ピアス穴閉鎖手術のお話(後編)ピアスホールの閉じ方の実際
- 2022.06.08
こんにちは!ピアストラブルに強い神楽坂肌と爪のクリニックの院長野田弘二郎です。
前編ではピアスを閉じるってどういうことかを説明しました。今回はピアスを閉じる手術がどのように行われるかを説明します。
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ピアス穴って耳の表と裏に穴があって、その間はトンネルになっていますよね?トンネルの部分にピアスの軸が収まって、耳たぶの表側にピアスヘッド、裏側にキャッチがきます。そのトンネルの壁って何で出来てるかご存じですか?そう、皮膚なんです。皮膚で裏打ちされたトンネルが耳の表と裏の間で繋がっているのです。
もちろんもともとそこには皮膚はなくて脂肪や血管などの皮下組織があったのですが、ピアッサーで孔をあけて、1〜2ヶ月間ファーストピアスをつけている間に耳たぶの表と裏の皮膚から新しい皮膚が伸びていって、ピアス穴中央辺りで繋がります。それでトンネルの壁が完全に皮膚で覆われた状態になってピアス穴が出来るのです。そのトンネルのできる期間は耳たぶの厚さによっても変わりますがそれに1〜2ヶ月くらいです。その後はセカンドピアスに入れ替えることが出来ます。トンネルの壁最初は薄いのですが、2年ほどかけてだんだん厚くしっかりしてくるので普通は塞がることはありません。
つまりピアス孔は単なるトンネルではなく、皮膚の内張のあるトンネルということになります。そしてピアス穴を閉じる手術は単に穴を閉じるのではなく、このトンネルの壁にあたる皮膚も取り除く手術になります。皮膚の壁がなくなれば脂肪だけなのであっという間に塞がってしまいます。表と裏の穴だけとじればいいんじゃない?と思う方もいるでしょう。そういう手術をしてしまうと皮下に皮膚のトンネルが取り残された状態になります。取り残された皮膚は閉ざされた中で皮膚としての活動を続けます。・・・つまり垢が出るということです。垢は皮膚の中でドンドン溜まり続けやがて大きなしこりとなり、破裂することもあります。
また美容外科で相談されたという患者さんからそういうトンデモナイ手術のことを聞いたことがあります。表だけなら10万円、裏も塞ぐなら15万円と言われたそうです。表だけ、裏だけ塞ぐといった中途半端なことをされると将来トラブルを起こすでしょう。
さて、細いトンネルを最小限のキズで取り出すのはテクニックと経験が必要です。慣れない外科医がやると切開が無駄に大きくなって傷が目立ったりトンネルの一部を取り残して先ほどと同じトラブルを起こしてしまいます。実際の手術の手順を説明します。
1.ペンで切開線の印を描く:穴だけでなく周辺の凹みも含めてできるだけ小さくデザインします
2.ピアス穴の周辺に局所麻酔注射をする:ここだけ少し痛いです
3.表と裏で穴に沿って皮膚を切る:痛みは全く感じません
4.トンネル状のピアス穴を引き抜く:表と裏でピアストンネンルと脂肪の間を丁寧に剥がして貫通させて、表の穴、裏の穴とそれを繋ぐトンネルをひとかたまりとして引き抜きます
5.止血をする:高周波メスで丁寧に出血を止めます。
6.表と裏で皮膚を縫合する:穴の大きさに合わせて1〜3針ほど縫います。もちろん裏側も
7.5-10日後に抜糸をする:痛みはありませんので麻酔はしません
手術の後は小さなピンク色の点として半年ほど見えていますが、1年過ぎるも分からなくなります。
時間にして一カ所5〜10分くらいです。
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