ピアスの専門医が教える失敗しないファーストピアスその1.ピアッシングの基礎知識
こんにちは。肌爪先生こと神楽坂肌と爪のクリニックの院長、野田弘二郎です。
梅雨明けの便りもチラホラ聞こえてきて、まもなく本格的な夏到来ですね。さて、春から夏にかけては、ピアスデビューをする人が多い季節。それは、ピアスのトラブルが増える季節でもあります。ピアスのトラブルの多くがファーストピアスの失敗によるものだからです。
そこで本日は皆さんがファーストピアスをあける際に、医師として気をつけて欲しいと思うことについてお話をさせていただければと思います。正しい知識を学び、より快適なピアスライフを送りましょう。
<セルフのピアッシングでよくある失敗>
◎左右で位置がずれた
◎ピアスを刺す角度がそろわず、つけたピアスがあべこべの方向を向いてしまう
◎場所が不適切なためせっかく買ったピアスがつけられない
◎おなじ耳に二ヵ所をあけたら距離が近すぎてピアス同士が当たってしまいつけられない
◎開け直しているうちに使わないピアス穴がどんどん増えてしまった
患者さまとお話しをするなかで、家族に内緒で空けたら失敗してしまい、叱られて親と一緒に開け直しに来た、友人にピアスをあけてもらったけれど友人とケンカになってしまった、という話もありました。経験のある医師にあけてもらえば痛みも少なくキレイにあけることができます。仮に万が一トラブルが起きても専門的な知識で正しく対応してもらえるのです。ファーストピアスでのトラブルは、その後の生涯に渡ってさまざまなトラブルが続くことも珍しくありません。病院でのピアッシングは、安心かつ快適なピアスライフを楽しむためには、充分に見合う投資だと言えるのです。
【目次<最低限知っておきたい7つのポイント>】
1.いつあけるか?
本人がピアスの社会的な意味とピアッシングのリスクを理解し、意思決定できる年齢であること。
つまり16歳以上になるかと思います。加えて未成年が病院でピアシングを行う場合には、保護者の同意が必須となります。高校生の場合、校則など社会的ルールに反していないことも大切です。例えば夏休みにピアスをあけたけれど学校がはじまり外さなければならない状況に…。そうなると、結果的に跡だけが残ってしまうこともあります。
その他には、妊娠中はケロイド発生のリスクが高まると言われているので避けるようにしましょう。
2.どこであけるか??
ご存じの方も多いと思いますが、ピアス穴をあけることは医療行為。つまり、医師の資格がない人がピアスをあけることは厳密には違法になります。たとえ無料であっても継続的に行えば医師法で罰っせられます。詳しくは以下の記事をお読み下さい。
ご自身やお友達があける場合は継続した業務として行うわけではないため違法にはなりませんが、あける側もあけられる側も不慣れなため、さまざまなトラブルに繋がる恐れがあります。やはり望ましいのは、病院であけること。経験ある医師であれば痛みも少なく、キレイにあけてもらえますし、何よりトラブルも少ないですからね。もちろんトラブルが起きてもしっかり対応してもらえます。
3.何科であけるか?
ピアスは皮膚科や形成外科、美容外科などであけてくれることが多いです。では、病院選びはどうすればいいのか?主にWEB検索をしてホームページを参考にされることになると思いますが、「これなら安心!」と言っていい、病院選びのポイントを2つご紹介します。
皮膚科や形成外科の専門医資格を持つ医師があけてピアス穴空けとトラブル時の対応をしてくれるか予約の際に確認しましょう。医師になりたてのアルバイト医が空け、トラブル対応は別の医師がするというのはちょっと心配です。ホームページにピアストラブルの対応について書いているかもポイントになります。
肌のデリケートな方はチタンピアスを扱っているかも確認しましょう。耳たぶの厚みの違いに対応するかも大切ですし、ファーストピアスは1ヶ月以上外せないため見た目も重要です。
4.どこにあけるか??
耳たぶの形は個人差・左右差が大きいので慎重に決める必要があります。軟骨部のピアスは人気がありますが、血流が悪いため感染しやすく、組織が硬く傷つきやすいため、ケロイドや軟骨炎による変形のリスクがあるため、あまりオススメはしません。また、耳たぶのどこまで軟骨があるか正確に知らない方も多いので、注意が必要。あまり上のほうにあけないほうが無難だと思います。
★具体的な場所の決め方についてはこちらの動画でご説明しています!
5.ピアスのリスクは?
金属によるかぶれ、
ピアスが埋まってしまう、
耳たぶが切れる、
しこりができるなどがあり、このようなトラブルについては別動画で詳しく取り上げています。リンクを貼っておきますので是非ご覧下さい。
さて、皆さんはこんな話を聞いたことはありませんか。『ピアス穴から白い糸がでていて、これが視神経で引っ張ると失明する』…これはあくまでも都市伝説。完全なデマです。視神経は目玉の後ろにあり、指くらいの太さがある4cmほどの神経です。大変デリケートな神経ではありますが、耳たぶからは遠く離れているため、ピアス穴から出てくることは絶対にありえませんのでどうぞご安心ください。
6.どうやってあけるか??
医療機関ではピストル型ピアッサーが多く使われます。
専用の医療用ファーストピアスをピアッサーにセットして、一瞬で穴開けとピアス装着が完了するというものです。打ち込む速度が速いため市販のピアッサーと比べて痛みが少なく、一瞬で終わり、位置や角度がずれにくいといったメリットがあります。
逆に市販のピアッサーの問題点は、速度が遅いため痛みが強い。ズレやすく斜めにあいてしまう。使用するピアスの質が悪く、皮膚トラブルに繋がる恐れがあるなど、さまざまなリスクを伴います。
痛いのが苦手な方には、この医療用ピアッサーだけでも病院であける価値があります。
7.麻酔を使うか??
病院でもピアッサーを使う場合、局所麻酔は使いません。
理由はとてもシンプル。むしろ麻酔の注射のほうが痛いからです。
ただし、例外もあります。トラガス(耳の顔側にある三角形の軟骨部分)など、ピアッサーが入りにくい場合のみ局所麻酔を注射し、太い注射針で穴をあけてピアスを通すこともあります。なお、トラガスは軟骨部なうえに狭い場所なので、特にトラブルが多い場所で、正確にあけるためにはかなり経験が必要です。
今回は、私が日頃の診療を通じて感じているファーストピアスで知っておいて欲しいことについてお話ししました。
次回の動画『こうしてあける!医者が教えるファーストピアスの実際』では、いよいよ実際のピアッシングについてご説明いたします。是非ご覧下さい。
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
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