親指爪のボコボコは謎の奇病?いいえ治せます!洗濯板状爪 その1
- 2018.01.05
親指の爪が波打つようにデコボコしていて長年悩んでいる方がいらっしゃいます。
名刺を渡す時にギョッとされる
資料を手渡す時に見られるのがイヤで指先を隠す不自然な動作になる
コンビニのお釣りのやりとりで店員の目が気になってしまう
食事中に相手の目が指先で一瞬止まる
・・・これは母指爪のデコボコ変形で来院された方々から伺った実際のお悩みです。
こんな悩み、あなたまもありませんか?
変形に悩んだ末に病院で相談しても医者は首を捻るばかり。
「わからない」「水虫かな」「内蔵の病気かも」いろんなことを言われ、検査を繰り返しても異常はみつからず・・・しまいには「爪は専門外」「珍しい謎の奇病」だから大きい病院へ行きなさいと。
ところが大学病院、国立病院、爪の専門家、10軒以上回っても偉い先生達も言うことは同じ。
「様子を見なさい」「保湿しなさい」中には「死ぬことは無い」なんてドクハラ(ドクターハラスメント)発言まで!悲しいことにどれも実話です。
こうした深刻な悩みを持つ患者さんが私のクリニックには月に5−6人はいらっしゃいます。
実は珍しくもないし、奇病でもないのです。
こうした患者さんに共通する爪の状態とは・・・
1.親指の爪中央に、根本から先端まで一定の間隔で刻まれる横筋がある
2.爪半月が異様に大きい、甘皮が無い、爪の付け根の皮膚が腫れている
3.爪周辺にサカムケがたくさんあり、皮が剥けて赤くなっている
さて、なぜこのような事が起きるのでしょうか?原因は意外にもアレなんです。
意外な理由?爪がボコボコになる原因とは
実はこの爪のデコボコは「ハビットティック(habit tic)」といって、自ら爪をいじってしまう癖が原因で爪が変形してしまっている状態なのです。
ハビットティックの方の特徴
- 人差し指や反対の親指で爪の付け根を繰り返しいじってしまう
- 甘皮やサカムケもむしる癖がある、皮膚が乾燥しやすいと感じている
- 子供の頃に指しゃぶりや爪を噛む癖があった
【爪噛み癖についての記事を読む】 - ストレスが多い仕事、環境にある、緊張がかかると、あるいは解けるとつい爪をいじってしまう。
経験のある医師なら特徴的な爪変形から簡単に診断できます。検査も必要ありません。
受診した先の医師が知っているか知らないか、その経験と知識が全てなのです。
患者さんに変形の理由を説明すると、「そうか!確かにいじる癖があります!」「自分では内心そう思ってました」とすぐにご納得いただくことも多いのです。
でも、実は説明が難しいことも少なくないんです。
癖というデリケートな問題を含み、患者さん自身そうした癖を恥ずかしいと思ってらっしゃる場合も多いので、医師が無遠慮にそのことを指摘したり、伝え方を誤ると患者さんを不快にしてしまったり怒らせてしまうこともあるからです。
丁寧に説明し、そういうことも可能性としてあるといった言い方でお伝えしないと、「そんな癖はない!」「サカムケは乾燥が原因ですから!」「水虫に間違いないんだもう一回検査をして下さい!」というようなことをおっしゃる患者さんも少なからずいらっしゃいます。
これでは爪の勉強をがんばって、正確に診断できても治癒に導くことはできません。ハビットティックの爪変形治療には患者さんの協力と努力が必要だからです。
でも私のクリニックにはそうした患者さんでも納得していただける秘策があります。
それは他の病院には無い、何百例ものハビットティックの治療前・後の症例写真。もちろん我々自身が治療したケースの写真です。ご自身とそっくりの爪の変形が、そして今までどの医師も診断も治療もできず、治らないと半分あきらめて長年悩んできた爪が、まるで魔法のように治っている様子をご自身の目で確認していただくのです。
今まで保湿やマッサージなどの治療法を提案はしても症例写真を見せてくれた医師はいないのですから遙かに説得力があるはずです。
水虫に違いないと思い込んでいた患者さん達も症例写真をみてようやく納得し、信頼していただける。そして少しづつご自身の事を話していただけるようになることもあります。
「実は少しだけいじる癖があるんです・・・。」「でも爪は硬いから癖で変形するなんて信じられなくて・・・」と・・そりゃそうです。
あんな硬い爪がちょっとイジるくらいで変形するなんて普通の方は思いません。
でも指先ではカチカチに硬い爪も、付け根でまだ生まれたばかりの時はすごく柔らかいのです。
患者さんの中には「やっと希望が持てました!!」と、治療が始まる前から喜びの涙を流される患者さんもいらっしゃいます。
今まで医師に見捨てられたようでとても辛かったんだろうなぁと我々も同情していまいます。
そう、ハビットティックでの最大の問題は、これを知らないお医者さんが非常多いこと。日本の教科書には載ってません(2016年から一部の本に載るようになりました)からしょうがないのかもしれません。そういう私も、海外の医学雑誌や文献を探してようやく見つけたのです。試しに「habit tic」でググってみてください。外国の写真がヒットしますが国内の医師が撮影した写真はありません(2023年5月現在)
さて、次回のブログではハビットティックとストレスの関係について、そしていよいよその治療法についても解説していきます。