一個あたり3〜10万円くらいではないでしょうか。その他にも診察料やお薬代に数千円、同時に病理検査を希望する場合、これも自費扱いとなり1万円位が加算されると思います。
保険で行う切除、シェービングと電気凝固ですが、自己負担3割の場合、顔で2cm以下なら手術料5000円ほど、他に診察料やお薬代が1000円位、病理検査は3000円位。合計でも9000円程とレーザーの1/4から1/10で治療が受けられますので是非ご検討下さい。
神楽坂肌と爪のクリニックは保険診療が中心で、なにより仕上がりを重視しておりますので、シェービングを選択することが多いですが、レーザーや高周波メスもございますので患者さんのご希望や病変によって最適な方法を使い分けて治療を行っています。
5.おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
「シェービング」は聞き慣れない言葉だったと思いますが、患者さんにとってメリットの非常に多い方法であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。決してどの医療機関でも受けられるわけではありませんが、ご興味をお持ちの方は、お近くの形成科専門医に相談されることをおすすめします
当院・神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の場合は、こちらよりご予約を承っております。
老人性イボは自然に治ることはありませんし、放置
すると大きくことも多いので、気になるようなら早めに医療機関で相談しましょう。最後に、繰り返しになりますがヨクイニン美容液やクリームなどでは絶対に治りませんので、くれぐれも注意して下さい!
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
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