こうしてあける!ピアスの専門医が教えるファーストピアスの実際
こんにちは。肌爪先生こと神楽坂肌と爪のクリニックの院長、野田弘二郎です。
前回は『ファーストピアスをあける時に、医師として気をつけて欲しい7つのポイント』をテーマとして取り上げ、経験のある医師があければトラブルはおこさず、痛みも少なく、正確な位置に、キレイにあけてもらえると説明しました。
今回はさらに一歩踏み込んだ『病院でのピアッシングの実際』について説明します。当院の方法を例に、実際に病院ではどうやってピアスをあけているのかを知っていただくとともに、ピアス後のケア方法についても詳しくお話しいたします。※前回の記事をまだ見ていない方は、こちらからご覧ください。
【目次】
1.医者が勧める安全なピアスの位置
医学論文がいくつかあるのですが、何十年も前のものばかりで時代遅れ。参考になりません。
そこで当院では、これまでの多くのピアッシング・ピアストラブル治療の経験をもとに、
独自の基準:【耳たぶの付け根(専門的には下耳底線を通る垂線)から後方に7ミリ、耳タブの縁から上方に5~7ミリ】を設けています。
この基準をベースに、患者さんの好みや耳たぶの形や立ち方、左右差、すでに開いているピアス穴や傷跡などとの位置関係を考慮しながら患者さんごとに「安全かつ見栄えのする最適な場所はどこなのか」微調整します。
2.医療用ピアスとは何か?
医療用ピアスの構造は、スタッドピアスタイプでファーストピアス専用。
スタッドピアスとは、耳に通す軸部分(ポスト)がまっすぐになっていて、耳の裏にキャッチ(留め具)をつけて固定するタイプのピアスのこと。
これは市販ピアッサーもおなじですが、医療用では材質が骨折手術でも使われるサージカルステンレスやチタンなどの高品質金属です。 安定したピアス穴をつくるため、普通のピアスよりも軸が太く、長さは耳たぶの厚みによって選べます。
また、スムーズな穴開けのため軸の先端はやや尖っていて、固めのキャッチで外れにくくなっているのが特徴。これをピストル型ピアッサーにセットし、ピアッシングすることにより、一瞬で穴開けとピアス装着が完了します。
トラブルのおきにくい安定した穴が空けられるだけでなく、痛みも少なく、位置や角度がずれにくくキレイにあけられるというメリットがあります。
3.ピアッシングの実際
まずはピアッシングする位置を手術用マーカーでマーキング。これにはタトゥーを作らない特殊インクが使われます。その場所をアイスパックで30秒冷やします。
ピアスをあけてもらう人は軽く顎をひいて、両目と両肩を水平に保ちます。首をかしげたり、肩をすくめてしまうと穴が斜めにあいてしまうのでご注意ください(医師からも指示があるのでご安心ください)。
次にマーキングした場所にピアッサーをあてがい、水準器でピアッサーの水平を確認。耳たぶの立具合などで微調整してからトリガーを引きます。
はい、これで終わりです。一瞬でピアス穴があき、ピアスが装着された状態になります。
※痛みや出血はありませんが「じわーっとした感じ」とおっしゃる患者さんが多いです。
4.ファーストピアス後の管理は?
1日1回シャワーの際に、耳たぶを軽くすすいだあと、ピアスの石を持って半周だけクルリと回す。以上です。それ以外は触れないようにしましょう。
なぜなら、触りすぎが赤みや腫れの最大の原因だからです。
病院によっては、ファーストピアス後に消毒を勧められることがあります。しかし消毒液はかぶれが多く、ピアスをすすぐのも不十分になりがちでむしろ逆効果。そもそも「消毒しないと化膿する」であるとか「水に濡らすとバイ菌が入る」というのは、創傷治癒の観点からも時代遅れ。毎日シャワーですすぐだけで充分清潔を保つことができ、むしろトラブルが少ないのです。
5. セカンドピアスの選び方は?
セカンドピアスに入れ替える時期は、ファーストピアスをあけてから1.5~2ヵ月後。ファーストピアスのキャッチはやや硬いですが、もし外れない場合は、専門病院に行けばピアスリムーバーという専用の道具で外してもらえますのでご安心ください。
さて、セカンドピアスの選び方ですが、注目すべきは素材。18金やプラチナ、チタンなど肌に優しい素材がお勧めです。粗悪品も多いので、必ず信頼できる店舗で購入しましょう。
デザインはピアスヘッドが3ミリ以上のスタッドピアス。軸の長さに余裕があるものを選び、耳たぶを締めつけないようキャッチに1ミリ以上余裕を持たせてください。耳タブが厚く軸の長さが足りないにはシリコンキャッチもおすすめです。
★最初の2年間は『フック型』や『重いピアス』も避けるようにしましょう。
6.ピアスに不慣れな間に気をつけることは?
とにかく、ピアス穴を傷つけないことが大切です。
ピアスを入れる際はとくに慎重に。たとえばお出かけ前など慌てている状況でピアスをつけないでください。ピアスの軸の先端に軟膏をつけると滑りがよくなり、壁を突き破ることがないのでお勧めです。
ピアストラブルの多くはピアスのつけ外し時に起きるため、頻繁につけ外ししないでください。また、安定しない間は自然とピアス穴が狭くなることもあり、無理に入れると傷つけて腫れてしまいます。傷つけるくらいならピアスをつけっぱなしにしている方がトラブルは少ないのです。
7.金属アレルギーを防ぐためには?
耳たぶの皮膚というのは非常にデリケートで、金属アレルギーの症状がでやすい場所です。症状としては、ピアスが触れる部分の皮膚が赤くなったり、カサカサになります。酷くなると「かゆみ」や「ただれ」になることも。また、一度金属アレルギーになってしまうと金属に触れない以外に避ける方法はないので、そうなる前に予防がとても大事なのです。
ピアス穴を複数あけると、金属アレルギーのリスクが高まることがわかっています。 よく考えてあけましょう。
金属が汗や海水に触れると金属アレルギーを起こしやすくなるので、スポーツなど汗をかきやすいときや海水浴の際はピアスを外してください。これはファーストピアスだからというわけではなく、ピアスに慣れたあとも同様のことが言えます。
本日は病院でのピアッシングの実際とその後のケアについて説明させていただきました。
我々医師が非常にたくさんのことについて考えながらピアスをあけ、ピアス後の管理指導をしているのがおわかりいただけたかと思います。
トラブルを起こして駆け込んでくる患者さんに対応をするため、何がトラブルの原因になり、何がリスクが高いかをよく知ってるからです。
ファーストピアスは考えられているほど安全でも手軽なものではありません。
ファーストピアスを正しくあけて、安全で快適なピアスライフをスタートさせて下さい!
【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員
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